チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「交響譚詩曲『地方長官』後半部トリセツ」

2005年06月16日 17時29分31秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
→モデラート(あらためてこれをテンポ・プリーモとなす。4分音符=112)、
3♭。「変ホ長」の主和音を連ねる2小節……「変ホ長」である。
チャイコフスキー最後の作品コンビのひとつ、
「3番pf協」の調性と同じなのである。ともあれ、
主和音で導かれたあとの第3小節めは、減7である。
他楽器が(p、pp)のなか、チェレスタの幻惑的なアルペッジョは
オンリョウが小さいので(mf)である。
ホルンはブシェを唸らせる。それらに乗って、後半のシテ主題(後シテ主題)が
ドルチェ、カンタービレ指定の木管によって呈示される。
♪○○ミーーー|>レーーー、>ド>シ|<レー、>ド>シ<レー|
○○>ドーーー|>シーーー、>ラ>♯ソ|<シー、>ラ>♯ソ<シー|
○○>ラーーー|>ソーーー、>ファ>ミ|<ソー、>ファ>ミ<ソー|
○○>ファーーー|>ミーーー、>レ>ド|<ミー、>レ>ド<ミー|
○○>レーーー|>ドーーー、>♭シ>♭ラ|<ドー、>♭シ>♭ラ<ドー♪
ハ短から変ホ長へ、そして、変イ長へ、と転々とする下降ゼクヴェンツ主題である。
いずれにせよ、その一部♪ド>シ<レー♪という「2度下がって3度上がる」動機は、
オペラ「スペイドの女王」の「3カードの動機」の一ヴァリアションである。
この動機が繰り返されると、
→2♯。
(実質ホ短)♪ミ>ド|>シー>ラー、<ソ>ミ|>レー>ドー、<シ>ラ|
>ソーー>♯ファ>ミ>レ|レー>ドー、ド<レ|<♯レーー、♯レ>Nレ<♯レ|
<ミーーー、<ラ>ミ|<ファーー、ファ<ソ>ファ|>ミーーー♪
エスプレッスィーヴォ、カンタービレ、コン・パッスィオーネ指定の
1ファゴ*ヴィオラによって、この後ワキ主題が奏される。
心に浸み入る味わいをもつ節である。それからまた、
後シテ主題が独オボによってロ短で吹かれるが、そこには
幻想序曲「ハムレット」が顔を覗かせる。
→モデラート・ソステヌート。
ヴィオラとチェロが後ワキ主題を再奏する。
→アッレーグロ・モデラート。
新たな主題が、2フル*バスクラ*チェレスタ、
という、ラヴェルが「そんだら、おらは、2ピッコリ*ホルン*チェレスタ、で
やってみっかなぁ~。多調、ちょうしっぱずれになっちゃってもえぇんだ」
と興味を惹かれそうな音色の配合で登場する(実質ホ短)。
♪ラ<シ<ド、<ミ>レ<ファ|>ミーーー、ミー|
<ラ>ミ>レ、>ド<レ<ファ|>ミーーー、ミー|
<ド>シ>ラ、>ミ>レ<ファ|>ミ♪
東方趣味ふうなような幻惑的なような節色である。
→モデラート・コーメ・プリーマ。
コルアン*チェロが、
♪ミン>レ|レー>ドー、ミン>レ|レー>ドー、
ドン>♭シ|♭シー>♭ラー、ドン>♭シ|♭シー>♭ラー♪
と奏すると、それが3♭の準備となって、
→モデラート・コン・モート、3♭。
ハープとチェレスタのアルペッジョ、ホルンの3連に乗って、
ドルチェ指示の両vn*ヴィオラの3オクターヴ及ユニゾンで、
後シテ主題が奏でられる。節度を保った強奏が、
このバラードのせつなさを引き立ててるのである。
ちなみに、ハープとチェレスタにはここで暇が出される。お役御免である。
→アッレーグロ・ジュスト。
♪ミ<ファ<ソーーー|ーー<ラー>ミー|<ファー>ミ>レー♪
また、新たな主題が出現する。そして、
その断片のゼクヴェンツで盛り上がり、また、沈む。
→アッレーグロ・ヴィヴァチッスィモ、無調号。
ここで「前半」の速度が蘇る(ppp)。今度は実質嬰ハ短である。
そして、バスクラが(mf)、「あたかもバス歌手がしゃべってる声のように」、
♪ファ|ファー<ソー>ファ○|○○<ラー>ソー|
ソーー>ファファー|○○○ファファファ|ファー>♭ミー♪
ロ短に転じて、1フル*1クラで、
♪ラーー、ラ<ド、>ッシ|>ラーー、>ソ>ファ<ラ|>ミ♪
ストリンジェンドして、♪ラ<シ<ド・ド>シ>ラ♪のゼクヴェンツ。
今度は「マンフレッド」が顔を覗かせた。
(ppp)、そして(pppp)。が、
→テンポ・プリーモ(おそらく、アッレーグロ・ヴィヴァチッスィモのほうである)。
不意に(fff)16分音符の一撃。それは、
「ラ・(<)・ド・(<)・ミ・(<)・♯ファ」という
またしても「トリスタン和音」なのである。
この一撃から通奏されるコンバスの「a」は曲の最後まで繋がれる。
2クラ*テナトロによる♪ミーーーー>♯レ|♯レーーーーーー♪、
1ファゴ*テナトロによる♪ドーーーー>シ|シーーーーー♪、
は、「悲愴(op.74)」(とくに主章、終章)の「半音下降強調」、
「6つのロマンス(op.73)」の終曲である
「スノーヴァ、カーク・プリェージヂェ、アヂーン(再び、以前のように、独り)」
におけるpfの伴奏:♪○○ファーー>ミ|<○○ファーー>ミ♪、
に共通にちりばめられてる「重要な動機」である。これは、
メンデルスゾーンのいわゆる「スコッチ」の終章コーダ前の
クラ独を敷いてる弦にも見られる「悲嘆」にも使われてるものである。
♪○○ファー>ミーーー|ーー○○・○○○○(休符にフェルマータ)♪
ちなみに、メンデルスゾーンはこれに続けて同主調イ長の
「アッレーグロ、マエストーゾ・アッサイ」を結びに置いた。
「悲嘆」が深すぎて、反対にこのような「カラ威厳」を塗った、という
涙ぐましい行為の真意を汲んであげなくてはかわいそうである……のに、
おっと、ところが、それが理解できず、超グズグズにするだけでは厭きたらず、
自作とかいう「故意の風雅」な装いの陳腐な代物に置き換える、という
「指揮者」とやらが世の中にはいるから幸せである。
♪ドゥン・ドゥビ・ドゥバ、ドゥン・ドゥ・ドゥビ・ドゥ~バッ。
【パァ~>ヤッ】、【<パァ~>ヤッ】【<パァ~>ヤッ】♪
ともあれ、こちらチャイコフスキーの交響譚詩は(実質)イ長の主和音が
(pp)から息がモレンドして(ppppp)で息絶えるように終わるのである。
まぁ、ハキ捨てるほどの凡作だとも思えない。
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