チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「Good JOBS!/エテン(CH2=CH2)の東とランゲルハンス島の夕べの祈り」

2011年10月08日 00時29分07秒 | 語彙の歴史観・ロック、ゴウゴウ
かつて、
「appleをbite(byte)すると歯間からマッキントッシュのキットカットがでませんか?」
という故福田豊士のデンターライオンのTVCMでのセリフが
流行ったことがあったかなかったか、
<<スコットニモマケズスカリーニモマケズ雪ニモ夏の暑サニモマケヌJobsなカラダヲモチ
 欲ハナク決シテオコラズイツモシヅカニワラッテヰル。
 一日ニリンゴ4コト味噌トスコシの野菜を食ベ……>>
という宮沢賢治が菜食主義者だったかどうか判らない
拙脳なる私には記憶がない。

いわゆるシチリア島でカノジョを背後に乗せてスクーターを駆ってて、
壁に激突して脳を強打したことがもとで昏睡状態だった
テノール歌手のサルヴァトーレ・リチートラが脳死に到って43歳で死んだのは
一箇月前のことだった。肝臓・腎臓・角膜が、
臓器移植用に提供されたという。カノジョのほうは軽傷だったらしい。
3.11のときはすみやかに被災地に対する応援メッセージを送り、
先月中旬にはボローニャ歌劇の来日公演で来るはずだった。いっぽう、
"皇帝""七冠馬"シンボリルドルフ号はヒトでいうと100歳超の馬齢30歳で老衰死した。
生物は同じ種内でも寿命は個々それぞれである。
今年のノーベル医学生理学賞を与えられた3人のうちのひとり、
ラルフ・スタインマンは膵臓癌でその発表の3日前に68歳で死んだ。
1868年にパウル・ランゲルハウスがヒトの皮膚の表皮から皮膚免疫を司る
樹状細胞を発見したが、1973年にマウスの膵臓からも
同様の細胞を発見したのが、スタインマンである。ちなみに、
樹状細胞(dendritic cell)と命名したのもスタインマンである。
4年前に膵臓癌がわかったスタインマンは、自らが研究対象としてた
樹状細胞による免疫治療を施してたという。

他の部位の癌と同様に、ひとくちに
「膵(臓)癌」といってもさまざまな種別がある。
悪性良性含めた膵腫のうち、主要タイプなのは、消化液である
膵液(いわゆるアミラーゼ)を作る膵管の細胞が腫瘍化するタイプで、
これはほとんどが悪性でかつ極めて予後が悪い。いっぽう、
池の中蛙の卵のように膵臓の中の浮島のように存在し、
インスリンを作る細胞を持つランゲルハンス島の細胞が腫瘍化するものもある。
こちらの症例はもっとも稀である。
これは良性が多いので、悪性はさらに稀である。が、
そのうちのひとつはインスリノーマとも呼ばれる。
故スティーヴ・ジョブズが罹ったものである。
膵管の癌よりも進行が遅いと一般にはされてる。
神経内分泌細胞が腫瘍化するわけで臓器自体が原発ではないので、
悪性の場合は逆に播種や転移は早い(と私は思う)。実際、
ジョブズには肝転移が早くからあったのだろう、
俳優パトリック・スウェイジが膵臓癌で死んだ2009年に、
肝機能不全に陥って肝移植手術を受けてる。

ジョブズは狂信的ヴェジタリアンだったそうである。
動物性脂肪の摂取過多が癌のひとつの因子と考えられてるうえ、
一見、癌リスクがもっとも少ないように思われてる
菜食主義がいけないというのではもちろんない。が、
アップル(マッキントッシュはリンゴの一品種、和名=旭)を社名に冠するほどの
リンゴ好きなジョブズのように果物ばかりを摂ってると、
食後に急激に血糖値が上がり、中性脂肪が増加する。
健康にいいからといって特定の食材に偏ることはあまりいいことがない。
食事は多種をまんべんなく摂るのが無難なのである。ジョブズは、
ヴェジタリアン、つまり偏食家であることが命取りだったかもしれない。ともあれ、
"Eat an apple on going to bed,
And you'll keep the doctor from earning his bread"
「(直訳的大意)ベッドに入るときにリンゴを1個摂りなさい。そうすれば、医者が
       ブレッドを稼げないようにできますよ」
という言葉が英国にあったように、たしかにリンゴは
"健康食"である。が、この言葉の
"on going to bed"という語句をおろそかにしがちである。つまり、
就寝時にリンゴを食うのが健康にいい、と言ってるのである。現在ではよく、
「夜9時以降には絶対に食べてはいけない」
と言われる。が、私はそうは思わない。むしろ、
朝、たとえば、7時までの10時間以上を空腹にしとくほうが
よほど体に悪そうな気がする。空腹だと寝つけないという人も多い。

仕事柄、QuarkXPressを使わなければならなかったので、しかたなく
マックを一台持ってたが、アドビのInDesignができて
ウィンドウズで事足りるようになってやっとマックとおさらばできた。
というように、私はマック嫌いだったのでジョブズのこともあまり知らないが、
ジョブズがアップル社を作るにあたってその社名をファンだったビートルズの
アップル・レコードから採ったかどうかも知らない。ともあれ、
上述したように、その製品であるマッキントッシュという名も、
カナダのリンゴの品種名から採ったそうである。
"Macintosh"は、スコットランド系の人名(サーネイム)によくある
「~の倅」を意味するMac~、Mc~といった語を頭につけたもののひとつである。
"Intosh"とは"Leadoffman""Leader""Chief"を意味するケルト語系の語である。
"MacIntosh"は"MacanToisich"が時代とともに変型したものである。
ジョブズは世の中を変える分野で"Leadoffman"となるべく、
その名を製品に冠したのかもしれない。

<<人間(じんかん)五十年。エテンの内をくらぶれば、夢、幻の如くなり。
 一度生を享け滅せぬもののあるべきか。
 これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ>>
「(拙大意)人間界の50年は化天の世のうちの夢や幻ほどの短いものである。
     リンゴから発生するエテン(エチレン)ガスが果実の成長を促進して
     生から死への時間が短く感じれてしまうようなもの、
     と思ってもらってもいいさ。どっちにしても、
     生きてれる時間なんてたったそんだけのもんだよ。
     質量を持つニュートリノが、質量はなくその速度は不変と定義しただけの
     光よりも速く飛んでも特段不思議はない。そんなことは瑣末なんだ。
     だって、時間の流れは不可逆で、どう転んだって逆戻りはしないんだから。
     どうだ、むなしいだろ? これで解っただろ?
     ひとたび生を受けて死なない者なんているだろうかね、いや、いないんだよ。
     生きとし生けるもの、マッキントッシ・イントッシものはみな、
     晩鐘を聴く前だろうがあとだろうが、遅かれ早かれ死ぬんだ。
     だから、このことを菩薩さまが播いてくださった悟りへの種だと
     気づかないとしたら、そんな阿呆なことはないってことさ」

ニュートンのリンゴの木やメンデルのブドウの木は、その遺伝子がそっくり
接ぎ木として世界中に配られた。日本にはいまも、
北緯35度43分3秒の小石川植物園にある。
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