チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『ピアノ協奏曲第1番』の付点リズム」

2010年09月07日 00時47分35秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
付点音符とは、付点がない音符の音価の3/2倍の音価を取る。
たとえば、
[■■■■]という音価の音符に付点をつければ、
[■■■■■■]という音価になる。さらにたとえば、
1拍が[■■■■]という音価だとした場合、
2拍子なら1小節は、
[■■■■]・[■■■■]
ということになる。そして、1小節内で考えた場合、
前の音符[]に付点を加えると、必然、
あとの音符は前の音符の音価が増えた分、
減じられ、
[■■■■・■■][■■]
となる。つまり、
前の音符とあとの音符の音価は「1対1(あるいは4対4)」だったのが、
付点によって「3対1(あるいは6対2)」になるのである。
付点を加えることによって、当然ながら
「躍動感」が増す(生じる)。

【第1楽章序奏】
[アッレーグロ・ノン・トロッポ・エ・モルト・マエストーゾ、3/4拍子、5♭(変ロ短調=変ニ長調)]
有名な序奏の主題
***♪●●・●ソ>・ミ>レ│>ドー♪
が一度奏されたあと、
独奏pfがその主題を弾く。が、主題は
付点音符だらけにされてるのである。
*****♪●●●●●●●●・●●●ソソーー>ミ・ミーー>レレーー>ド│ドーーーーーーー♪
そして、弦にその主題が戻ると、独奏pfは、
*****♪●●●ドドーー<ミ・ミーー<ソソーー<ド・ドーー<ミミーーー♪
のように、
「付点」「付点」「付点」
と、和音を上昇させる。これを付点上昇とは言わないが、
付点がドット現れて、同音を前打音のようにして
pfをぶったたくように作られてる。

【第3楽章】
[アッレーグロ・コン・フォーコ、3/4拍子、5♭(変ロ短調)]
この楽章のおもな主題は3つ。3つの主題が提示されたあと、
最初の主題が戻る(a-b-c-a)。この最初の主題(a)が
長化(ヘ長調)されると、フルート2管+クラリネット1管が
*****♪ラーー、<シ<ドーー、<ミ・>レーー、<ファ<ラーー、<レ・<ラーー、>ソ<ラーー、>ソ│<ドーーー♪
と付点のリズムを繰り返す。
→[ソステヌート・モルト]
vnプリーモが上記付点リズムに休符を挿入した律動のスケイルを弾く。
*****♪●●●<ソ<ラー●<シ・<ドー●<レ<ミー●<ファ・<ソー●>ファ>ミー●>レ│>♯ドーーー♪
独奏pfが同じ律動で応答する。→ト短調
*****♪●●●<ミ<ファー●<ソ・<ラー●>♯ソ<ラー●<シ・<ドー●>シ<ドー●<レ│<ミーーー♪
このようなのが同型反復されて、→→→→変イ長調
*****♪ソー●>♯ファ>Nファー●>ミ・>レー●>ド>シー●>ラ・>ソー●>♯ファ>Nファー●>ミ│
   >レー、>♯ラーッ<シーッ<ドーッ・<レーッ<ミーッ<ファーッ<ソーッ・<ラーッ<シーッ<ドーッ<レーッ♪
と導かれてb主題が→[テンポ・プリーモ]で再現される。次いで、c主題が再現。そして、
a主題が再再現。そのあとは→[モルト・ピウ・メーノ]でc主題の変型とa主題の断片のミックス。
→[テンポ・プリーモ・マ・トランクイッロ(最初の速度で、しかし、心持ち遅く)]で
a主題の断片と付点リズム。途中からはc主題の断片と付点リズム。
そのあと、→[ポーコ・ピウ・モッソ]独奏pfの4オクターヴ・ユニゾンのスケイルで、
→[モルト・メーノ・モッソ、2♭(変ロ長調)]c主題の全奏。
→[アッレーグロ・ヴィーヴォ]新素材、次いで、a主題の断片。結尾。終止。

約2年の間隔後の「交響曲第4番」第1楽章第2主題でも、チャイコフスキーは
この付点リズムを駆使してる。
[モデラート・アッサイ、クワーズィ・アンダーンテ、9/8拍子、4♭(が、実質変イ短調)]
*****♪●●●ミ<♯ファーー、<♯ソ<ラーー、<シ│
   <ドーー、>シ>ラーーー、>♯ソ<ラーーー・ーーー、>ファ<ラーーーーーーー・ーーー、>ミ<ラーーーーーーー│
   >♭ラ>ソ>♭ソ>ファ>ミーーーーーーー・ーーーー♪

いずれにしても、チャイコフスキーがこの付点リズムを用いたのは、
3拍子(9拍子は3拍をひとまとめにして3拍子と捉えれる)の中においてである。
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