こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
依頼者からの相続相談において、しばしば誤解されているケースに【相続放棄】に関することがありますので、ブログで取り上げておきたいと思います。
なお、相続放棄とは家庭裁判所を通して行なう手続きのことです。
直近の相続相談で次のような事例がありました。
相談者は3人兄弟で、長兄は昨年(令和5年)亡くなっています。
そして、その長兄には子どもが2人います。
相談者の父親は昭和の時代に亡くなっています。
長兄は、亡父の名義のままになっている土地に長兄名義で建物を建てて住んでいましたが、昨年亡くなったという例です。
そして、長兄が住んでいた不動産は田舎にあったことから、亡父の相続人も、長兄の相続人も、誰も田舎の不動産を相続するつもりはないという事例です。
相談者は、長兄名義の建物を相続しても負担になるだけなので相続放棄をしたい、との意向です。
しかし、亡兄には子どもが2人いて、子どもは相続放棄をしていないので、亡兄の兄弟は相続人には なり得ません。
つまり、相続放棄ができるのは相続人だけですので、そもそも相談者は相続放棄ができないことになります。
長兄名義の建物以外に、亡父名義のままになっている土地の問題が残ります。
亡父は昭和の時代に亡くなっているので、亡父の子である相談者や、亡き長兄の子らは誰も相続放棄ができない状態になっています。
この事例の場合、原則的な対処方法としては、亡父の相続人全員で協議して誰かの名義に変更する必要があります。
その後、要らない土地を国に引き取ってもらう方法もあります。
この事例で理解していただきたい点は次の2点です。
①相続人ではない人は相続放棄ができません。。
②相続人であって、もはや相続放棄ができない状況になっている場合でも、【遺産分割協議】によって事実上の相続放棄ができます。