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司法書士が書くペット信託ブログ

被相続人の預貯金口座凍結

こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。

 

被相続人の死亡後に預貯金口座が凍結されるのは、銀行等が口座名義人の死亡を把握したときです。

役所には被相続人の死亡届を提出しますが、役所から銀行等に対して被相続人死亡の事実を通知するということはありません。

 

通常は、相続人が銀行等に対して口座名義人の死亡を通知することにより、口座が凍結されることになります。

 

銀行等に対して通知しない限り、銀行等は口座名義人が死亡したことを把握できませんので、名義人が死亡したあとも、いつまで経ってもキャッシュカードで預貯金を引き出すことができます。

 

相続人の一人が被相続人の預貯金口座のキャッシュカードを所持していて、不正に預貯金を引き出すおそれがあるときは、直ちに銀行等に死亡の事実を通知することにより、不正な使い込みを阻止することができます。

 

ちなみに、有名企業の経営陣や芸能人等の有名人の場合は、新聞の訃報欄やニュースなどで死亡が報じられることにより、相続人からの連絡なくして銀行等は口座を凍結します。

 

ところで、口座が凍結された場合に、被相続人の葬儀費用や相続人の当面の生活費などに充てるため、預貯金を引き出したいというニーズがあります。

このニーズに応えるため、「預貯金の仮払い制度」というものがあり、遺産分割協議が成立する前であっても預貯金を引き出すことが可能です。

 

以下、「預貯金の仮払い制度」を使って、被相続人の配偶者が預貯金を引き出す場合で説明します。

 

引き出せる金額には上限があり、次の①②のうち低い方の金額と定められています。

 

①死亡時の預貯金残高×2分の1(法定相続分)×3分の1

②150万円

 

仮に、被相続人死亡時の残高が1,500万円であったとすると、①の金額は1,500万円×6分の1=250万円となります。

引き出せる金額の上限は①②のうち低い方ですので、配偶者は150万円を引き出せることになります。

 

ところで、本制度により預貯金の仮払いを受けると、仮払いを受けた相続人は遺産分割により預貯金を取得したものとみなされ、引いては、相続することを「単純承認」したとみなされる可能性が高くなります。

つまり、のちに負債(消極財産)のほうが多いことが判明した場合でも、相続放棄ができなくなる可能性があります。

 

「預貯金の仮払い制度」を使う場合は、被相続人の負債の方が多い可能性はないか、事前に十分な検討が必要です。

 

 

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