夏と言えば、風鈴。
入道雲、縁側ですいか、蚊取り線香。
夕立の後のひぐらし。
浴衣で花火 などなどありますが
夏と言えばあの、黒いでかいつやつやの
口にするのもおぞましい昆虫が台頭する季節です。
あっ、たとえばお食事中の方
心臓の弱い方
虫の嫌いな方、はスルーしてください。
つる姫の実家は、今はどうだか知りませんが
小さい頃は、「あぶらむし」と呼ばれる
柿の種みたいな色と形の虫が、お便所や台所におりました。
私の中では、それが「ごきぶり」でした。
花の都大東京に出てきて
安いアパートに住んだ時、初めて見た巨大な黒い虫。
人はそれを「ゴキブリ」と呼んでいました。
東京のゴキブリは、食べ物のせいでこんなにデカイのかっ!
あたしゃ、いなかのゴキブリがいい!
田舎のネズミは、とっとと田舎に戻っていきましたとさ。
ではありませんが
いわゆるチャバネゴキブリ。
田舎にいたものと種類が違うのですね。
あたたかい地方のそれは、さらに巨大だとか
ゴキブリとの格闘の思い出は、一つ一つ鮮明に覚えているほど壮絶です。
一番最近の
思い出と名付けるには、あまりにもおぞましい出来事をひとつ。
はい、ここで再度ご注意。
嫌いな方は、スルーですよ。
それはある蒸し暑い朝、日々働き者の私はトイレ掃除をしようと
物入れの扉を開け、中にあったトイレのお掃除シートを手にして
扉を閉めようと、一歩足をひきました。
はだしの足のかかとのところで、カシャと何かの音がしたと当時に
かかとに何か貼りついた感触。
なんか踏んだ~。
膝を曲げ、足をくるりと裏返すと
なんと、ブリゴキ(普通に呼びたくない!)が
つるちゃんの足の裏で、白いはらわたを出してなお
細い黒い足をバタバタさせているではないか。
うぅおおおお~~~~~~~~~~~~っ!!
声でも悲鳴でもない音が、頭の先から飛び出しました。
どんだけトロいブリゴキなんだ!
つる姫の足に轢かれるなんて。
つる姫は、けんけんで部屋を駆け抜け、新聞紙の上にそいつを振り払い
新聞紙に挟んだ後、バシッ!と息の根を止めた ソコマデシナクテモ
そして、手すりにつかまって片足で階段を下り
シャワーで足の裏を洗いました。ぜぇ。
その数日後。
天井に、あいつの兄弟を発見。
そうか、そこなら、踏まれないかっ!
その辺にあったピアノの椅子に乗って、叩こうとした時
つるが スベッた。
右手をついて、フローリングに落下。
か弱い手では支え切れず、右のわき腹を強打した。
その間に、ブリゴキは逃走。
つる姫は、肋軟骨にひびが入ってしまった
折しも夏風邪をひき、咳が止まらない。
咳やくしゃみをするたびに、肋骨に猛烈な痛みが走る。
コルセットをするように言われたが
厚い夏に、コルセットなどしていたら
死ぬ。
勝手につる姫の足の下でつぶされたブリゴキの祟りですかい。
小さなお墓でも作ってやればよかったとでも言うのでしょうか。
夏が来れば思い出すぅ
あの、カシャッ・と言う玉ねぎの皮を踏んだような乾いた音~
つぶれてなお、もがいていたあの黒い足~~
はるかな、おぜ~~ぇ~~
とおいそら~~~ぁ ♪
手のひらを太陽に 足の裏にも太陽を
僕らはみんな生きている。
全ての命に敬意を。
感謝をこめて つる姫