やっと読み終えた「ユーラシアの双子」。作家の大崎喜生氏は札幌市生まれの現在53才の方。
主人公は姉妹の長女に19才で自殺され妻と離婚、50才で会社を退社する。煩悶する日々の中でふとしたことから、ロシアをシベリア鉄道で縦断、ヨーロッパを経由してポルトガルで終わる旅行を計画する。そして、最初の地ウラジオストックでレストランの娘から同じコースを先行する娘が旅の終わりに自殺するかも知れないから助けてやって欲しいと頼まれる。
彼はそれを自分の死んだ娘の導きを考え彼女に追いついて助けようとするシリアスなストーリーです。
列車ので同室になった10才位年下のドイツと日本を行き来して仕事をしている男に助けられながら旅を続けるのですが…。その道中、シベリア鉄道や途中に立ち寄る町での応対の悪さに二人の間で格言とおやじギャグが炸裂する。
「コルホーズもソフォーズも解体され」そして「野放図になった」
「私は今イルクースツにクースツ」
「チェミニまで見たチェミニ油田」
「モスクワにもう着くわ」
「ソ連みたことか」
長い旅に飽き飽きしている様子が分かるでしょう。
そして、ロシアの格言です。
“絶望には蝿がたかり 希望には蛆がわく”
どうにも動かしようもない現実に対して、駄洒落や格言で立ち向かうことが大人の知恵なのかも知れないと、りっぱなおやじである私は納得したのです。
これからは駄洒落の言えるおやじになるべく精進する次第です。