雨の中を歩く巡礼者
巡礼で出会った人々 Les hommes que j’ai rencontre durant mon pelerinage
5)その他の出会い(続) Autres Rencontres (Suite)
1. ドイツから来た幼稚園の先生
巡礼第7日目は、エスパリオンのHalte St Jacquesと言うジットに泊まりました。ところが、ここに泊まっていたのは、連れののジャン・マリーの他には、女性の巡礼者が一人いるだけでした。その女性は、ドイツから来たシルケさんでした。
彼女は、8月10日にシュトゥットガルトを出発したとのこと。この日は10月1日でしたので、既に50日も歩いています。目的地は、スペインのサンティアゴ・ド・コンポステラと言っていましたので、まだ2か月近く歩かなければなりません。
シルケさんによると、職業は幼稚園の先生とのこと。5年間勤務すると、ドイツでは3ヶ月の休暇が貰えると言っていました。その休暇を利用して、サンティアゴ巡礼をしているとのことですが、その精神力と体力には脱帽です。
左端がシルケさん(ゴリナックの夕食にて)
2. フランス人女性の二人連れ
最初にこの二入と出会ったのは、少々記憶はおぼろげですが、ル・ソヴァージュのジットだったと思います。
その後、度々ジットでお会いする機会があり、次第に親しく会話を交わすようになりました。一人はアニーと言う名前で覚えやすかったのですが、もう一人はGouillemetteと言い、正しく発音できずに苦労しました。結局、ギィヨメットと発音するのが、本来の名前に近いことが分りました。
アニーは、歩くときの姿勢が安定しており、かつステップもリズミカルなので、スポーツ選手の様な印象でした。一方、ギィヨメットはおしゃべりで社交的な性格でした。ギィヨメットは、旅館のおかみをしていると言っていたので、成程と思いました。二人とも、住まいはオーベルニュ地方の首都、クレルモン・フェランの近郊との事でした。
アニーも、他の巡礼仲間に刺激されて、熱心に俳句を考えていました。彼女の一句を日本語に翻訳すると次の通りでした。
“朝霧や ギザギザの落ち葉で 足に傷”
この二人とは、コンクの街を見下ろす丘まで登ったところで、別れを告げました。
コンクの夕食で、食事を取り分けてくれるアニー(左)とギィヨメット(右)
3. オモン・オーブラックのジットのご主人
ここのご主人には、大変に世話になりました。
私は、毎日自分のリュックを次に泊まるジットまで届けてもらう宅配サービスを利用していました。しかし、このジットに到着した時に、まだ届いていなかったのです。慣れないフランス語でここのご主人にお願いして、私の荷物がどうなっているのか、調べて貰いました。すると、今朝出発したジットにそのまま残っていることが判明しました。
ご主人は、“明日の朝までには届けてもらうように頼んだから、心配しなくていいよ。”と言ってくれました。万一届かなければ、旅の日程を変更しなければなりません。でも、翌朝8時前にきちんと私のリュックが到着しました。このご主人の親切には、“メルシー・ボークー!”でした。
夕食のアリゴーを準備中の宿のご主人
4. サン・ロッシュのジットの女主人
ここでお話しするのは、巡礼第10日目に泊まったドカズヴィル郊外のサン・ロシュでの出来事です。ここのジットは、教会の経営による小規模の施設でした。
生憎、この日は激しい雨にたたられ、巡礼者は皆ずぶ濡れになってこの宿に到着しました。でも、ここの定員は7人で、7つのベッドしかありませんでした。私たちの仲間3人は予約していましたが、次の一人が到着すると満室になってしまいました。
ところが、その後もう一人予約なしの巡礼者が来て、宿泊を懇願しました。でも、もうベッドの空きはありません。外は大雨であり、近所にはジットはありませんので、その巡礼者は途方に暮れています。すると、このジットを運営する女主人のブリジットは、素晴らしい決断をしました。すぐ向かいにある教会の中で寝てもいいよと言ったのです。その巡礼者は寝袋を携行していましたので、教会の床に寝袋を敷いて、ゆっくりと一夜を過ごすことができたのです。
巡礼道の教会は、中世以来、巡礼者の救護や休息、宿泊などのお世話をする伝統がありますが、巡礼者を大事にする習慣を見て、胸が熱くなりました。
サン・ロッシュ教会付属のジット
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます