1月11日(木)小林研一郎指揮 プラハ交響楽団
サントリーホール
【曲目】
♪ スメタナ/連作交響詩「わが祖国」
今年創立90年を迎えるプラハ交響楽団の3回の東京公演のうち、東欧のオケと縁の深い小林研一郎が指揮して「わが祖国」をやる演奏会を聴いた。
演奏会で終始伝わって来たのはオケの自然な息遣いや温かな歌だ。コバケンさんというと、唸り声を上げてアグレッシブにオケをドライブして聴き手を高揚させていくコバケン節が真骨頂と云えるが、今夜の演奏ではそれとは違い、オケが心の奥底の歌を歌い上げることに寄り添う姿勢を貫き、このオケならではの響きと息遣いと体温が醸し出された。
コバケンさんが、オケが自分たちの「心の歌」とも云えるこの作品を奏でることに全幅の信頼を寄せている表れだろうか、オケに身体だけ向けて指揮をせずに演奏を任せる場面が何度もあった。「ヴルタヴァ」の大切な旋律が最初に奏でられる場面もそうで、今夜の演奏ではオケの自然な自発性を重んじ、音楽のエッセンスをオケから自然に湧き出し、調和を導き出すことに徹した指揮だと感じた。そこからは、味わい深く、温かくて親密な祈りが伝わってきた。序盤ではここぞと言う場面でのパワーに物足りなさも感じたが、3曲目の「シャールカ」の終盤では頼もしい底力を聴かせ、最後の「ブラニーク」はエネルギーに満ち溢れた感動的なエンディングを聴かせてくれた。
プラハ交響楽団は、切れ味や機能美よりも滑らかで柔らかな語り口で、いかにも東欧的な素朴な味わいと穏やかな詩情を醸し出すところが魅力。弦は厚みがありながら繊細で、金管合奏の響きも温かい。ソロの出番も多かった1番のホルンの柔らかく美しい歌には何度ホレボレとしたことか。クラリネットやオーボエの音色にも独特の詩情が感じられた。
こうしたオケの持ち味、プレイヤー達の思いが最良の形で実を結んだのは、コバケンさんが長年温めて来たこの作品への愛、それを奏でるオーケストラへの共感があってこそのことだろう。両者はこれまでに何度も共演を重ねた間柄ではないようだが、長い時間をかけてじっくりと培ってきたような名演が実現した。
日本のオケの時と同様に、終演後のカーテンコールで自分は常に一歩下がり、団員と共に四方に向かってみんなでお辞儀するコバケンスタイルで会場を和ませた。
読響 特別演奏会:コバケンのベト7! 2020.7.21 サントリーホール
コバケン/読響の「復活」 2015.4.24 東京芸術劇場
堤剛(Vc)/小林研一郎/日フィル 2013.5.18 サントリーホール
コバケン/日本フィルの「運命」&「新世界」 2011.1.16 サントリーホール
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コバケンさんが、オケが自分たちの「心の歌」とも云えるこの作品を奏でることに全幅の信頼を寄せている表れだろうか、オケに身体だけ向けて指揮をせずに演奏を任せる場面が何度もあった。「ヴルタヴァ」の大切な旋律が最初に奏でられる場面もそうで、今夜の演奏ではオケの自然な自発性を重んじ、音楽のエッセンスをオケから自然に湧き出し、調和を導き出すことに徹した指揮だと感じた。そこからは、味わい深く、温かくて親密な祈りが伝わってきた。序盤ではここぞと言う場面でのパワーに物足りなさも感じたが、3曲目の「シャールカ」の終盤では頼もしい底力を聴かせ、最後の「ブラニーク」はエネルギーに満ち溢れた感動的なエンディングを聴かせてくれた。
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