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MAROワールド Vol.14 "ブラームスPart.II"

2010年09月17日 | pocknのコンサート感想録2010
9月17日(金)MAROワールド Vol.14“ブラームスPart.II”
王子ホール

【曲目】
1.弦楽六重奏曲第1番変ロ長調Op.18
2.弦楽六重奏曲第2番ト長調Op.36
【アンコール】
ハンガリー舞曲第5番

Vn:篠崎史紀、伝田正秀/Vla:鈴木康浩、鈴木 学/Vc:桑田 歩、上森祥平

5年振りにブラームスを取り上げたMAROワールドは、濃~いブラームスの室内楽の中でも、とりわけ濃厚なイメージが強い弦楽六重奏曲が2つ並んだ。男6人による弦のアンサンブルが、これらブラームスの熱い思いが込められた音楽を、濃く、熱く奏でた。

第1番の第1楽章、6人は、たっぷりと心の底から歌い上げ、溢れんばかりに思いを吐露する。充実した響きが王子ホールをいっぱいに満たした。第2楽章、鈴木さんのヴィオラが、思いを寄せるひとの窓辺で夜な夜な歌うセレナードのように、熱い歌を奏でると、他の奏者達がそれに触発されて唱和しつつ盛り上がって行くシーンが、ムンムンと迫ってきた。

この曲は熱気溢れる若いエネルギーが持続しないと太刀打ちできない気がするが、それだげでは出ずっぱりで節操がない。マロワールドのアンサンブルには、そこに大人の魅力が加わっている。第3楽章ではもっと遊んでも面白い気がしたのと、第4楽章は更に解放へと向かえる余地を感じはしたが、大変充実した演奏だった。

第2番は、「アガーテ!(AGADHE)」と好きな女への気持ち(未練?)をあからさまに繰り返す、またもや熱い音楽に、これは聴く方も体力が必要だと身構えたが、第2楽章では陽気な民族的な楽しい気分を共有し、第3楽章では内面的なしっとりした美しさに引き込まれ、「熱い思い」とはまた違った切り口の音楽が楽しめた。

その第3楽章、マロさんの奏でる甘く香り高い歌と、上森さんの、柔らかでかつ芯のあるチェロの調べに、他のパートも絡み、ポリフォニックな動きのなかで美しいハーモニーを響かせて行く熟成されたアンサンブルに心酔。そんな深い世界にじわっと来たあとは、第4楽章で伸びやかな高揚感に心が浮き立ち、幸せな気分で曲を閉じた。ひとつの大きなドラマを体験したような充実した演奏で、これは1番にも増して素晴らしかった。

アンコールでは、ブラームス自身が耳にして曲が生まれるもとになったという、ハンガリーで実際に踊りの伴奏として演奏するときのオリジナルの「ハンガリー舞曲」が披露された。マロさんのカデンツァに先導された、民族色溢れる濃くて熱い演奏に、血沸き肉躍る興奮が伝わってきた… なんて書くと、実際にこの演奏を聴いた人は「なるほど、そうだったのか!」と納得してくれそうなほど、濃厚な民族色と高揚感に溢れた素晴らしい演奏で、会場を大いに盛り上げた(もちろん、「オリジナル」の話は冗談です…)。MAROワールドはこれだから楽しい!

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