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東京藝大チェンバーオーケストラ 第15回定期演奏会

2010年06月04日 | pocknのコンサート感想録2010
6月4日(金)ヨハネス・マイスル指揮 東京藝大チェンバーオーケストラ
東京芸術大学奏楽堂
【曲目】
1.シューベルト/序曲ハ短調D8
2.シェーンベルク/室内交響曲第2番Op.38a
3.ハイドン/交響曲第95番ハ短調Hob.I:95
【アンコール】
ハイドン/交響曲第95番~第4楽章

シェーンベルクとハイドンというプログラムに引かれて聴きに行くことにした芸大チェンバーオケは去年の11月、ボッセの指揮でハイドンを聴いて好印象を持った実績あり。

まずはシューベルトが14歳のときに書いたという序曲が弦楽合奏で演奏されたが、とにかく響きが美しい。冒頭から磨かれた艶やかな響きがホールいっぱいに広がった。この響きは、アンサンブルとして何か特別なトレーニングを積んだような精巧さで、みずみずしく、くっきりとした響き。そして瑞々しいアンサンブルが繰り広げられていったが、内声から聴こえてくるヴィオラがとりわけ魅惑的に響いているのが印象に残った。

続くシェーンベルクの室内シンフォニー第2番、第1楽章は各パートが充実した響きで雄弁に語りかけてきたが、全体としては響きにもっと湿感が欲しい気がした。第2楽章は活き活きした室内楽的な楽器のやり取りが小気味よく進み、やがてアンサンブルとして熱を帯びてきた。いろんな楽器で模倣されるモチーフが有機的に息をつなぎ、聴き手を引き込んで行く。最後の熱い弦の響きがズーンと胸に迫ってきた。これも好演。

そして、去年ボッセとの演奏で素敵なロンドン・シンフォニーが聴けて、またこのオケで聴きたいと思っていたハイドンのシンフォニー、今夜は同じザロモン・セットから95番。冒頭のユニゾンがキリッと高らかに鳴り渡り、一気に全神経が演奏に向かう・・・と思ったらら最初の休符の間に大きな咳をカマす客あり。。。 気を取り直して演奏に聴き入る。マイスルは柔軟なニュアンスを与えながら活き活きとしたハイドン像を描く。オーケストラの響きはとても瑞々しく美しい。

輝かしさと厳しさに、チャーミングなニュアンスも加わった第1楽章、ディヴェルティメントのように楽しげに歌い、ウキウキした気分にさせてくれた第2楽章(活き活きした美音のチェロのソロも印象深い)、速いテンポで踊りまわるような第3楽章メヌエット(ここでもチェロ君が大活躍!)、そして、何とも柔らかくきれいな響きで始まった第4楽章は、やがて生命力に溢れたフーガへと突入する。本当の好みとしては、対旋律も律儀にカッチリと聴かせて、堅牢な建築物のように築き上げてもらいたいところだが、マイスル/芸大チェンバーオケはあくまで流麗に、華やかに、活き活きと進んで行った。鮮やかな振り付けの、華やかなダンスを見ているようなハイドンもいいものだ。輝かしさのある美しい響きで、若々しい演奏に心が躍った。アンコールをやってくれたのもよかった。

次回の定期演奏会にはまたボッセが登場とのこと。当然ハイドンを期待したい!

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