facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ドビュッシー生誕150周年記念コンサート

2012年07月19日 | pocknのコンサート感想録2012
7月17日(火)ドビュッシー生誕150周年記念コンサート

渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール


【出演】
弦楽四重奏:Quatuor Lumière
MS:岩井奈美(+朗読)、吉成文乃
Pf:太田智子、森本加奈、吉田千佳子、千葉直美
Pfデュオ:仲村渠真紀 真壁康子

【曲目】
♪弦楽四重奏曲 ト短調Op.10~第1楽章
♪夢、月の光、亜麻色の髪の乙女 にのせての朗読
♪2つのロマンス
♪3つの歌曲
♪歌曲~星の夜、角笛の音は悲しく、生垣の連なり
♪版画~
♪喜びの島
♪ 前奏曲集第1巻、第2巻~
♪ 6つの古代エピグラフ~

ドビュッシーの生誕150周年にちなんだコンサートがあちこちで催されている。こうしたコンサートは、普段のコンサートではなかなか接することができない名曲に出会うチャンスでもある。今夜の演奏会はビアノ曲が中心だったが、声楽や弦楽四重奏やビアノデュオ、それにビアノの演奏をBGMにした詩の朗読もあるという多彩な内容だった。

ただ、弦楽器が登場したのはカルテットで演奏された有名な曲の1楽章だけ、ビアノ曲も有名なセットものからつまみ食いしたような感じで、発掘の成果は歌曲ぐらい。演奏を始める前に主宰者がドビュッシーについてミニレクチャーを行った意気込みのわりに、全体的なプログラミングにはこれといったコンセプトは感じられず、また、演奏者が次々に入れ替わっていろいろ小品を披露する様子は発表会のようでもあった。

肝心の演奏のほうだが、譜面から全く目が離れず聴衆への訴えかけが感じられなかったり、表面的な演奏に終始して何を表現したいのかがよく伝わってこなかったり、この演奏会のためにどの程度準備したのだろうかと思ってしまうようなものもあった。それなりの入場料を取っているわけだから、発表会で終わってしまってはいけない。

その一方で、とても訴えかけてきた演奏は、吉成文乃さんが歌った歌曲。声にはますます磨きがかかって艶が増し、滑らかで、深くたっぷりとした表情で聴かせた歌は、知らなかった曲からドビュッシーの魅力を伝えてくれた。千葉直美さんのピアノ伴奏も、色彩豊かで滑らかな音の運びが歌をよく引き立てていた。吉成さんが自ら作成した歌詞対訳付きの曲目解説はとても役に立ったし、演奏する作品への意気込みをこうした形で見せてくれる姿勢にも好感度が増した。

最後に演奏した仲村さんと真壁さんのピアノデュオもいい演奏だった。繊細な音色のグラデーションが美しく、詩情に溢れた表情からは芳香が漂ってくるようで、二人の演奏が一対となって融け合っていた。「6つの古代エピグラフ」は普段耳にすることのない曲だが、とてもいい曲だし全曲聴きたかった。ただ、演奏会の最後を飾るにしては盛り上がりに欠ける選曲だった。チラシには「海」をやることになっていたのだが… 「終わりよければ…」と言いたいところだが、最後まで肩透かしの多いコンサートだった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東京二期会オペラ劇場「カヴ... | トップ | 小菅 優 ベートーヴェン・ソ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2012」カテゴリの最新記事