結婚30周年を記念して2019年9月に出かけたドイツとイタリア旅行は、訪れたそれぞれの地でたくさんの発見と出会いと再会があり、思い出深い旅となりました。 一方で、個人旅行ならではのハプニングにも事欠きませんでした。それは不可抗力のせいだったり、自分たちの(だいたいボクの・・)不注意や勘違いが原因だったりいろいろですが、それぞれがドラマや謎を孕んでいます。ここではそんなハプニングを紹介していきます。 |
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ 1
~「誤算続きの旅行初日」~
~9月10日(火)~
日本列島を縦断して各地に大きな被害をもたらした台風15号は、僕たちの旅行出発前日の9月9日、よりにもよって成田空港を直撃。空港と都心部を結ぶ交通機関がことごとく運休となり、空港は「陸の孤島」というニュースが流れた。
幸いその夜にはスカイライナーは復旧し、15分遅れで空港に到着した。空港は散らかっていて、ここで夜を明かした人たち(1万人も足止めを食ったそうだ)に用意されたであろう寝袋などがあちこちにあった。もしも出発が1日早かったら僕たちは空港に向かう手段を絶たれ、出発することができなかっただろうと考えると、ラッキーな気分よりも、危機と隣り合わせだった怖ろしさが勝る。
今日の最終目的地は北ドイツのリューベック。KLMオランダ航空でアムステルダム経由ハンブルクまで飛び、そこからは鉄路でリューベックに向かう。アムステルダムでの乗り継ぎ時間は1時間40分。予定通りにアムステルダムに着けば十分な時間だが、少しでも遅れると乗り継ぎが危うくなる。空港はまだ通常どおりではないのが心配だ。
その心配が的中して飛行機の離陸は予定より1時間も遅れたが、久々に乗ったKLMはなかなか快適(もちろんエコノミー)。座席前のディスプレイは、いつも乗る飛行機よりもかなり進んでいて多機能で楽しい。以前は食事以外にカップラーメンとハーゲンダッツアイスが配られたが、カップラーメンはセルフに、アイスはなかったな… 隣に座った日本人の男性と旅のことなどいろいろ話が弾んだ。この方と、その後もご縁ができることはまだ知らない。
11時間のフライトの末にアムステルダム・スキポール空港に到着。出発時の1時間の遅れを10分遅れまで挽回。けれど空港内のセキュリティーチェックがバカに厳しくて行列で随分と待たされた。空港のショップはミッフィーのグッズや木靴、チューリップなどで華やかで楽しそうだが、乗り継ぎ時間が押してしまい殆ど素通り。おまけに搭乗ゲートも遠く、乗継ぎ便に乗れたのはギリギリ。荷物はちゃんと積み替えてもらえただろうか…
アムステルダムからハンブルクまでは42分のフライト。台風騒ぎにもめげず、とりあえず体は無事にハンブルクまで予定通り到着した。
あとは荷物だ。エスカレータに乗っているときにメール着信のお知らせが。な・なんとKLMカスタマーサービスからだ。「誠に申し訳ございません。出発空港で受託手荷物の到着が遅れております。」なんだって~。。!?つまり乗ってきた飛行機に荷物は載らなかったってこと?バゲージクレームで待っても無駄ってことだな。。。 心配していたことが現実となってしまった。あの短いトランジットで、あんなに離れた搭乗ゲートの飛行機に荷物を積み替えるのは無理だったってことか。この後、電車でリューベックまで行かなければならない。荷物はホテルまで配送してもらうしかないか…
案内のスタッフに相談したら、「荷物は次のアムステルダム→ハンブルク便に載せると連絡が入ってます。配送も可能だけど何日もかかる可能性があるから、次の便を待つのがベストよ。」と云われた。ここは日本ではない。宅急便の即日配送なんてあり得ないわけだ。それなら待つしかないが、あと4時間もどうすりゃいいんだ。。ターンテーブルの前で空しく立っている日本人が何人かいた。飛行機で隣りだった男性もいる。同じ乗り継ぎ便で来た乗客の預け荷物の運命はみな同じだ。その人たちに事情を説明したら、みんな一堂に「え~っ。。!?」と困った様子。僕らは運命共同体で、その男性と、お母さんと娘さん親子の5人で食事しながら次の便を一緒に待つことにした。
食事をするため一旦ロビーに出たいので、出口にいた係員に「次の便が来たらまたここに戻りたい」と話したら「戻るときはこれを見せて」とメモを書いて渡してくれた。今夜はリューベックで遅めの夕食ができるお店を決めていたのだが仕方ない。せめてハンブルク名物とハンブルクのビールでも楽しみたい。みんなで空港内のレストランに入り、よくわからないけどとりあえずハンブルクのビールで「乾杯!」。旅の話、ドイツの話など、同じ運命を共にしている仲間意識も働いて盛り上がった。
ようやく次の便が到着する時刻が近づき再びバゲージクレームエリアへ。出口専用の扉でさっきのメモを見せたらすんなり入れてもらえた。「来た!」、僕たち5人の荷物は無事に届いた。とりあえず一安心。不安を抱えながらもしばしの楽しい時間を共有した「運命共同体」は、それぞれ本来の行き先へと向かった。
他の方々はハンブルク泊。僕らはこれからリューベックまで行かなければならない。時刻はすでに22時。大幅に遅れることはホテルに伝えて了解をもらってはいるが、予約時には「21時以降のチェックインはできません」と注意書きがあったし、個人経営のホテルだし、これから電車で行くとなると午前零時を回ってしまう。さすがに迷惑だろうし、僕らもくたびれ果ててしまいそうだし、ということで高額料金を覚悟で、うまくすれば保険で戻ってくることを期待してタクシーで行くことにした。
運転手さんに行き先を告げると、料金表を見せられて110ユーロとのこと。深夜だし妥当なところだ。了解して乗り込んだ。僕は助手席。「だいたい55分で着きますよ」。運転手さんはイラン出身の方でとても感じがよく、ドイツ語も聞きやすい。このハプニングの話から始まり、お互いの国の話などで話が弾んだ。奥さんは後部座席で寝入っていた。無理もない、日本ならもう徹夜明けの時刻だ。云われた通りの時間でタクシーはリューベックの旧市街に入っていった。街灯が鈍く照らす石畳の道をタクシーはゆっくり走り、ホテルの前に停まった。荷物を下してもらい、念のために領収書を書いてもらい、握手をして別れた。
23時30分になろうとしていた。ホテルのベルを鳴らすとご主人らしき人が笑顔で迎えてくれた。鍵を受け取り、「グーテナハト!」と挨拶を交わして部屋へ入った。やっと着いた!
ホテル(Hotel Haase)は旧市街の歴史的な建物で、部屋には燭台が置かれていたりして趣があり落ち着ける。リューベックでの初日の夕食も、夜の散歩もできなかったが、荷物を受け取れて予約していたホテルにたどり着けたので良しとしよう。出発が1日早かったら飛行機に乗ることもできなかったわけだし。明日はリューベックの街歩き、そしてバルト海を望むトラベミュンデにも足を延ばす。寝坊しないように寝ておこう。
後日談:タクシー代は保険でも航空会社でも補償はしてもらえなかった。。
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