結婚30周年を記念して2019年9月に出かけたドイツとイタリア旅行は、訪れたそれぞれの地でたくさんの発見と出会いと再会があり、思い出深い旅となりました。 一方で、個人旅行ならではのハプニングにも事欠きませんでした。それは不可抗力のせいだったり、自分たちの(だいたいボクの・・)不注意や勘違いが原因だったりいろいろですが、それぞれがドラマや謎を孕んでいます。ここではそんなハプニングを紹介していきます。 |
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ5
「憧れのフレッチャロッサが・・・」
旅のハプニングシリーズその5はイタリアの鉄道ネタ。イタリアの鉄道っていい加減でお気楽なイメージがあるが、ミラノのマルペンサ空港からコモ、コモからヴェローナと鉄旅をする間は意外にもドイツ鉄道よりもずっと正確でなかなか優秀だった。でもヴェローナで起きたこのハプニングはどう説明すべきか・・・
~9月18日(水)~
5年前に「天空の町」とも呼ばれる高台に佇むオルヴィエートという美しい町を訪れたとき、高台から眼下に広がる平野を赤い車体の列車が走り抜けるのが見えた。イタリア鉄道トレニタリアが誇る高速特急「フレッチャロッサ」だ。イタリア語でフレッチャは「矢」、ロッサは「赤」なので、イタリア版レッドアロー号と云うところか。まさに赤い矢の如く疾走するフレッチャロッサを見て「カッコいい!乗ってみたい!」と思った。
5年前の望みを叶えるべく、ヴェローナからパドヴァまでをフレッチャロッサで移動することにして、ネットの早割でチケットを購入した。ロメオとジュリエッタの舞台で有名なヴェローナは新婚旅行で訪れた街。30年ぶりに訪れたヴェローナには泊りはしなかったが、ブラ広場、アレーナ、ロメオとジュリエッタの家、カステルヴェッキオなど思い出の場所を中心にたっぷりと過ごした。
夏のシーズンはヴェルディのオペラ「アイーダ」が上演されることでも有名な古代円形劇場のアレーナ。舞台装置が設えてあった。観たかったなー・・・
ロメオとジュリエッタの家は30年前とは比べものにならないほど大勢のラガッツェ(女子たち)でごった返していてビックリした。
恋のメッセージをメモして壁に貼り付ける女の子たち
ジュリエッタのバルコニーも順番待ち
30年前に結婚報告のハガキの写真に使ったカステルヴェッキオで
懐かしのヴェローナをたっぷり観光していよいよ憧れのフレッチャロッサに乗車だ。行き先はヴェネツィアの手前のパドヴァ。18時半過ぎに駅に戻り電光掲示板を見ると、僕たちが乗る19時発のヴェネツィア行きフレッチャロッサは10分遅れで6番線に到着予定と出ていた。手荷物預け所から預けておいた荷物をピックアップしてもう一度掲示板を確かめたら、到着番線が6番線から4番線に変わっていた。
ホームへ行こうとしたら、ヘンな兄さんが階段下でよたつきながらわめいて拳をビュンビュン振り回していた。ラリッてる?怖いな~。。できるだけ遠巻きにしてエレベータでホームに上がった。待合室で待っていたのだが、ホーム上にある電光掲示には何も表示が出てないし人もいない。「おかしいなぁ…」と待っているうちに、そろそろ10分遅れでフレッチャロッサが到着する時刻が近づいてきた。けれど電光掲示には相変わらず何も出ていない。
心配になって1階の大きな掲示板で確かめようと階段を下りたら、あの兄さんが相変わらず拳を振り回している。近づきたくないし、電車が来てしまう心配もあったので掲示板は見ずに戻ろうとしたとき、階段の上から奥さんが「となりのホームにヴェネツィア行きの特急が来てるよー!」と叫んでいるではないか。
「ええええ!?どーして!?」慌てて階段を駆け上がると、最初に案内を見たときに発車予定だった隣の6番線ホームにフレッチャロッサが停まっているではないか!!車体の行き先表示には”Venezia”の文字が。これはやばい!エレベータは諦めて、すぐさま合計35キロ以上あるスーツケースとリュックを担いで階段を駆け下りた。あの兄さんがまだいるが遠回りするヒマは一秒だってない。すぐそばを駆け抜け、階段を必死で駆け上った。身体がバラバラになりそう。。
6番線ホームへ上がって見たのは、すでに動き始めたフレッチャロッサだった。。。
「待ってー!!アスペーッタ!!」と大手を振ったが、車掌さんのいる最後の車両が通り過ぎたときはもうかなり加速していて停まってくれるワケはない。電車は行ってしまった。
「どどどどーしよーーーー。。。。。」いろいろなことが頭の中を駆け回った。「パドヴァには一体何時に着けるんだろう?」「この早割チケットはムダになっちゃうな。。」「憧れのフレッチャロッサにも乗れないのか。。。」
ホームで呆然と立ち尽くすオレ。でも僕より大抵いつも冷静な奥さんは違った。掲示板を見て、購入したチケットと見比べている。「今行った電車の番号、このチケットにある番号と違うよ。」さっきまで何も出ていなかった4番線の掲示板に何か出ている。よく見ると僕らが乗る予定の9749番のヴェネツィア行きフレッチャロッサの案内が出ているではないか。荷物を抱え、再び大急ぎで4番線へ(一体こんなことをこの旅で何度繰り返したことか。。)。
ヴェネツィア行きのフレッチャロッサ号は20分遅れでやって来た!
乗車して座席指定の椅子へ腰を沈めた。安心や喜びよりも脱力感が勝ったが、とにかく乗れた。最後まであきらめるもんじゃない。僕だけだったら「もうダメだ。。」と打ちひしがれてしばらく何も出来ず、乗れるはずのフレッチャロッサを逃していた可能性大だ。
フレッチャロッサは快適な乗り心地で、車内の速度表示は今回の旅行で最高の180キロを示している。パドヴァには定刻より遅れたものの42分で到着した。ホテルで紹介してくれたピッツェリーアで美味しく夕食をとった。ホテルに戻る手前でパドヴァのシンボル、サンタントニオ聖堂がライトアップされて闇夜に浮かんでいた。
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ベルリン町中探訪 2015
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天候によっても遅れるから、なんとも言えませんが。。。
コメントありがとうございます。
そうなんですよー。イタリアの列車の運行は、こんな風に駅のアナウンスの不親切さはあるけれど、この旅ではかなり優秀だと思いました。
それに対して、以前は正確が売りだったDBは今は酷い状況ですね。おかげでハプニングシリーズのネタが増えました