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早稲田大学フィルハーモニー管絃楽団第91回定期演奏会

2024年12月30日 | pocknのコンサート感想録2024
12月26日(木)喜古恵理香 指揮 早稲田大学フィルハーモニー管絃楽団
~第91回定期演奏会~
めぐろパーシモンホール


【曲目】
1.チャイコフスキー/イタリア奇想曲 Op.45
2.チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割り人形」Op.71a
3.ブラームス/交響曲第3番ヘ長調 Op.90


早稲フィルの定期演奏会、少しご無沙汰していたと思ったら3年ぶりとは年月の経つのが早すぎる… 早稲フィルは変わらぬ大所帯で、意欲的なプログラムを引っ提げてバイタリティ溢れる熱演を聴かせてくれた。

早稲フィルはプレイヤーの技量レベルが高くて「上手いオケ」であることは間違いないが、何よりこのオケが聴き手の心を掴むのは、全員が一丸となって音楽を熱く歌い、語り、突き進む姿勢だと思う。それは1曲目のイタリア奇想曲からビンビンと伝わって来た。どこかのソロパートが落ちてしまっても、気後れすることなく果敢に奏でることを忘れない。弦楽器がユニゾンで下げ弓の連発で迫ってくる場面の荒々しさからも攻めの姿勢が伝わった。「美しい娘さん」のテーマが陽気に、色気も加わって踊っている様子も臨場感たっぷり。最終盤のパワー全開、天井知らずのイケイケの盛り上がりはこのオケの真骨頂だ。

指揮の喜古恵理香さんはオケのこうした持ち味を最大限に引き出していた。指揮姿は後ろからでも音楽の香りやテイストにぴったりの表現が見て取れて、色っぽさもあり、こんなとき喜古さんはどんな顔をしているんだろうか、と興味が湧いた。パワフルに煽るときの勇ましい姿も堂に入っている。

「くるみ割り人形」では早稲フィルの「巧さ」が更に光った。様々なキャラクターを持つ楽曲が、踊り、歌い、軽やかに飛び回る。細かい動きもくっきりと刻む弦、歌を次々と受け渡す管楽器も上手い。この組曲はつくづく良く出来た名曲だと思う。各パートが有機的に対話し、繋がり、唱和して、幸せオーラを振りまく音楽の魅力を、早稲フィルは十分に伝えていた。「金平糖の踊り」では、ヴァイオリンを弾いていた星野響さんがチェレスタを流麗に演奏。こうした多才な逸材が早稲フィルにはまだまだいそう!ここでも喜古さんの優美で的確な指揮姿が目を引いた。瞬間的な呼吸の動きまでよく伝え、オケはそれを敏感に感じ取って生き生きと柔軟な演奏で応えていた。

最後はブラ3。ブラームスの交響曲のなかでもアマオケが取り上げる機会が少ない地味な3番を持ってくるところにもこのオケのチャレンジ精神と自信が窺えるが、そんな心意気を伝える充実した演奏となった。濃厚にメリハリを付け、腹の底から歌い上げ、早稲フィルの持ち味である全員一丸の熱い演奏を聴かせた。コンマスから最後尾まで大多数の弦の奏者が弓全体を大きく使って、体全体で音楽を伝えようとする積極的な姿が音となって届いて来た。

アグレッシブなシーンだけでなく、第2楽章での管と弦との濃密な対話や、第3楽章の溢れる詩情にも聴き惚れる。第3楽章では1番のホルンを担当した堀井千代さんが、ホルンの聴かせどころをどれも見事に決めて楽章全体の完成度を高めた。パワフルな場面だけでなく、叙情味溢れる場面でも懐が深くハートのこもった演奏でこのシンフォニーの魅力を伝えた。第4楽章の波が徐々に引いて行く表現の難しさは感じたが、全曲を聴き終えたときの満足度はとても高かった。大曲をしっかりまとめあげた喜古さんは、団員の健闘を称えるときはにこやかな表情なのに、聴衆に向かってお辞儀するときは急に真顔になる。

この早稲フィルの定期演奏会で今年のコンサート通いは終了。とてもいい締めくくりとなった。


終演後のめぐろパーシモン

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