2月6日(木)パーヴォ・ヤルヴィ 指揮 NHK交響楽団
《2020年2月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 Op.19
【アンコール】
♪ バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調~第1曲 アダージョ
Vn:レティシア・モレノ
2.ラフマニノフ/交響曲第2番ホ短調 Op.27
僕にとって今年度最後のN響定期は、パーヴォの指揮でロシアの対照的な作品がふたつ並んだ。プロコフィエフのコンチェルトは、15年前にヒラリー・ハーンがN響定期でやった演奏の記憶がいまだに鮮烈。今夜のソリスト、モレノのヴァイオリンは温かく繊細で滑らかな歌い回しが美しい。けれどこの作品には、こうした温かさと共にもっと尖ったところ、冷徹に攻めまくるところ、なに食わぬ顔で聴き手をたぶらかすようなところがあってこそ面白いし、乗っていける。その点ではアンコールのバッハの方が共感できた。
モレノは大舞台での実績も多い実力派のようだが、ヴァイオリニストやピアニストなら日本に若くて素晴らしい人材がたくさんいる。日本のアーティストにチャンスを与えるのも、日本が世界に誇るオーケストラの役目だといつも思う。
後半のラフマニノフは年末に素晴らしい熱演を聴いたばかりだったので「またか」という気分だったが、それとは別物の感銘を与えてくれた。始まったときは随分控えめな演奏で少々出鼻をくじかれたが、これが演奏の最大の魅力であることをだんだん実感してきた。エモーションの塊のように思っていたこのシンフォニーが、こんなに洗練された清澄な美しさで惹き付けてくるのは意外だった。
どのパートもアグレッシブになり過ぎることなく連綿と音を紡ぎ織り成しつつ、それらが時に束になって太い流れを作り、力ずくではない美しい技で大きなものを動かし、感動へと導いて行った。ロシアのオケには真似できない、日本のオーケストラならではの持ち味が昇華された演奏と云える。指揮のパーヴォは旧ソ連のエストニア出身だが、禅や茶道などの日本の精神文化に傾倒する感性の持ち主だ。パーヴォとN響の感性が一致したのだろう。このシンフォニーはヨーロッパ公演でもやると云うから、現地での評判も楽しみだ。
ブラボーと大喝采が続くなか、チェロの桑田さんに団員と事務局らしき人から大きな花束やプレゼントが渡され、パーヴォも桑田さんに指揮台に上がれというしぐさ。みんなと握手を交わす桑田さんがパーヴォに代わってステージの主役に。なになに?辞めちゃうの?それともスゴい賞でも取ったお祝い?なんにもわからないままお開きとなった。スタッフの方に聞こうと思ったらすでに別の人が訊ねていて、桑田さんが退団すると知った。先月の小野さんの件で、団員の大切な動向を全く伝えようとしない事務局に抱いていた不信感が益々強まった。「フィルハーモニー」とかホワイエの掲示とかで知らせてくれていれば桑田さんへの気持ちを共有しつつ拍手ができたのに。事務局の方に、団員と会員をつなごうとしない姿勢に「冷たいのではないか」とクレームを述べた。
あとで、今夜が最終出演だと知らせる桑田さんのツイートを見た。知っている人も多かったと思うと自分だけが蚊帳の外の気分。良い演奏会だったのに、この冬一番の冷え込みのなか、益々寒々とした気分で帰宅した。桑田さん、お疲れ様でした。益々のご活躍を!
♪ブログ管理人の作曲♪
「星去りぬ」~フルートとギターのための~
Fl:佐々木真/G:岩永善信
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【曲目】
1.プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 Op.19
【アンコール】
♪ バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調~第1曲 アダージョ
Vn:レティシア・モレノ
2.ラフマニノフ/交響曲第2番ホ短調 Op.27
僕にとって今年度最後のN響定期は、パーヴォの指揮でロシアの対照的な作品がふたつ並んだ。プロコフィエフのコンチェルトは、15年前にヒラリー・ハーンがN響定期でやった演奏の記憶がいまだに鮮烈。今夜のソリスト、モレノのヴァイオリンは温かく繊細で滑らかな歌い回しが美しい。けれどこの作品には、こうした温かさと共にもっと尖ったところ、冷徹に攻めまくるところ、なに食わぬ顔で聴き手をたぶらかすようなところがあってこそ面白いし、乗っていける。その点ではアンコールのバッハの方が共感できた。
モレノは大舞台での実績も多い実力派のようだが、ヴァイオリニストやピアニストなら日本に若くて素晴らしい人材がたくさんいる。日本のアーティストにチャンスを与えるのも、日本が世界に誇るオーケストラの役目だといつも思う。
後半のラフマニノフは年末に素晴らしい熱演を聴いたばかりだったので「またか」という気分だったが、それとは別物の感銘を与えてくれた。始まったときは随分控えめな演奏で少々出鼻をくじかれたが、これが演奏の最大の魅力であることをだんだん実感してきた。エモーションの塊のように思っていたこのシンフォニーが、こんなに洗練された清澄な美しさで惹き付けてくるのは意外だった。
どのパートもアグレッシブになり過ぎることなく連綿と音を紡ぎ織り成しつつ、それらが時に束になって太い流れを作り、力ずくではない美しい技で大きなものを動かし、感動へと導いて行った。ロシアのオケには真似できない、日本のオーケストラならではの持ち味が昇華された演奏と云える。指揮のパーヴォは旧ソ連のエストニア出身だが、禅や茶道などの日本の精神文化に傾倒する感性の持ち主だ。パーヴォとN響の感性が一致したのだろう。このシンフォニーはヨーロッパ公演でもやると云うから、現地での評判も楽しみだ。
ブラボーと大喝采が続くなか、チェロの桑田さんに団員と事務局らしき人から大きな花束やプレゼントが渡され、パーヴォも桑田さんに指揮台に上がれというしぐさ。みんなと握手を交わす桑田さんがパーヴォに代わってステージの主役に。なになに?辞めちゃうの?それともスゴい賞でも取ったお祝い?なんにもわからないままお開きとなった。スタッフの方に聞こうと思ったらすでに別の人が訊ねていて、桑田さんが退団すると知った。先月の小野さんの件で、団員の大切な動向を全く伝えようとしない事務局に抱いていた不信感が益々強まった。「フィルハーモニー」とかホワイエの掲示とかで知らせてくれていれば桑田さんへの気持ちを共有しつつ拍手ができたのに。事務局の方に、団員と会員をつなごうとしない姿勢に「冷たいのではないか」とクレームを述べた。
あとで、今夜が最終出演だと知らせる桑田さんのツイートを見た。知っている人も多かったと思うと自分だけが蚊帳の外の気分。良い演奏会だったのに、この冬一番の冷え込みのなか、益々寒々とした気分で帰宅した。桑田さん、お疲れ様でした。益々のご活躍を!
♪ブログ管理人の作曲♪
「星去りぬ」~フルートとギターのための~
Fl:佐々木真/G:岩永善信
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