2021年 2月3日(水)
コロナ禍で演奏会の中止が続く欧米、やっている日本
首都圏などに発出されている緊急事態宣言が、栃木県を除いて延長されることになりました。多くの人達が、もうとっくに限界を超えている我慢をさらに続けなければならない状況に心が痛むばかりです。
その一方で、昨年春の緊急事態宣言時にはすべて中止となってしまったコンサートやオペラが、厳しい条件付きながら聴衆を入れて開催が続いていることは、生の音楽に触れることを何よりの生きがいとしている私にとってせめてもの救いです。
ドイツのメルケル首相が昨年春、「アーティストは人間の生命維持に必要不可欠な存在」と断言して大規模な支援を始めたことに、日本では「文化立国」のドイツを羨み、日本の乏しいアーティスト支援を嘆く声が多く聞かれました。しかしドイツでは、昨秋の感染再拡大に伴い11月から再び全てのコンサートホールや劇場が閉鎖され、もう3か月以上になります。アーティスト達は無観客公演以外での活動の場を奪われたままです。ドイツだけでなく、ヨーロッパやアメリカでは同様の状況が続き、再開の目途は立っていません。
一方、聴衆を入れた公演が続いている日本では、欧米で活動できないアーティスト達(海外在住の日本人アーティストも)が、来日後に2週間の自主隔離を行ったうえで、各地で演奏活動を繰り広げています。世界規模でのコロナ禍のなかで、海外からのアーティストの演奏を聴くことができる私たちは本当に恵まれています。アーティスト達も同じ気持ちであることを、彼らの言葉から知ることができます。
ヴァイオリニストのイザベル・ファウスト氏は「今回の日本滞在は、私にとって本当にとても特別なものです。コンサートを行えること自体が貴重な世の中になりましたから、現実とは思えないぐらいで、喜びを強く感じています」と、ソリストとして出演した日本センチュリー交響楽団の公式ツイッターで語っています。
新国立劇場のオペラ公演を指揮したダニエレ・カッレガーリ氏も自身のツイートで「今日はトスカの最終公演でした。公演が大成功を収めたのは、パンデミックにもかかわらず劇場をオープンし続けてくれたおかげです。ありがとう新国立劇場、ありがとう東京!!」と興奮気味に感激と感謝を伝えています。
また、年末の公演から読売日本交響楽団の指揮台に立っているドイツの指揮者、セバスティアン・ヴァイグレ氏も「日本に来るまで失業状態だった。オーケストラが恋しくて恋しくてたまらなかった」と日本経済新聞の取材に答えています。ヴァイグレ氏は滞日期間を延長して、日本での指揮活動を続けるそうです。
緊急事態宣言中であってもこうして演奏会やオペラ上演を続けられているのは、単に経済偏重の「誤った(と批判される)」政策のためではなく、去年に長い時間をかけて徹底して行われた、クラシック音楽公演運営推進協議会による楽器演奏や合唱でのエアロゾル飛散検証実験、聴衆同士の感染リスクの検証実験などから「感染リスクは極めて低い」と結論付けられたガイドラインに基づいて行われているものです。これがあるおかげで、きちんとした根拠を踏まえて公演を続けられているのです。
アーティスト達は、単に生活を保障してもらうだけでなく、活動の場を渇望しているし、聴衆もそれを求めています。芸術は、アーティストにとっても、受け手にとっても生きるために必要不可欠な存在で、芸術活動を実際に行うことでこそ成り立つのです。その機会をコロナに奪われ続けるわけには行きません。
海外のアーティスト達が驚きと喜びをもって賞賛し、感謝を伝えている日本のこの状況を、私たちはもっと肯定的に捉えるべきではないでしょうか。マスコミは不安を煽るような報道ばかりしていないで、こうしたポジティブなことを積極的に伝え、海外にも発信するべきでしょう。これこそがアーティスト支援になるのではと思います。
私はこれからも積極的に演奏会に通い、この状況下で自粛している人達の一人でも「コンサートに行ってみようかな」という気持ちになってもらえるよう、ブログを通じてその素晴らしい公演について伝えて行きたいと思います。
(自主隔離を経たアーティストによるコンサートの感想)
イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフ ~2021.1.27 王子ホール~
セバスティアン・ヴァイグレ指揮 読売日本交響楽団 ~2021.1.14 サントリーホール~
上原ひろみ ピアノ・クインテット ~2020.12.29 ブルーノート東京~
庄司紗矢香&ヴィキングル・オラフソン ~2020.12.23 サントリーホール~
矢野顕子さとがえるコンサート2020 ~2020.12.13 NHKホール~
(コロナ関連のブログ記事)
ポラン書房閉店 ~コロナで大切な場所を失わないためにできること~
2021年を迎えて(2020年を振り返って…)
東京を離れて自然のなかへ出かけよう!
「ステイホーム!」の叫びにウンザリ
東京 週末の外出自粛要請に思う
新型コロナウイルスによるコンサート中止に思う
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「紅葉」(メゾソプラノ、チェロ、ピアノ連弾用アレンジ)
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け
コロナ禍で演奏会の中止が続く欧米、やっている日本
首都圏などに発出されている緊急事態宣言が、栃木県を除いて延長されることになりました。多くの人達が、もうとっくに限界を超えている我慢をさらに続けなければならない状況に心が痛むばかりです。
その一方で、昨年春の緊急事態宣言時にはすべて中止となってしまったコンサートやオペラが、厳しい条件付きながら聴衆を入れて開催が続いていることは、生の音楽に触れることを何よりの生きがいとしている私にとってせめてもの救いです。
ドイツのメルケル首相が昨年春、「アーティストは人間の生命維持に必要不可欠な存在」と断言して大規模な支援を始めたことに、日本では「文化立国」のドイツを羨み、日本の乏しいアーティスト支援を嘆く声が多く聞かれました。しかしドイツでは、昨秋の感染再拡大に伴い11月から再び全てのコンサートホールや劇場が閉鎖され、もう3か月以上になります。アーティスト達は無観客公演以外での活動の場を奪われたままです。ドイツだけでなく、ヨーロッパやアメリカでは同様の状況が続き、再開の目途は立っていません。
一方、聴衆を入れた公演が続いている日本では、欧米で活動できないアーティスト達(海外在住の日本人アーティストも)が、来日後に2週間の自主隔離を行ったうえで、各地で演奏活動を繰り広げています。世界規模でのコロナ禍のなかで、海外からのアーティストの演奏を聴くことができる私たちは本当に恵まれています。アーティスト達も同じ気持ちであることを、彼らの言葉から知ることができます。
ヴァイオリニストのイザベル・ファウスト氏は「今回の日本滞在は、私にとって本当にとても特別なものです。コンサートを行えること自体が貴重な世の中になりましたから、現実とは思えないぐらいで、喜びを強く感じています」と、ソリストとして出演した日本センチュリー交響楽団の公式ツイッターで語っています。
新国立劇場のオペラ公演を指揮したダニエレ・カッレガーリ氏も自身のツイートで「今日はトスカの最終公演でした。公演が大成功を収めたのは、パンデミックにもかかわらず劇場をオープンし続けてくれたおかげです。ありがとう新国立劇場、ありがとう東京!!」と興奮気味に感激と感謝を伝えています。
また、年末の公演から読売日本交響楽団の指揮台に立っているドイツの指揮者、セバスティアン・ヴァイグレ氏も「日本に来るまで失業状態だった。オーケストラが恋しくて恋しくてたまらなかった」と日本経済新聞の取材に答えています。ヴァイグレ氏は滞日期間を延長して、日本での指揮活動を続けるそうです。
緊急事態宣言中であってもこうして演奏会やオペラ上演を続けられているのは、単に経済偏重の「誤った(と批判される)」政策のためではなく、去年に長い時間をかけて徹底して行われた、クラシック音楽公演運営推進協議会による楽器演奏や合唱でのエアロゾル飛散検証実験、聴衆同士の感染リスクの検証実験などから「感染リスクは極めて低い」と結論付けられたガイドラインに基づいて行われているものです。これがあるおかげで、きちんとした根拠を踏まえて公演を続けられているのです。
アーティスト達は、単に生活を保障してもらうだけでなく、活動の場を渇望しているし、聴衆もそれを求めています。芸術は、アーティストにとっても、受け手にとっても生きるために必要不可欠な存在で、芸術活動を実際に行うことでこそ成り立つのです。その機会をコロナに奪われ続けるわけには行きません。
海外のアーティスト達が驚きと喜びをもって賞賛し、感謝を伝えている日本のこの状況を、私たちはもっと肯定的に捉えるべきではないでしょうか。マスコミは不安を煽るような報道ばかりしていないで、こうしたポジティブなことを積極的に伝え、海外にも発信するべきでしょう。これこそがアーティスト支援になるのではと思います。
私はこれからも積極的に演奏会に通い、この状況下で自粛している人達の一人でも「コンサートに行ってみようかな」という気持ちになってもらえるよう、ブログを通じてその素晴らしい公演について伝えて行きたいと思います。
(自主隔離を経たアーティストによるコンサートの感想)
イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフ ~2021.1.27 王子ホール~
セバスティアン・ヴァイグレ指揮 読売日本交響楽団 ~2021.1.14 サントリーホール~
上原ひろみ ピアノ・クインテット ~2020.12.29 ブルーノート東京~
庄司紗矢香&ヴィキングル・オラフソン ~2020.12.23 サントリーホール~
矢野顕子さとがえるコンサート2020 ~2020.12.13 NHKホール~
(コロナ関連のブログ記事)
ポラン書房閉店 ~コロナで大切な場所を失わないためにできること~
2021年を迎えて(2020年を振り返って…)
東京を離れて自然のなかへ出かけよう!
「ステイホーム!」の叫びにウンザリ
東京 週末の外出自粛要請に思う
新型コロナウイルスによるコンサート中止に思う
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「紅葉」(メゾソプラノ、チェロ、ピアノ連弾用アレンジ)
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け