12月14日(日)矢野顕子さとがえるコンサート2014
~NHKホール~
【共演】TIN PAN(細野晴臣/林立夫/鈴木茂)
曲目
大いなる椎の木、WICHITA LINEMAN、想い出の散歩道、THE END OF THE WORLD、I'M MOVIN' ON、ソバカスのある少女、冬越え、A SONG FOR US
へびの泣く夜、水彩画の町~乱れ髪、終わりの季節、氷雨月のスケッチ、こんなところにいてはいけない、ポケットいっぱいの秘密、変わるし
アンコール
絹街道、ひとつだけ
今年の矢野顕子「さとがえるコンサート」は、細野晴臣がベースを務めるバンドTIN PANが出演。いつもは楽勝でチケットが取れるので油断して出遅れたら、取れたのはジーンズ席直前の3階最後部。ホールは超満員。客席照明が落ちると、遥か前方に見下ろすステージにアッコさんとTIN PANの4人が颯爽と登場して演奏が始まった。
「4人でのツアーは初めて」ということだが、TIN PANのメンバーとは気心知れた古くからの最高の音楽仲間。細野さんはアッコさんの歌をたくさん書いているし、デュオもやっている。同年代?の経験豊かな「熟年」ユニットとの共演で、アッコさんの歌はいつも以上に生き生き、伸び伸びして、みんな楽しそうに演奏していた。
TIN PANのバンド演奏はとっても自然。力みとか全然なく、アッコさんの自由自在に変幻するボーカルと戯れているようにも聴こえたが、これはスゴいことだ。バンドのメンバーの妙技を聴くのも今夜の楽しみの一つ。低音ボイスがビンビンと響く細野さんとのデュオで細野さんの曲をいくつもやってくれたことも嬉しい。
このメンバーゆかりの古い曲がいろいろ演奏されたほか、今夜が「正式初演」という新曲(A Song for us)も披露された。アッコさんの即興のピアノに乗れば、古い曲でもその場でアレンジされて新しくなってしまう、という意味では、古い曲も新しい曲も、初めて聴くように新鮮に響く。アグネス・チャンの「ポケットいっぱいの秘密」なんて、家に帰ってからオリジナルを聴いて「この歌だったのか!」とビックリ。ライブで聴いているときはわからなかったほど、アッコバージョンは「カヴァー」というより、曲を全く新しく生まれ変わらせてしまう。これぞライブの醍醐味だ。
そんなライブに居合わせた者だけが味わえる一期一会の体験は貴重だが、一度きりの演奏を何度も聴くのも音楽の楽しみ。今夜のアッコさんのMCで最も心に残った言葉は、「楽曲をネットで聴いたり、ダウンロードして聴くのもいいけどね、CDという形のあるもので所有して繰り返し聴くことで、曲と聴き手が同化できるのよ!」というもの。
CDだってデジタル媒体の一つではあるが、手で触れることのできるディスクがあり、歌詞カードや写真なども付いたジャケットがあって、そこにアーティストがサインなんかしてくれれば、一生の宝物にもなる。ネット上から単なるデータを呼び出して聴くより、CDを所有して大切に聴いているほうが、その曲にも、アーティストにも愛着が湧き、それこそ同化できる気がする。
そんな音楽の聴き方は廃れてしまうのだろうか。いやいや、ライブという究極のアナログである生身の人間同士のやり取りの場が最高に価値ある音楽を感じる場である限り、CDを所有するという楽しみだって廃れはしない!と、アッコちゃんとそんなに変わらない世代の僕は信じている。そんなアッコちゃんとTIN PANが最後に聴かせてくれた「ひとつだけ」が、最初はジワジワと、それからズンズンと心に響いてきた。
拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け
~NHKホール~
【共演】TIN PAN(細野晴臣/林立夫/鈴木茂)
曲目
大いなる椎の木、WICHITA LINEMAN、想い出の散歩道、THE END OF THE WORLD、I'M MOVIN' ON、ソバカスのある少女、冬越え、A SONG FOR US
へびの泣く夜、水彩画の町~乱れ髪、終わりの季節、氷雨月のスケッチ、こんなところにいてはいけない、ポケットいっぱいの秘密、変わるし
アンコール
絹街道、ひとつだけ
今年の矢野顕子「さとがえるコンサート」は、細野晴臣がベースを務めるバンドTIN PANが出演。いつもは楽勝でチケットが取れるので油断して出遅れたら、取れたのはジーンズ席直前の3階最後部。ホールは超満員。客席照明が落ちると、遥か前方に見下ろすステージにアッコさんとTIN PANの4人が颯爽と登場して演奏が始まった。
「4人でのツアーは初めて」ということだが、TIN PANのメンバーとは気心知れた古くからの最高の音楽仲間。細野さんはアッコさんの歌をたくさん書いているし、デュオもやっている。同年代?の経験豊かな「熟年」ユニットとの共演で、アッコさんの歌はいつも以上に生き生き、伸び伸びして、みんな楽しそうに演奏していた。
TIN PANのバンド演奏はとっても自然。力みとか全然なく、アッコさんの自由自在に変幻するボーカルと戯れているようにも聴こえたが、これはスゴいことだ。バンドのメンバーの妙技を聴くのも今夜の楽しみの一つ。低音ボイスがビンビンと響く細野さんとのデュオで細野さんの曲をいくつもやってくれたことも嬉しい。
このメンバーゆかりの古い曲がいろいろ演奏されたほか、今夜が「正式初演」という新曲(A Song for us)も披露された。アッコさんの即興のピアノに乗れば、古い曲でもその場でアレンジされて新しくなってしまう、という意味では、古い曲も新しい曲も、初めて聴くように新鮮に響く。アグネス・チャンの「ポケットいっぱいの秘密」なんて、家に帰ってからオリジナルを聴いて「この歌だったのか!」とビックリ。ライブで聴いているときはわからなかったほど、アッコバージョンは「カヴァー」というより、曲を全く新しく生まれ変わらせてしまう。これぞライブの醍醐味だ。
そんなライブに居合わせた者だけが味わえる一期一会の体験は貴重だが、一度きりの演奏を何度も聴くのも音楽の楽しみ。今夜のアッコさんのMCで最も心に残った言葉は、「楽曲をネットで聴いたり、ダウンロードして聴くのもいいけどね、CDという形のあるもので所有して繰り返し聴くことで、曲と聴き手が同化できるのよ!」というもの。
CDだってデジタル媒体の一つではあるが、手で触れることのできるディスクがあり、歌詞カードや写真なども付いたジャケットがあって、そこにアーティストがサインなんかしてくれれば、一生の宝物にもなる。ネット上から単なるデータを呼び出して聴くより、CDを所有して大切に聴いているほうが、その曲にも、アーティストにも愛着が湧き、それこそ同化できる気がする。
そんな音楽の聴き方は廃れてしまうのだろうか。いやいや、ライブという究極のアナログである生身の人間同士のやり取りの場が最高に価値ある音楽を感じる場である限り、CDを所有するという楽しみだって廃れはしない!と、アッコちゃんとそんなに変わらない世代の僕は信じている。そんなアッコちゃんとTIN PANが最後に聴かせてくれた「ひとつだけ」が、最初はジワジワと、それからズンズンと心に響いてきた。
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