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東京・春・音楽祭 2024 メンデルスゾーン/弦楽八重奏曲 他

2024年04月08日 | pocknのコンサート感想録2024
4月5日(金)名手たちによる室内楽の極
~東京・・音楽祭 2024~
東京文化会館小ホール


【曲目】
1.ハイドン/3つの弦楽三重奏曲~第2番変ロ長調 Op.53-2
2.ブラームス/弦楽六重奏曲第2番ト長調 Op.36
3.メンデルスゾーン/弦楽八重奏曲変ホ長調 Op.20
(アンコール)
♪ 細川たかし:能登の女/(浜圭介作曲、佐々木絵理編曲)

【演奏】
Vn:長原幸太、鍵冨弦太郎、戸原 直、東 亮汰/Vla:鈴木康浩、鈴村大樹/Vc:上森祥平/CB:幣隆太朗


東京・春・音楽祭常連の名手達による弦楽アンサンブルで、3重奏、6重奏、8重奏という多彩な編成の名曲を聴いた。最初はハイドンのトリオ。ピアノソナタのアレンジ版というこの曲、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによる演奏は、この編成のためのオリジナルのディヴェルティメントの赴き。主役はヴァイオリン。長原さんの柔らかな語り口の無窮動的に動き回るヴァイオリンに、鈴木さんと上森さんが抜群のタイミングで合いの手を入れて懐の深いアンサンブルを作り上げた。主役はあくまでヴァイオリンなので、長原さんはもっとナルシスト的に色気と艶を出しても良かったかな。

続いてブラームスの六重奏曲。第2楽章が有名な第1番ではなく、2番を聴ける機会は貴重だ。6人は響きを大切に、丁寧に柔らかな情感と陰影を醸し出していった。鈴木さんや上森さんがいい歌を聴かせてくれた。ただ、全体のアンサンブルとしては、しっかり合わせることを最優先にしているような慎重さが感じられ、あまり面白みが感じられなかった。

最後は、この演奏会に来る決め手となったメンデルスゾーンの八重奏曲。おとなしめに始まって最初は物足りなさを感じたが、進むにつれて熱を帯び、充実した響きになってきた。伸びとパワーがあり、アンサンブルがよく練られている。第2楽章でのしっとりした情感を湛えた繊細な歌は崇高と云いたいほど清澄な美しさ。躍動する第3楽章に続いてのフィナーレでアンサンブルは炸裂。それまでは節度を重んじていた長原さんも果敢な攻めの姿勢で切り込み、他のメンバーも髪を振り乱すほどの気合いで挑みかかり、8人の熱量が大幅に増幅して大バトルとなった。

怖いもの知らずと云いたいほどの前のめりのこんな演奏こそ、ライブならではの醍醐味だ。プログラム前半の演奏からは想像できないほどの熱い演奏にすっかり引き込まれた。

アンコールの前に長原さんがMCで、以前はこの音楽祭で「若き名手達による室内楽」と銘打たれていた自分たちも40過ぎのオヤジのアンサンブルになった、という話があった。2012年の音楽祭でその「若き名手達」で同じ曲を聴いたが、今夜は第2楽章に代表される熟成した深みと同時に、ムキムキのエネルギーも現役バリバリで、表現の幅がより大きく深くなったのではないだろうか。そんなメンバーの思いが、アンコールの「能登の女(ひと)」で被災地への思いを込めて熱く歌い上げられた。

東京春祭 2012 若き名手達による室内楽の極:メンデルスゾーン/弦楽八重奏曲他 2012.4.4 東京文化会館小ホール

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