6月8日(金)藝大室内楽コンサート 2012 ~ライプツィヒ弦楽四重奏団を迎えて~
東京芸術大学奏楽堂
【曲目】
1.ハイドン/弦楽四重奏曲第77番ハ長調 Op.76-3 「皇帝」
2.モーツァルト/弦楽四重奏曲第19番ハ長調 K.465「不協和音」
3.メンデルスゾーン/弦楽四重奏曲第5番変ホ長調 Op.44-3

【アンコール】
メンデルスゾーン/弦楽四重奏曲第3番ニ長調Op.41-1~第3楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ」
去年の藝大室内楽コンサートシリーズで聴いたライプツィヒ弦楽四重桑団の演奏がとても良かったので、今回もチケットを早々に予約した。プログラムもこのカルテットが本領を発揮できそうで楽しみ。
ところが超有名な名作を2つ並べた前半の印象はさっぱりだった。歌いかけてこないし、語りかけてもこない。うまく合わせてはいるが、4人の演奏が合わさって生み出されるはずのプラスアルファ的なものも伝わってこない。時々聴こえてくるファースト・ヴァイオリンの音程のズレも妙に気になる。それに広いステージ上で響きが散ってしまい散漫な印象。アンサンブルとして練られた音が聴こえてこない。決してヘタな演奏ではないし、無気力な演奏でもなく、ちゃんとしているのだが、どんなに一生懸命に何かを感じようと演奏に向き合っても、そこから明確なメッセージは伝わってはこず、やがて眠くなってきてしまった。
ただ、去年聴いたときは本当に素晴らしかったので、このまま何も感じ取れないままでいるわけにはいかない。席は前から8列目の真ん中寄り。招待席にもなるいい席なのに響きが散漫に感じたのが気になり、後半はぐんと後方に下がってみた。最後列に近い22列の中央。ステージはかなり遠い。そのうえ曲はなじみがないし、益々眠くなってしまうかも、とも思ったが、演奏が始まるや、柔らかくミックスされた響きがひとつにまとまって聴こえ、前半の散漫な印象とは正反対といえるほどのいい響きがした。
馴染みの薄い曲だが、曲にも演奏にもどんどん入り込んで行った。ウキウキワクワク感が弾け、みずみずしい活力を湛えた第1楽章、迫りくる焦燥感が妖精の世界のような妖しさを感じさせた第2楽章、ここの終盤で4人がユニゾンでおどろおどろしく迫ってくる様子が特に印象に残った。第3楽章では深くて温かな響き、各パートの歌の受け渡しなどが、どれも心にしっとりと沁みてきた。そして第4楽章ではディヴェルティメントのように心躍る楽しいシーンが思い浮かんだ。カルテットの快活な息遣いがぴったりと合って小気味良い推進力を生み出していた。響きも演奏も、前半とは別物と思えるほど素晴らしく、去年の感動が蘇ってきた。アンコールの深くて薫り高い演奏も絶品だった。
前半と後半の印象がこうも違うのは席を移動したことだけが理由かどうかはわからないが、このホールは後ろの方がまとまった良い響きがするのは確かだ。次からは最初から後ろの方に座ることにしよう。でも、去年の演奏会の感想を読み返したら、6列目に座ってこのカルテットの演奏を絶賛している・・・ いずれにしても、後半ではライプツィヒ弦楽四重奏団の素晴らしさを再認識できてよかった!
東京芸術大学奏楽堂
【曲目】
1.ハイドン/弦楽四重奏曲第77番ハ長調 Op.76-3 「皇帝」
2.モーツァルト/弦楽四重奏曲第19番ハ長調 K.465「不協和音」
3.メンデルスゾーン/弦楽四重奏曲第5番変ホ長調 Op.44-3


【アンコール】
メンデルスゾーン/弦楽四重奏曲第3番ニ長調Op.41-1~第3楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ」

去年の藝大室内楽コンサートシリーズで聴いたライプツィヒ弦楽四重桑団の演奏がとても良かったので、今回もチケットを早々に予約した。プログラムもこのカルテットが本領を発揮できそうで楽しみ。
ところが超有名な名作を2つ並べた前半の印象はさっぱりだった。歌いかけてこないし、語りかけてもこない。うまく合わせてはいるが、4人の演奏が合わさって生み出されるはずのプラスアルファ的なものも伝わってこない。時々聴こえてくるファースト・ヴァイオリンの音程のズレも妙に気になる。それに広いステージ上で響きが散ってしまい散漫な印象。アンサンブルとして練られた音が聴こえてこない。決してヘタな演奏ではないし、無気力な演奏でもなく、ちゃんとしているのだが、どんなに一生懸命に何かを感じようと演奏に向き合っても、そこから明確なメッセージは伝わってはこず、やがて眠くなってきてしまった。
ただ、去年聴いたときは本当に素晴らしかったので、このまま何も感じ取れないままでいるわけにはいかない。席は前から8列目の真ん中寄り。招待席にもなるいい席なのに響きが散漫に感じたのが気になり、後半はぐんと後方に下がってみた。最後列に近い22列の中央。ステージはかなり遠い。そのうえ曲はなじみがないし、益々眠くなってしまうかも、とも思ったが、演奏が始まるや、柔らかくミックスされた響きがひとつにまとまって聴こえ、前半の散漫な印象とは正反対といえるほどのいい響きがした。
馴染みの薄い曲だが、曲にも演奏にもどんどん入り込んで行った。ウキウキワクワク感が弾け、みずみずしい活力を湛えた第1楽章、迫りくる焦燥感が妖精の世界のような妖しさを感じさせた第2楽章、ここの終盤で4人がユニゾンでおどろおどろしく迫ってくる様子が特に印象に残った。第3楽章では深くて温かな響き、各パートの歌の受け渡しなどが、どれも心にしっとりと沁みてきた。そして第4楽章ではディヴェルティメントのように心躍る楽しいシーンが思い浮かんだ。カルテットの快活な息遣いがぴったりと合って小気味良い推進力を生み出していた。響きも演奏も、前半とは別物と思えるほど素晴らしく、去年の感動が蘇ってきた。アンコールの深くて薫り高い演奏も絶品だった。
前半と後半の印象がこうも違うのは席を移動したことだけが理由かどうかはわからないが、このホールは後ろの方がまとまった良い響きがするのは確かだ。次からは最初から後ろの方に座ることにしよう。でも、去年の演奏会の感想を読み返したら、6列目に座ってこのカルテットの演奏を絶賛している・・・ いずれにしても、後半ではライプツィヒ弦楽四重奏団の素晴らしさを再認識できてよかった!