古今和歌集 0949
よのなかを いとふやまべの くさきとや あなうのはなの いろにいでにけむ世の中を いとふ山辺の 草木とや あなうの花の 色に出でにけむ よみ人知らず 世の中を
古今和歌集 0948
よのなかは むかしよりやは うかりけむ わがみひとつの ためになれるか世の中は 昔よりやは 憂かりけむ わが身ひとつの ためになれるか...
古今和歌集 0944
やまざとは もののわびしき ことこそあれ よのうきよりは すみよかりけり山里は もののわびしき ことこそあれ 世の憂きよりは 住みよかりけり...
古今和歌集 0943
よのなかに いづらわがみの ありてしなし あはれとやいはむ あなうとやいはむ世の中に いづらわが身の ありてなし あはれとやいはむ あな憂とやいはむ...
古今和歌集 0942
よのなかは ゆめかうつつか うつつとも ゆめともしらず ありてなければ世の中は 夢かうつつか うつつとも 夢とも知らず ありてなければ...
古今和歌集 0941
よのなかの うきもつらきも つげなくに まづしるものは なみだなりけり世の中の 憂きもつらきも つげなくに まづ知るものは 涙なりけり...
古今和歌集 0940
あはれてふ ことのはごとに おくつゆは むかしをこふる なみだなりけりあはれてふ 言の葉ごとに 置く露は 昔を恋ふる 涙なりけり...
古今和歌集 0935
かりのくる みねのあさぎり はれずのみ おもひつきせぬ よのなかのうさ雁の来る 峰の朝霧 晴れずのみ 思ひ尽きせぬ 世の中の憂さ...
古今和歌集 0934
いくよしも あらじわがみを なぞもかく あまのかるもに おもひみだるるいく世しも あらじわが身を なぞもかく 海人の刈る藻に 思ひ乱るる...
古今和歌集 0933
よのなかは なにかつねなる あすかがは きのふのふちぞ けふはせになる世の中は 何か常なる 飛鳥川 昨日の淵ぞ 今日は瀬になる...
古今和歌集 0913
なにはがた しほみちくらし あまごろも たみののしまに たづなきわたる難波潟 潮満ちくらし 雨衣 田蓑の島に 鶴鳴き渡る...