前の記事で書いたカベッケ原での恐怖体験の後、薬師沢小屋でひと休止、いざ雲ノ平へ。
5:16AM.
雲ノ平へと続く登りに差し掛かります。
"雲ノ平直登"とさらっとありますが、これが長く辛い道のりの始まり。簡単には雲上の極楽へは行かせてもらえません。
6:21AM
途中の様子はすっ飛ばして、登り終了。
きつかったぁ。これだけ詰まった等高線5つの登りは確かにキツい。最近見かけませんが、歩荷をしてた人は大変だっただろうなぁ。この坂、下るのも辛い。
ここから雲ノ平山荘まではずっと木道。
ガタつきのなくしっかりしていてホッとします。
花を楽しむ余裕も出てきました。
6:38AM
アラスカ庭園到着。
薬師沢小屋から1時間17分。長かったぁ。街での1時間なんてあっという間ですが、この登りの1時間は何度時計を見たか。1秒1秒の積み重ねを感じる1時間でした。
ここからは雲ノ平、楽々の木道散歩。急登を終えた者へのご褒美。
7:01AM
奥日本庭園。遠かったぁ。
ここは紛れもなく日本最奥部にある日本庭園ですね。
しばし雲ノ平散歩。夜歩きしてまで来てよかった。
これ以上遅くなると日差しでまたやられてたかも。
タイミング良かったのか誰も見当たらず、雲ノ平の景色貸切。
ここ雲ノ平は涸沢のように短い登りで辿り着けるところと違って、体力があるうちにしかたどり着けないと思うと、この空気感、景色をなんとか記憶にとどめたい。
そんな気持ちで全身全霊を集中します。
もう何回も来れないだろうなぁ。
チングルマ
雲ノ平山荘が見えてきました。今日も暑くなりそう。
7:15AM
山荘着。
インド?からの団体さんらがたとうとしてるとこでした。海外からよくまぁこんな遠いところへ。
ところで、少し話しは脱線しますが、昨年だったか、奥穂山頂に30名くらいでしょうか、韓国の団体さんが山頂記念撮影でずっと占拠し30分ほど待っても一向に場所に立たせてもらえず、諦めてそのまま下山した経験があります。一応、リーダーらしき人にそろそろ譲ってよ、という目線は投げたのですが(^ ^;; いわゆる空気を読むという文化は日本独自なのかな。
街でよく見る中国人の団体はまだあまり山でみかけないのは、まだ、登山がレジャーとして一般的になってないからでしょうか。いずれ総中流化が進み大勢大挙してくるとなると、山小屋などピークの宿泊者にどう対処してゆくのだろうか。
(先日行った中国華山の様子)
山小屋での生活ルールは街とは勝手も違い苦情もあるでしょうが、といって"だったら出ていけ"と山に放り出すわけにもいかない。街の店みたいに中国語を話すスタッフを常駐させるわけにもいかないだろうし。
それに加えて最近話題のヘリコプター問題もあったりして、山小屋経営も課題山積ですね。
テン場のチェックインをすませテン場へ。
テン場は小屋から20分ほど木道を奥に進んだところ。気持ち的にはこの時すでに到着したぁ、という感覚でロスタイム的というか全然疲れない。
振り返ると結構、小屋から離れてきました。テン場はまだまだ先。これだといったん幕営したら小屋に気軽に戻る気になれない。槍沢のテン場とよく似たシチュエーション。
必要なものはみんな担いでるからいいかなと。
あ、ビール買っといたらよかった!できたらロング缶!
こうゆう私みたいなワガママな輩がいるから、ヘリでの定期物資輸送は必須なのだろう。
(赤岳鉱泉小屋の名物インジェクションミート ステーキ)
コーヒーはインスタントより豆から挽き自家焙煎したほうがいいだろうし、山でも海鮮食ってみたいし。ステーキにケーキに小屋で焼くパンにもつ煮におでんに、パフェもある。今となってはそれぞれ山小屋の名物として、自分のようなテン泊組にとっても楽しみの一つでもある。
(赤岳展望荘の名物 原木生ハム)
確かに以前みたいな具の無いカレーとメンマだけの昭和な醤油ラーメンでは客足も進まないのだろう。もうそんな時代には戻れない。
初めての山、モリタの角クッカーで食ったソーセージ入りチキンラーメンの至福感動はもう感じることはない。だって小屋の黒ビールカレーのほうが断然うまいことを知ってるから。
山での非日常というより、今は小屋に入れば普段の日常があったりする。それには物資輸送というインフラの確保、整備は絶やしてはならない。
非日常は景色だけで十分だろう。
働き方改革だとか、ワークライフバランスだとか、有給休暇完全消化義務化とか、そっちにベクトルが向き出した今、そこから拠出された余暇の受け皿にもなるレジャーへの環境整備に国も本腰をあげてほしいと思う。
と、ここまで勝手気ままにつらつらと書かせてもらったのも、雲ノ平山荘HPに紹介されたご主人によるヘリコプター問題の記事を読んでのこと。
自分の解釈はご主人の訴えたい本質からはずいぶんズレていると思いますが、山歩きの最中は何せ頭の中は暇なので、色々と思いをはせる良いきっかけとなりました。感謝です。
7:32AM
テン場が見えてきました。
時間的に皆、次の場所にたった後になるようで、選べるほど十分に空きスペースがあるようです。
ここまで、薬師峠を3:20AMに出てから4時間12分。
急登を終えてからは、ほんとよく整備された道。このメンテには大変な手間がかかっていることが容易に想像できます。
ハイマツの影にあるなかなか良い場所を確保。
こんな山の中でフルフラットはうれしい。
黒部五郎をバックに設営完了。
Terra NovaのVoyager Ultra2。
1時間ほど大休憩。
夏場はテン場にいても暑いだけなので、長居する気はさらさらありません。
9:10AM
さて、いよいよ今回の山旅の目的地、向かいに見える百名山最奥地にあるという水晶岳に向かうことにします。
いやぁしかしまた遠そうだ。今日中にピストンできるのだろうか?