亢進症な生活

甲状腺機能亢進症(バセドウ病あらため甲状腺ホルモン不応症)と膠原病(SLE&シェーグレン)を併発した働き者。のんびりと♪

EBM - 情報の蓄積・共有と、それを鵜呑みにしない話

2008-12-23 | 先生&病院譚
昨日は、夜の南風のあと、ずいぶん暖かなインデアン・サマーだったのに、今日はすっかり寒いですね~!!

癌治療学会で、エビデンスに基づくがんチーム医療の展開法について、がんのチーム医療に取り組む上野直人先生が、基調講演をされたと日経メディカルが取り上げていました。

限られた経験や個人の考えではなくて、十分に検討・合意されたガイドラインやエビデンス(膨大な症例の蓄積情報)を参照していく努力は、多様で複雑化する医療現場では、とっても大切になっています。

この講演の報告記事のなかでおもしろかったのは、そういうエビデンスに基く治療(EBM)をチーム医療に導入する人には、吟味する人(Examiner)、作る人(Creator)、鵜呑みにする人(Follower)の3種類の人がいるという話。
EBMを一生懸命つくっても、間違っている可能性もあるし、その現場には適さないかもしれない、それを吟味することが大切という指摘をされていたそうです。

…みんなが吟味する人(examiner)になるのがいいって、ほんとにそうだなぁと思います。

自分の個人的なノウハウだけを信奉するのも怖いのですが、ガイドラインがこうだから、ぜったいそれが正解っとガイドラインやエビデンスだけを信奉するのも怖いです。
「目の前の患者は、つらいと言っている」という部分にむきあうという要素が加わって、そこでの冷静な判断によって、その人のための一番の治療が生まれるのかもしれません。

たとえば、わたしの甲状腺ホルモン不応症の治療なんて、ふつうは、下垂体型の場合でも処方しない抗甲状腺薬(メルカゾール)を処方されたりという治療アプローチは、例外中の例外。
でも、エビデンスに沿って検討した上で、やっぱり抗甲状腺薬を使わなかったら苦しい!という話になったのを思い出します。

そんな話を読みながら、情報を蓄積して、分析して、共有して、それを参考にしながら鵜呑みにしないで…って、どこの世界でも同じだなぁ~なんて、しみじみしたのでした(笑)

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6 Comments

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海外のエビデンス (cocohch)
2008-12-23 21:42:26
ぷろぱさん、こんばんは。
私の主治医は海外のエビデンスに基づいて治療されています。
気管支喘息を合併するシェーグレン症候群にMTXを使用すると気管支喘息にも効果がみられたという海外のデータを話してました。
本当はね、MTXでいきたかったんだけどな・・・とつぶやいていたのを思い出しました。

数年前はエビデンスの意味すら知らなかった・・・(恥ずかしい(~~;)
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え”、エビデンスに国境が! (ぷろぱ)
2008-12-24 09:07:27
cocohchさん、こんにちはー。

え”、わたしは日本と国外のエビデンスがわかれていることを知りませんでした(笑)
保険適用の範囲が国によって違ったり、社会的環境も違うから、ガイドラインが国によってまったく違うことや、人種による頻度統計は読みますが、エビデンスには国境があったんですね!
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また、ちょっと言葉足らずかも。。。 (cocohch)
2008-12-24 22:24:30
ぷろぱさん・・・えっとですね。

主に治験に関することとか、国内でフェーズ4まで進んでいる治験。認可直後のオーファンドラッグなどがそれにあたるのですが。。。

エビデンスがないというよりも、国内での臨床試験が不十分なので、異論を唱えるドクターが多いということのようです。

今、タイムリーなのは、私の勤務している神経内科でのインターフェロン療法なのですが、一方は約3万人国内で治療しており、一方は300名なんです。

当然、比較対照されるのですが、3万人のほうは、国内の再発予防率や副作用の出現率で、もう一方は海外(特に緯度の高い地方での発症例が多いのでアメリカ北部、カナダ、スウェーデン地方が主です)のデータを持ってきます。

また、この病気(多発性硬化症)はいわゆる古典的なMSと日本人に圧倒的に多い視神経脊髄型MSに分かれている背景もあり、「海外のデータを持ってきて、果たして日本人にそのまま、はいそうですかといえあるのか!」というようなバトルを薬剤メーカー主催の勉強会でよく耳にしていたものですから。

エビデンスに国境はないとは思いますが、実際のところ、他の国で認められた治療法も、日本での導入にははるか長い道のりがありますよね。
日本で、日本人で治験を行った上でのエビデンスというこだわりはぬぐいきれないもののようです。(現場では)

またまた言葉たらずでした。すいません。。。。
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EBMの意味を知ったのはつい数年前... (おおがきなおこ)
2008-12-24 23:10:28
恥ずかしながら、エビデンスの意味を知ったのは数年前のお話であります。そして、エビデンスにも国境がある事を初めて知りました!

私の場合は日本/米国のエビデンス双方に基づいて治療・経過観察を行っているみたいですが、保険適用範囲が違っていたり、日本だと薬の処方期間に期限があったり...経過観察に見えながらも、実はちょっと特殊な治療を受けているかもしれません。
ここに行き着く経緯については省略しますが、研究者は病院の壁を超えてチームを作り、病院側は科を超えてチームを作り。がんではないけれど、チーム医療の中で「私はどこにいればよろしいか(by:勇者のくせになまいきだ)」的な状況になりつつある今日この頃です。本来ターゲットとすべき、患者自身の立ち位置が時々見えなくなる事があります。
そう考えると...患者もチーム医療の一員として参加するのはある意味ありだと思うし、吟味する人間となっていいのかもしれません。むしろ、一番味見役に適しているのは患者さんなんじゃないかな?なんて、不謹慎?(オオガキの場合、患者サイドでできることはできる限り協力したいという思いから、主治医やblogネタを通して結構かみついてる厄介な患者でもあります...)

エビデンス・チーム医療。大いに歓迎ではありますが、本来目の前にいるはずの患者さんをおいてけぼりにした医療は辛いなと思う今日この頃です。
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治療法の認可・・・ (ぷろぱ)
2008-12-25 14:06:57
cocohchさん、こんばんは。
なるほど、症例が多いとか薬が認可されているとかいう国では、積み重ねたデータも多いわけで、エビデンス(証拠)の整備は地域差が大きいですね。
甲状腺の例なんかを見ていると典型的ですが、食事や社会的な環境による違いも大きいですから、日本での承認するには、日本で日本人での治験は必要なんでしょう・・・。
見解は、視点の違いから国内でも学会によっても違ったりしますしね。

改めて記事を書こうと思いますが、昨日まで販売されていた某メジャー週刊誌が治験での死亡症例の話をひどい書き方で報じたので、また国内治験への偏見が増えたり、承認が遅れたりということがさらに増えそうで危惧しています。
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越境 (ぷろぱ)
2008-12-25 14:09:53
オオガキさん、ほんとにそうですね。

血液検査に反応する前に症状が出ることのある膠原病に加えて、甲状腺ホルモン不応症(RTH)みたいな血液検査の結果と症状がかけ離れている病気があると、今の技術で検査から読み取れなくても、何かが起きることがあるもんだよねーってことが、自分のなかで前提になっているかもしれません…。

「患者の声をよく聞いて、かつ振り回されない」という先生がうれしいです。

エビデンスはまとめているのは学会だから、当然、国による部分があるのかもしれませんね!
そういえば、血だけは、RTHで某国立病院に送ったり、SLEの研究でアメリカに送ったり、協力してるんです。
個人とか科とか病院とか学会とか国とか…いろんなボーダーを越えて、協力できる形がうまく成り立っていけるといいですね。
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