ケイン・ブラウンの新曲 "Thank God" は、きれいな曲で飽きる予感がまったくしない。
しんみりするし、落ち着くし、何より美しい。
カントリー・ミュージックの大きな強みとして、「美しさ」があると思う。
洋楽を聴き始めてから、美しいカントリー・ソングにたくさん出会ってきた。
クセが強くない曲もけっこうあるから、もっと空間的に広まってもいいのに、とも思ったりする。
日本時間で11月16日の午前2時、来年のグラミー賞のノミネートが発表されました!
結論からいいます...総じて、良かった!
グラミー賞の独自色と、メインストリーム・ヒットのバランスがちょうどよかったように思います。
そして予想テストの点数も、なんと前回越えの35点!!!
採点しながらテンション上がりましたね。以下、ノミネート結果と採点の感想をだらだら綴っていきます。
・主要部門
年間最優秀レコード
- アデル / Easy On Me
- アバ / Don't Shut Me Down
- ケンドリック・ラマー / The Heart Part 5
- スティーヴ・レイシー / Bad Habit
- ド―ジャ・キャット / Woman
- ハリー・スタイルズ / As It Was
- ビヨンセ / Break My Soul
- ブランディ・カーライル feat. Lucius / You And Me On The Rock
- メアリー・J. ブライジ / Good Morning Gorgeous
- リゾ / About Damn Time
世間の予想通りではあったのかもしれませんが、ビヨンセとアデルが大健闘ですね。グラミー賞2017でも両者の戦いが注目されていたので、6年越しの対決になるということで、メディアがグラミーを盛り上げてくれています。ただ、チャート好きからすればこの年間最優秀レコードに求めるのはメインストリームの反映で、今年のメインストリーム枠は断言すると6でした。前回も6だったので、変わらずです。今回のグラミーは全体的に良かったのはその通りなのですが、最も権威あるここの賞は、もうちょっとメインストリーム枠多めでも良かったかな~と思います。ちなみに、細かいことですがケンドリック・ラマーの "The Heart Part 5" はメインストリーム・ヒットとは捉えてなくて、それは同曲がシングルとしてヒットしなかったのもあるのですが、同曲はそもそも彼の今年のアルバム『ミスター・モラル & ザ・ビッグ・ステッパーズ』に収録されていません。アルバムは大ヒットしたので、それがグラミーに高評価されるのは妥当だと思えますが、アルバムとは関係ない、しかもヒットしていないシングルがノミネートされたのはまさに「なんだこれ!?」って話です。まあ、批判はしないけど、一番謎でした。
(採点) 5点獲得!!先述の通りメインストリーム枠は6で、その6を全力で狙いに行ったのでだいたい狙い通りの結果が得られました、満足です!ウェイトをやや重めにしていたザック・ブライアンやジャック・ハーロウは外れてしまいましたが、彼らもジャンル別の部門ではノミネートされていて、そこでは正解していたので良かったです。振り返れば年間最優秀レコードのノミネート予想は、毎回半分は正解できていました。つまり、元々基準は高くなっていたようですね。
年間最優秀アルバム
- アデル / 30
- アバ / Voyage
- ケンドリック・ラマー / Mr. Morale & The Big Steppers
- コールドプレイ / Music Of The Spheres
- ハリー・スタイルズ / Harry's House
- バッド・バニー / Un Verano Sin Ti
- ビヨンセ / Renaissance
- ブランディ・カーライル / In Those Silent Days
- メアリー・J. ブライジ / Good Morning Gorgeous
- リゾ / Special
コールドプレイ!!!2作連続でアルバム・オブ・ジ・イヤー(年間最優秀アルバム)にノミネート!!!さすがコールドプレイ、伝説は余裕で現役でしたね...最高!!正直言って、グラミー賞はコールドプレイをひいきにはしていないと思います、これまでの経験から。なので、これは100%「選ばざるを得ない」形で選ばれたということでしょう...素晴らしい!!今回のメインストリーム枠は8。これも前回と同じですが、8も設けてくれればそれで十分。ここの賞の選考は良かったです。なお、バッド・バニー『Un Verano Sin Ti』はスペイン語アルバムとして初めてここにノミネートされたそうで、ラテン音楽は確かにこれまで「デスパシート」(グラミー2018)が年間最優秀レコード & 楽曲、ロザリア(グラミー2020)が最優秀新人にノミネートされてきましたが年間最優秀アルバムのノミネートはありませんでした。意外なところから快挙です。
(採点) 7点も獲得!!アバとブランディ・カーライルが当たって特に嬉しかったです!前回のグラミーの名残という感じで予想したのですが、ふたを開けてみたら名残なんてものではありませんでした。むしろ主役です、アルバムだけでなくシングルもいろんなところでノミネートを受けていて。アバが主役になるとは思いもしませんでしたね...確かにアルバム『ヴォヤージュ』(2021) はヒットしたし、復活ライブは話題になったし、シングルもヨーロッパで好評でしたが。
年間最優秀楽曲
- アデル / Easy On Me
- ケンドリック・ラマー / The Heart Part 5
- ゲイル / abcdefu
- スティーヴ・レイシー / Bad Habit
- テイラー・スウィフト / All Too Well ( 10 Minute Version ) ( The Short Film )
- DJキャレド feat. リック・ロス、リル・ウェイン、ジェイ・Z、ジョン・レジェンド & Fridayy / God Did
- ハリー・スタイルズ / As It Was
- ビヨンセ / Break My Soul
- ボニー・レイット / Just Like That
- リゾ / About Damn Time
今度はゲイル!!こういう曲がグラミーの主要部門にノミネートされるのはグラミー2011のシーロー・グリーン「フォーゲット・ユー(原題は "F**k You)」以来ではないでしょうか。面白いことになりましたね。そしてDJキャレド、確か彼はこれまで主要部門にノミネートされたことがなかったと思います。プロデューサーとして間接的にはあったかもしれませんが、直接は初めてでしょう。個人的にはまさかの快挙です。最後に、主要3部門にノミネートを受けた人をまとめると、アデル、ラマー、ハリー、ビヨンセ、リゾの5人になります。このうちハリーとリゾに関しては、とにかく安心しました。もちろん他の3人もそうですが、今年のチャートを代表するような2人なので、彼ら抜きでグラミーを争ってほしくなかったです。世間はアデル vs ビヨンセの構図かもしれませんが、自分は主要部門の争いではハリーとリゾを特に応援したいですね。
最優秀新人
- アニッタ
- ウェット・レッグ
- オマー・アポロ
- サマラ・ジョイ
- Tobe Nwigwe
- ドミ & JDベック
- マネスキン
- ムニ・ロング
- モリー・タトル
- ラトー
今!?マネスキン、今ですか!?と突っ込まずにはいられません...。最優秀新人賞の定義は「該当期間内に公の認知に関して一気に躍進し、また音楽に大きな影響を与えたアーティスト」みたいな感じだったのですが、認知が急上昇したのは誰がどう考えても今年ではなく去年で、「なんで今!?」と思わずにはいられない...。とはいえ、これで直近のニュー・ロック・ヒーロー2組(もう1組はウェット・レッグ)がグラミー・デビューを果たすことに成功したので、祝福は祝福。もちろん、授賞式ではこの2組を応援します。世間的にもけっこう有力候補になるのではないでしょうか。
(採点) 相変わらず得点率は低く、2点獲得。まあ、10枠になったとはいえ知らない人も多いからな...仕方ない。知っていた人について見苦しくも弁明をすると、まずオマー・アポロはつい最近知ったので予想に入れていませんでした。次にムニ・ロングは確かに "Hrs And Hrs" が大ヒットしたのは知っていたのですが、アルバムのヒットが伴っていなかったため任意に予想から棄却しました。最後にラトーは2年前にすでにデビュー・アルバムをリリースしており、それは自分の記憶にはっきり残るほどチャートの成績が良かったので、マネスキンと同じで新人扱いは今さらではないかと思います。というか、今年リリースのアルバム『777』はセカンド・アルバムなわけで、客観的に見ても絶対新人ではないでしょう。...まあ、本人たちがいいならいいんだけど。
・ポップ部門
最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス
- アデル / Easy On Me
- スティーヴ・レイシー / Bad Habit
- ドージャ・キャット / Woman
- ハリー・スタイルズ / As It Was
- バッド・バニー / Moscow Mule
- リゾ / About Damn Time
"Moscow Mule"、聴いたことはありませんが、ラテン音楽もこの部門に入るんですね...。振り返ってみたら、「デスパシート」も過去に下のポップ・デュオ/グループ・パフォーマンスにノミネートされていました。ただ、それはジャスティン・ビーバーが参加していたからというのもあったわけで、ポップ・アーティストが関与していないラテン・ソングがこの部門にノミネートされるのはかなり異例ではないかと思います。ノミネート予想の記事でも触れましたが、アーティストではなく音楽で選考されるので、ポップ・アーティストではない人の曲がノミネートされることも全然あるわけで、今回は4/6がそうでした。その中でも、やはりラテン・ソングのノミネートは珍しいです。
最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス
- アバ / Don't Shut Me Down
- カミラ・カベロ feat. エド・シーラン / Bam Bam
- コールドプレイ × BTS / My Universe
- サム・スミス with キム・ペトラス / Unholy
- ポスト・マローン feat. ドージャ・キャット / I Like You ( A Happier Song )
は、恥ずかし...。堂々とコールドプレイ "My Universe" ノミネートの予想を切り捨てましたが、堂々と間違いました。...まあ、ノミネートされたのは嬉しいけど。また、カミラ・カベロ "Bam Bam feat. エド・シーラン" のノミネートも予想こそしていませんでしたがめちゃくちゃ嬉しかったです。コールドプレイ、ノミネートされたら応援するとは言いましたが、ちょっと撤回して今後は "Bam Bam" を第一に応援したいと思います。あと、サム・スミスに関しては対象期間内だったっけ?と首をかしげましたが確認したらギリ期間内でした。見落としてましたね。
最優秀ポップ・ボーカル・アルバム
- アデル / 30
- アバ / Voyage
- コールドプレイ / Music Of The Spheres
- ハリー・スタイルズ / Harry's House
- リゾ / Special
実はこの5作、すべてアルバム・オブ・ジ・イヤーの候補に挙がっています。やはり主要部門の音楽はポップが中心なのでしょう、今は。それにしても、ここの賞はポップ・アーティスト以外の人がノミネートされることは少ないはずなのですが、今回はリゾとコールドプレイがエントリーしています。そのうちリゾは新作からまだ2曲しか知りませんが、確かに両方かなりポップで、ラッパーがポップな曲を作っているというよりは、ポップ・スターが曲にラップを織り交ぜている感じすらあります。何だか、アーティストをジャンルではっきり区別しようとしている自分が愚かに見えてきますね...古い考え方で、すみません。
(採点) 15点中、6点!例年よりちょっと悪いかなーといった感じ。ポップ・ソロ・パフォーマンスについて、またも聞き苦しい言い訳を展開します。ドージャ・キャット "Woman" の代わりに自分はリル・ナズ・X "Thats What I Want" を予想していました。ドージャ・キャットかリル・ナズ・Xかジャスティン・ビーバー("Ghost")か、このうち一つはノミネートがあるだろうと思ってリルナズに決めたのですが、それが外れた形になります。...まあ、どうでもいいか。とりあえず壊滅的な結果にはならなくて良かったです。
・ロック部門
最優秀ロック・パフォーマンス
- アイドルズ / Crawl!
- オジー・オズボーン feat. ジェフ・ベック / Patient Number 9
- ターンスタイル / Holiday
- ブライアン・アダムス / So Happy It Hurts
- ザ・ブラック・キーズ / Wild Child
- ブランディ・カーライル / Broken Horses
- ベック / Old Man
ブラック・キーズ...!!そうきたか...!なるほど、やはりロック部門はブラック・キーズを見捨てたわけではなかった。前作『レッツ・ロック』(2019) のときは、たまたま競合が激しくて、選考から落ちたしまっただけで、ブラック・キーズはやはり現役の最強グラミー・ウィナーだ。オジー・オズボーンやジェフ・ベック、ブライアン・アダムスと伝説級のベテランが多いが、その中でもギラギラ輝いている。
最優秀ロック・ソング
- ザ・ウォー・オン・ドラッグス / Harmonia's Dream
- オジー・オズボーン feat. ジェフ・ベック / Patient Number 9
- ターンスタイル / Blackout
- ブランディ・カーライル / Broken Horses
- レッド・ホット・チリ・ペッパーズ / Black Summer
よし!!レッチリが入った!!まずはそこに安心。一方で、パニック!アット・ザ・ディスコはシングルもアルバムも駄目だったか、と落胆。『ヴィヴァ・ラ・ヴェンジャンス』の表題曲、普通に大好きなんだが...。
最優秀ロック・アルバム
- アイドルズ / Crawler
- エルヴィス・コステロ & ジ・インポスターズ / The Boy Named If
- オジー・オズボーン / Patient Number 9
- スプーン / Lucifer On The Sofa
- ザ・ブラック・キーズ / Dropout Boogie
- マシン・ガン・ケリー / Mainstream Sellout
マシン・ガン・ケリーが、ここにきて初グラミー!!!全米1位の大ヒット前作『チケッツ・トゥ・マイ・ダウンフォール』(2020) は全編パンク・ロックのアルバムで、これがその年のグラミーにまったくノミネートされなかったことからMGKはグラミーとの相性が悪いのではないかと疑っていた。『チケッツ・トゥ・マイ・ダウンフォール』でダメだったなら、その続編ともとれる今作『メインストリーム・セルアウト』もダメだろう、と考えていた。それが、...まさかの。
最優秀オルタナティヴ・ミュージック・パフォーマンス
- アークティック・モンキーズ / There'd Better Be A Mirrorball
- ウェット・レッグ / Chaise Longue
- ビッグ・シーフ / Certainty
- フローレンス・アンド・ザ・マシーン / King
- ヤー・ヤー・ヤーズ feat. パフューム・ジーニアス / Spitting Off The Edge Of The World
知らない間に新しい賞が新設されていました!!オルタナティヴ・ミュージックのシングルを評価する賞のようで(これまではアルバムだけだった)、個人的には大歓迎です!記念すべき1度目のノミネート、UK勢が多めですね。フローレンス・アンド・ザ・マシーンはヒットした "My Love" の方じゃないの?と思いました。確かに "King" もシングル・カットされていた曲ではありますが。
最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム
- アーケイド・ファイア / We
- ウェット・レッグ / Wet Leg
- ビッグ・シーフ / Dragon New Warm Mountain I Believe In You
- ビョーク / Fossora
- ヤー・ヤー・ヤーズ / Cool It Down
アーケイド・ファイアも(ブラック・キーズ同様)2作ぶりのノミネートですね。ざっと見て、オルタナティヴ・ミュージック部門は女性が参加しているバンドのノミネートが多いです。...というか、ほとんどそれでしたね、今回は。
(採点) 15点中1点正解。これまではロック・パフォーマンスにオルタナティヴ・ミュージックのシングルも含まれていたため、予想と分化した実際にずれが発生してしまって、ウェット・レッグやフローレンス・アンド・ザ・マシーンの予想が無駄になってしまいました。本気で予想するなら、こういうのも調べておかないと駄目ですよね...。
カントリー部門
最優秀カントリー・ソロ・パフォーマンス
- ウィリー・ネルソン / Live Forever
- ケルシー・バレリー二 / Heartfirst
- ザック・ブライアン / Something In The Orange
- マレン・モリス / Circles Around This Town
- ミランダ・ランバート / In His Arms
ウィリー・ネルソンか~。毎回必ずあるグラミー賞カントリー部門の古参枠、今回はウィリー・ネルソンでした。調べたらなんと89歳で、タワー・レコードによるとこの曲が収録されたアルバム『ア・ビューティフル・タイム』は72作目のアルバムになるそうです。一方、最新の若手としてはザック・ブライアンが選ばれていて、これはメインストリームがちゃんと反映されている証拠ですね。受賞できるかどうか、気になります。
最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス
- イングリッド・アンドレス with サム・スミス / Wishful Drinking
- カーリー・ピアース with アシュリー・マクブライド / Never Wanted To Be That Girl
- ブラザーズ・オズボーン / Midnight Rider's Prayer
- リーバ・マッキンタイア & ドリー・パートン / Does He Love You
- ルーク・コムズ with ミランダ・ランバート / Outrunnin' Your Memory
- ロバート・プラント & アリソン・クラウス / Going Where The Lonely Go
一番「おおっ!」となったのは、イングリッド・アンドレス "Wishful Drinking with サム・ハント"。お気に入り曲の一つなので嬉しかったです。曲がヒットし始めたころに思ったのは、サム・ハントがフィーチャリングで参加するなんて珍しいな、ということ。また、イングリッド・アンドレスもそれまでアルバムの曲でコラボをしてこなかった人なので、この2人のコラボは異様中の異様でした。サム・ハントは他のカントリー・アーティストとは少し音楽性が違っていたりするので、純粋なカントリー・スタイルの人とコラボするのは合わないのかもな、と思いますが、イングリッド・アンドレスも実は純粋なカントリーのイメージがない人で、他ジャンルにも通じるところがあるので、だからこのコラボは上手くいったのかな、とか思ったりします。ちなみにサビがビービー・レクサ "Meant To Be feat. フロリダ・ジョージア・ライン" の一節に似ていますね。
最優秀カントリー・ソング
- ウィリー・ネルソン / I'll Love You Till The Day I Die
- コーディー・ジョンソン / Til You Can't
- テイラー・スウィフト / I Bet You Think About Me ( From The Vault ) ( Taylor's Version )
- マレン・モリス / Circles Around This Town
- ミランダ・ランバート / If I Was A Cowboy
- ルーク・コムズ / Doin' This
ルーク・コムズは、カントリー・ソロ・パフォーマンスでノミネートがなかったため、今回もダメかな...と思っていたらそれ以外のカントリー部門では全部ノミネートを受けていて大活躍でした!ノミネート数でいえばこれまでで最高で、本当に良かったです。"Doin' This" とか、めっちゃかっこいいですしね。あと、ミランダ・ランバートも相変わらずの大活躍!カントリーの4部門すべてでノミネートを受けています。毎回のようにノミネートされている方ですが、メインストリームを長い間しっかりと維持している超実力派なので、異論はみじんもありません。
最優秀カントリー・アルバム
- アシュリー・マクブライド / Ashley McBryde Presents : Lindeville
- ウィリー・ネルソン / A Beautiful Time
- マレン・モリス / Humble Quest
- ミランダ・ランバート / Palomino
- ルーク・コムズ / Growin' Up
マレン・モリス、ミランダ・ランバートは経験者ですが、ルーク・コムズはカントリー・アルバムへのノミネートは初めてです!このまま受賞しちゃってほしいですね。モーガン、ケイン、ベイリーは結局今回も不遇に終わってしまいましたが、ひとまず今は、ルークが大きく評価されたことに喜んでいたいです。早い話彼らは次回も大いに可能性がありますしね。
(採点) 15点中、わずか4点!うー...ルーク・コムズをもっと信じていれば…。カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンスが特に悪かったですね、まあ思い付きが悪かったのがおそらく主要因ですが。そしてよく見たらコール・スウィンデルもゼロ!!これはちょっとないんじゃないですか!?すごい調子良かったのに、まさかのゼロ!!あと、テイラー・スウィフトの曲はクリス・ステイプルトンが入っていないバージョンなんですね、何となく気になりました。まあでも、全体的には独自色が例年より控えめで、よく独自色強すぎ!って不満に思っていたので、今回の選考結果は良かったです。
R&B部門
最優秀R&Bパフォーマンス
- ジャズミン・サリヴァン / Hurt Me So Good
- ビヨンセ / Virgo's Groove
- ムニ・ロング / Hrs And Hrs
- メアリー・J. ブライジ feat. アンダーソン・パーク / Here With Me
- ラッキー・デイ / Over
メアリー・J. ブライジに関しては、今年そんなすごかったっけ?という感想です。アルバム『グッド・モーニング・ゴージャス』(2022) もシングルであるその表題曲も、他の候補に比べればチャートの成績は微妙でしたが、グラミーではすごい高評価になりました。2017年の前作はまったくノミネートされていなかったので、決してひいきされているわけではなさそうで、だからこそ何故今作で急に高評価になったのか、不思議さがあります。
最優秀R&Bソング
- ジャズミン・サリヴァン / Hurt Me So Good
- ビヨンセ / Cuff It
- PJモートン / Please Don't Walk Away
- ムニ・ロング / Hrs And Hrs
- メアリー・J. ブライジ / Good Morning Gorgeous
ジャズミン・サリヴァンも今年はあまり目立っていませんでしたが、前回のグラミー受けがかなり良かったので、おそらく今回のはその名残でしょう。グラミーズ・フェイヴァリットと呼ばれる、グラミー賞好みのアーティストはこのような名残ノミネートがよくあります。PJモートンもグラミーズ・フェイヴァリットで、ヒットしたか否かに関わらずこれまでたくさんノミネートを受けてきました。まあ、もちろん何も悪いことではないのですが。
最優秀R&Bアルバム
- クリス・ブラウン / Breezy ( Deluxe )
- PJモートン / Watch The Sun
- メアリー・J. ブライジ / Good Morning Gorgeous ( Deluxe )
- ラッキー・デイ / Candydrip
- ロバート・グラスパー / Black Radio Ⅲ
クリス・ブラウンがノミネートされていますね。主役になるほどではないけど、なんやかんやでノミネートは継続的に獲得していて、すごいです。ロバート・グラスパーは確かジャズ・アーティストで、『ブラック・レディオ』は他のジャンルのアーティストたちと垣根を超えたコラボを多数展開して話題になったコラボ・プロジェクトです。『ブラック・レディオ2』が2014~15年くらいの作品だったはずなので、かなり久しぶりにシリーズの最新作が出たということになりますね。
最優秀プログレッシブR&Bアルバム
- コリー・ヘンリー / Operation Funk
- スティーヴ・レイシー / Gemini Rights
- タンク・アンド・ザ・バンガス / Red Balloon
- テラス・マーティン / Drones
- ムーンチャイルド / Starfruit
ここは相変わらず知らない人ばかりですね...。厳密には名前を知っている人も何人かいますが、曲はほぼ聴いたことないです。...ふと前回のグラミーを振り返って、気付きました。コリー・ヘンリーさんとテラス・マーティンさん、前回もこの賞にノミネートされています。まさかの2年連続の対決でした。
(採点) 10点中2点。ビヨンセの曲違いや、ジャンル違いが多々ありました。彼女の今年のアルバム『ルネッサンス』、ダンス部門に入っていましたね...R&Bではなく。EDM色の強いアルバムだとは聞いていましたが、本当でした。それと、スティーヴ・レイシーの "Bad Habit" も、チャートではオルタナティヴ・ミュージックやR&Bに定義されているのですが、グラミーではポップ部門に振り分けられました。よく分かりません。
ラップ部門
最優秀ラップ・パフォーマンス
- ガンナ feat. フューチャー & ヤング・サグ / Pushin' P
- ケンドリック・ラマー / The Heart Part 5
- DJキャレド feat. リック・ロス、リル・ウェイン、ジェイ・Z、ジョン・レジェンド & Fridayy / God Did
- ドージャ・キャット / Vegas
- HitKidd & グロリラ / F. N. F. ( Let's Go )
半分ヒット曲、半分有名人の非ヒット曲、といった感じですね。ゲストの顔ぶれは豪華極まりないですが、DJキャレドの "God Did" はチャートでヒットした曲というわけではないです。また、先述の通りケンドリック・ラマーの "The Heart Part 5" もヒット曲とはいえず、選考に関してはグラミーの独自色を感じました。なお、ドージャ・キャットはR&Bメインの人ですが、 "Vegas" はラップがかっこいい曲で、ヒップホップ感も強いのでラップ部門へのエントリーは納得できます。
最優秀メロディック・ラップ・パフォーマンス
- ケンドリック・ラマー feat. ブラスト & アマンダ・レイファー / Die Hard
- ジャック・ハーロウ / First Class
- DJキャレド feat. シザ & フューチャー / Beautiful
- フューチャー feat. ドレイク & テムズ / Wait For U
- ラトー / Big Energy ( Live )
う~、やっぱり好きな曲がノミネートされるのは嬉しい!!ジャック・ハーロウ "First Class" とラトー "Big Energy" ですね、良かった!それと、長くメインストリームで活躍してるのになかなかグラミーに選ばれてこなかった人が満を持して高評価されるのも、ドラマがあっていい!フューチャー、コングラチュレーション!!
最優秀ラップ・ソング
- ガンナ feat. フューチャー & ヤング・サグ / Pushin' P
- ケンドリック・ラマー / The Heart Part 5
- ジャック・ハーロウ feat. ドレイク / Churchill Downs
- DJキャレド feat. リック・ロス、リル・ウェイン、ジェイ・Z、ジョン・レジェンド & Fridayy / God Did
- フューチャー feat. ドレイク & テムズ / Wait For U
今回のラップ部門は、ラマー、ジャック・ハーロウ、DJキャレド、フューチャーの4人の存在感がめちゃくちゃ強い構造になっていますね。特にフューチャーはラップ部門だけで6つもエントリーを獲得しています(ゲスト参加の分も含めて)。また、棄権したドレイクもゲスト参加だけで3つエントリーを獲得していて、彼も受賞してしまう可能性が低くありません。
最優秀ラップ・アルバム
- ケンドリック・ラマー / Mr. Morale & The Big Steppers
- ジャック・ハーロウ / Come Home The Kids Miss You
- DJキャレド / God Did
- フューチャー / I Never Liked You
- プシャ・T / It's Almost Dry
フューチャー、ジャック・ハーロウ、ともに初の同賞ノミネートです!よかったよかった。一方ケンドリック・ラマーは常連中の常連で、前作『ダム』(2017) と前々作『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』(2015) では同賞を受賞していました。恐るべしラマー、彼に打ち勝つのは難しいかもしれませんが、ノミネートされただけでも快挙で、誇れることであることには間違いないでしょう。
(採点) 15点中8点。フィーバーでした。特にメロディック・ラップ・パフォーマンスですね、DJキャレドの "Beautiful" 以外は全部当たって、すごくうれしかったです。予想を振り返ってみると、自分の失敗はDJキャレドをどこにも加えなかったことだけのように思えて、とにかく上手くいって良かった。35点とれたのも、ここでの成功が大きいです。
...以上です!全部しっかり読んでくださった方はいないと自覚しておりますが、流して適当に読んでくださった方、本当にありがとうございました!!授賞式が近くなったら、来年も受賞予想します!!