グラミー賞関係者がAIを使用した楽曲の受賞資格について「ある」と答えたのち、
「ない」と前言撤回した一件について、
個人的には、AI使用楽曲のノミネートに反対。
うまく言えないけど、それを許可したら何でもありになってしまいそう。
音楽の才能を評価する賞なのに、電子機器を操作する才能だけでノミネートされてしまうのでは?とか思う。
少し前にグラミー賞最優秀新人賞のノミネートの傾向を掴む、といった内容の記事を書きましたが、
今回は年間最優秀アルバム賞(アルバム・オブ・ジ・イヤー)を解剖してみたいと思います。
私は毎年10~11月にグラミー賞の人気部門のノミネートを予想するということをやっているのですが、
アルバム・オブ・ジ・イヤーの傾向を掴んだうえで、それを予想にも活かしたいですね。
...というか、実はそっちがメインの目的です。
というのも、今年のノミネートの公式発表は11/10(金)となっていて、例年よりちょっと早め。
そのため、予想記事も今月中には上げるかもしれません。
その前にできるデータ分析はしておきたいと思って、予想記事のために本記事を書くことにしました。
ちょっと難しい内容があったらごめんなさい。なるべく分かりやすく書いていきます。
~ 目次 ~
1.概要
2.チャートからの傾向分析
3.歴史からの傾向分析
4.結論
1.概要
グラミー賞の主要部門の一、年間最優秀アルバム賞について、傾向分析をしていきたいと思います。同賞は選考期間(だいたい前年の10月~本年の9月)内に新しくリリースされた作品が対象で、その年に最も売れた・インパクトを残した・注目を得たアルバムが評価されます。主要部門の中では曲を評価する年間最優秀レコード賞の次に権威がある賞ですね。今年はハリー・スタイルズの『ハリーズ・ハウス』が受賞していました。前回はグラミー賞の歴史からノミネートの傾向を探っていましたが、今回はチャートとの関係からも探っていこうと思います。
なお、どうでもいいですが、ノミネートを予想することに関して、データ分析みたいなことをすることに疑問を感じられる方もいるかと思います。ノミネートはその年の流行とかに左右されるから、データから導き出した答えにすっぽり当てはまることはほとんど無い(年によってばらつきがある)と思われるし、そもそも予想は直感的にした方が楽しいかもしれません。ただ、私の場合はこれまでずっと直感でやってきていて、それ故たまにはデータをもとにした予想をしてみたいと思ったので、主要部門の2部門に関しては、データで得られた答えで縛ることにしました。...つまり、、、その、、、気分です!!!
2.チャートからの傾向分析
まずは、グラミー賞とチャートの関係から見ていこうと思います。私は都度都度グラミーがチャートの実態を反映していないなどと批判的な意見を書いてきましたが、アルバム賞に関しては実際どうなのでしょうか。直近5年間のグラミー賞の選考結果と、選考作品のそれぞれ年間チャート・週間チャートの順位を確認してみようと思います。まずはグラミー賞2019です(ノミネートされたアルバム名は割愛)。
年間チャート | 週間チャート | |||
ドレイク | 2 | 1 | ||
ポスト・マローン | 3 | 1 | ||
カーディ・B | 6 | 1 | ||
V.A.(サントラ) | 12 | 1 | ||
H.E.R. | 68 | 23 | ||
ケイシー・マスグレイヴス | - | 4 | ||
ジャネール・モネイ | - | 6 | ||
ブランディ・カーライル | - | 5 |
その年にチャートで最も売れたアルバムを、グラミー賞と近い集計期間で測る年間チャートから見ていきましょう。個人的に年間アルバム・チャートの40位以内は特にすごく、Top40はその年を代表するような「大ヒット」の定義域としているのですが、2019年はそこから4作がノミネートされています。正直、少ないですね...、8枠もあるのに。しかも、残り4作のうち3作は年間チャート範囲外の作品でした。MTVなど他の音楽賞ではなかなか無いことです。...ただ、それらは、週間チャートではTop10入りしていました。H.E.R.の『H.E.R.』のみ23位ですが、こちらはロングヒットして年間チャートには入っているので、当年はやはりある程度チャートで好成績を残している作品がノミネートされた年だったといえます。続いて、グラミー賞2020です。
年間チャート | 週間チャート | |||
ビリー・アイリッシュ | 1 | 1 | ||
アリアナ・グランデ | 2 | 1 | ||
リゾ | 20 | 4 | ||
リル・ナズ・X | 46 | 2 | ||
ラナ・デル・レイ | 182 | 3 | ||
ヴァンパイア・ウィークエンド | 200 | 1 | ||
H.E.R. | - | 86 | ||
ボン・イヴェール | - | 26 |
前述した定義域からは、この年は3作でした。また、年間チャートにランクインした作品数も、6で相変わらず少ないです。そして、2020年は残り2作品の週間チャートの成績も微妙でした。...つまり、一部でチャートとの乖離が見え始めています。決してH.E.R.やボン・イヴェールを批判するわけではありませんが、もっとヒットしたアルバムあったんじゃ...?と思った年でした。次は、グラミー賞2021です。
年間チャート | 週間チャート | |||
ポスト・マローン | 1 | 1 | ||
テイラー・スウィフト | 5 | 1 | ||
ジェネイ・アイコ | 36 | 2 | ||
デュア・リパ | 62 | 4(当時) | ||
コールドプレイ | - | 7 | ||
ハイム | - | 13 | ||
ブラック・ピューマズ | - | -(当時) | ||
ジェイコブ・コリアー | - | - |
いよいよ乖離が顕著になってきた気がします。年間チャートTop40からのノミネートは2021年も3枚。まあ、それはもうそういう傾向ということでいいのかもしれませんが、重要なのは残り5枚のうち4枚(も)が範囲外であるということです。特に、それらのうちコールドプレイとハイム以外の2作は週間チャートにもランクインしておらず、これは明らかにチャートとの乖離です。前年に見られたそれが、拡大したといえるでしょう。
※(当時)というのは、ノミネートされた時点(この場合は2020年11月時点)でのチャートの成績を表します。デュア・リパとブラック・ピューマズは、翌年に授賞式が開催された後それぞれ最高順位を更新しました。
年間チャート | 週間チャート | |||
オリヴィア・ロドリゴ | 2 | 1 | ||
テイラー・スウィフト | 4 | 1 | ||
ジャスティン・ビーバー | 15 | 1 | ||
ドージャ・キャット | 20 | 2 | ||
カニエ・ウェスト | 39 | 1 | ||
ビリー・アイリッシュ | 41 | 1 | ||
リル・ナズ・X | 126 | 2 | ||
H.E.R. | 175 | 6 | ||
トニー・ベネット & レディー・ガガ | - | 8 | ||
ジョン・バティステ | - | 86(当時) |
2022年のグラミー賞です。この年から、枠が10に拡大されました。拡大されたということは、より多くのヒット作がノミネートされやすくなったということで、それもあってかこの年は大ヒット・アルバムが5枚ノミネートされています。ビリー・アイリッシュの41位はギリギリなので、もう6枚といってもいいでしょう。さらに、年間チャート圏内の作品が他にも2枚、10枠中9枠が週間チャートでTop10入りした作品。チャートとの距離が前年より縮まっているのは間違いありません。乖離幅の拡大は、落ち着いた感じです。...唯一距離があったジョン・バティステの『ウィー・アー』が受賞したことを除いては。
年間チャート | 週間チャート | |||
バッド・バニー | 1 | 1 | ||
アデル | 2 | 1 | ||
ハリー・スタイルズ | 7 | 1 | ||
ケンドリック・ラマー | 17 | 1 | ||
ビヨンセ | 21 | 1 | ||
リゾ | 160 | 2 | ||
コールドプレイ | - | 4 | ||
アバ | - | 2 | ||
メアリー・J.ブライジ | - | 14 | ||
ブランディ・カーライル | - | 11 |
最後に、今年の事例です。また少し分からなくなりました...。とりあえず、大ヒット作の定義域たる年間チャートTop40からは、2023年も5作がノミネートされました。少なくとも枠の2分の1は大ヒット作で埋まる...と解釈しても差し支えないと思います。ただ、残り5枠に関して、2年前の状況に逆戻り...でしょうか。4作が年間チャート範囲外です。週間チャートの成績を見る限りではどれも悪くなさそうですが、メアリー・J.ブライジとブランディ・カーライルの新作に関してはロングヒット性が担保されていません(この記事の最初の方で紹介したパーソナルな指標によりますが)。つまり、商業的理由で選ばれていない可能性が高い感じです。しかし、実はそれは前年のトニー・ベネット & レディー・ガガ『ラヴ・フォー・セール』も(Top10入りこそしたものの)そうだったので、週間チャートからは「チャートでの成績が目立っていない作品も、2枠ほどノミネートされる」という傾向が掴めた気がしますね。また、チャートとの乖離は、総じて縮まってはいないといえます。自分の感情も無駄に入ってしまったりして、ちょっとごちゃごちゃしてしまったので、章の最後に得られた傾向を少しまとめます。
・年間チャートのTop40から、ノミネート枠の半分(今は5枠)が埋まる!
・週間チャートでもあまり活躍しなかったアルバムが、2作ほどノミネートされる!
・グラミー賞とヒット・チャートの距離は、少し開いた状態がキープされている!
何というか、決定的なものがないですね...。特に1つ目の収穫物は2つ問題がありました。Top40という範囲は広すぎるので予想に活かしづらいということと、そもそも年間チャートの発表はグラミー賞ノミネートの発表より後にあるということです。年間チャートの予想からグラミー賞を予想する、ということをしなければいけないわけですね。それゆえ、収穫としてはけっこう弱いです。なので、表とかは作りませんでしたが追加で今度は「チャートからグラミー賞を見る」分析をして、いえることがないか探しました。年間チャートの上位Top20から、作品がどれぐらいグラミーに輩出されているかを調べた感じですね(年間チャートはTop20レベルなら少し予想できます)。分母を「グラミー賞に選考されうる年間チャートTop20の作品」とし、分子を「実際に選考された作品」としたところ、平均して3分の1くらいがノミネートされていることが判明しました。また、Top5のノミネート可能な作品のうち、2作品は必ずノミネートを受けています。...というか、2作品が毎年ノミネートされています。例えば、今年はテイラー・スウィフト『ミッドナイツ』、メトロ・ブーミン『ヒーローズ & ヴィランズ』、シザ『SOS』、モーガン・ウォーレン『ワン・シング・アット・ア・タイム』がノミネート可能な作品として年間チャートTop5入りが予想されますが、このうち2作品がアルバム・オブ・ジ・イヤーのノミネートにも輝くかもしれません。あまりに具体的すぎる傾向分析ですが、参考資料としては絶対使えるので、上記収穫物の1つ目は、次のように修正しておきましょう。チャートからの傾向分析は以上です!
・年間チャートTop5に入りそうな大ヒット・アルバムのうち、2作は必ずノミネートされる!
3.歴史からの傾向分析
次に、グラミー賞の歴史からアルバム・オブ・ジ・イヤーの傾向を探ってみようと思います。最優秀新人賞のときと同様、ジャンル、形態についてですね。それぞれ見ていきます。
まず、ジャンル分析。私が最も興味があるところです。ただし、注意点として、ジャンルはグラミー賞の基準を用います。グラミー賞主要部門の年間最優秀アルバム賞にノミネートされるような作品は、(非主要部門の)ジャンル別部門のアルバム賞にもノミネートされることが多くあるので、ジャンル別でもノミネートされている場合はそこのジャンルを統計の基準にするかたちです。例えばアデルの『30』(2021) は今年のグラミー賞で年間最優秀アルバム賞にノミネートされましたが、同時にジャンル別の「最優秀ポップ・ボーカル・アルバム賞」にもノミネートされていたので、『30』はポップ・アルバムとジャンル分けできますね。こんな感じで、グラミー2003から各年年間最優秀アルバム賞のノミネーションのジャンル内訳を作っていき、前回同様ヒストグラムみたいなものを作ってみました(※本当はヒストグラムではありません)。各ジャンル、アルバムが年間最優秀アルバム賞に1作以上ノミネートされた年が21年中何年あったかを調べ、まとめたものになります。なお、主要部門のみのノミネートだった場合は、ジャンル分けはしませんでした。結果は以下になります。
説明を忘れていましたが、グラミー賞には本当にたくさんの「アルバム賞」があり、けっこう細かく区分されていたりします。ポップ部門では、メインストリーム寄りの「ポップ・ボーカル・アルバム賞」以外にも上のグラフの緑色「トラディショナル・ポップ・ボーカル・アルバム賞」があり、定義はよく分かりませんが比較的高齢の歌手がノミネートされるイメージがあります(知識不足ですみません)。また、ロック部門は純粋なロックやハード・ロック、メタルを扱う「ロック・アルバム賞」とオルタナティヴ・ミュージックを扱う「オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞」があります。さらに、R&Bは「R&B・アルバム賞」と「プログレッシブ・R&B・アルバム賞」(旧コンテンポラリー・R&B・アルバム賞」)があり、後者の方がどちらかというとメインストリーム寄りですね。厳密な区分基準は分かりませんが、ざっくりいうとそんな感じです。
グラフの話に戻って、最もノミネートを受けた回数が多いジャンルはポップのようですね。4回しか逃していません。次に多いのがラップ...継続的にノミネートを受けています。その次がプログレッシブ・R&Bとロックで、どちらも21年中11年もノミネートを獲得しました。これらを、ひとまずグラミー賞の年間最優秀アルバム賞にノミネートされやすいジャンルとするのは、異論はないでしょう。ただ、近年の傾向も着目しておくべきなので、次はそれを確認します。
直近10年間のノミネーションのジャンル分けですね。2014~2018が5枠、2019~2021が8枠、2022~2023が10枠で、前述の通り主要部門のみのノミネートの場合はジャンル分けしていないので、必ずしも全数一致はしません。それを考えると実はグラミー2021は主要のみのノミネートが5つもあったりして珍しかったのですが、それは置いといて、ポップはやはり最近でも調子がいいことが伺えます。ラップやプログレッシブ・R&Bも、回数が多いといえるでしょう。しかしながら、ロックは直近10年ではなんとたった1回です。それ以外の10回はすべて2003~2013の11年間になされていて、極端にもロックは近年の傾向ではノミネートされにくいということが分かりました。逆に、2つ上のグラフではそんなに目立っていなかったのですが、R&Bは最近は意外とたくさんノミネートを受けていて、調子が良さそうです。このことから、ジャンル・R&Bのノミネートもあり得るかもしれません。
結論です。ポップ、R&B、ラップ、プログレッシブ・R&Bのノミネートが堅いととりました。それぞれノミネートを受けた年に、平均して何作がノミネートされたか(1回あたり何作がノミネートされたか)を計算したところ、ポップは5枠計算で1.65作、R&Bは0.83作、ラップは1.19作、プログレッシブ・R&Bは1.02作とでました。現在の10枠に合わせるため2倍するとそれぞれ 3.29、1.65、2.38、2.05となったので、確定要素としてポップ・アルバムの枠を「3」、R&B・アルバムの枠を「1」、ラップ・アルバムの枠を「2」、プログレッシブ・R&B・アルバムの枠を「2」設けようと思います。残り2枠は、チャートに合わせたフリー枠ですね。ジャンル的には、とりあえずこうすることにしました。
※5枠計算でR&Bの平均値が1以下になっているのは、8枠・10枠の時代のノミネートを5枠に縮小し合わせたからです。
続いて、形態分析。男性ソロ・女性ソロ・デュオ / グループのノミネート比率を出してみます。なお、ソロ・アーティスト同士のコラボ・アルバムや、たくさんのアーティストが参加しているサウンドトラック的なアルバムはデュオ / グループのアルバムとしています。以下、各年ごと形態の内訳をはっきりさせ、2019年以降は5枠に基準を合わせたうえで平均的なノミネート比率を導出しました。下の表です。
5枠で見て、男性ソロは平均1.98、女性ソロは平均1.62、デュオ / グループは平均1.39人(組)、1年にノミネートを受けています(小数第3位を四捨五入)。さらに四捨五入して、整数比にすると2:2:1といったところでしょうか。ただ、実際は枠は10に拡大されているので、表のようにそれぞれ2倍して整数比にすると、4:3:3といった感じになります。やはり、男性ソロが多めですね。ジャンル分析のときと同じように、ここでも直近の状況を一応確認します。
くどいようですが、2018年までが5枠、2019~2021年が8枠、2022~2023年が10枠です。そのうえで表を見ると、最初の5年は男性ソロが特に多くアルバムをノミネートされていることが見受けられます。その次が女性ソロで、デュオ / グループは全然ですね。ただ、グラミー賞2019以降では枠が拡大されたこともあって少し状況が変化。男性ソロのアルバムのノミネートが少し減り、代わりに女性ソロのアルバムのノミネートが一気に増えています。一方でデュオ / グループ・アーティストのアルバムのノミネートはそんなに増えておらず、存在感は低いままなので、これらのことから、比率を人為的に少し変えることにしました。男性ソロ、女性ソロ、デュオ / グループの順で4:4:2です。これに関してはフリー枠とかはないので、予想はぴったりこれに当てはめることにします。以上、形態の分析でした。グラミー賞の歴史からの傾向分析も、以上です。
4.結論
かなり多くの条件を生んだので、かえって予想しにくくなるかもしれません...。とりあえず、成果をまとめます。グラミー賞主要部門の年間最優秀アルバム賞は、以下のような傾向があるようです。ヒット・チャートとの関係において、
・年間チャートTop5に入りそうな大ヒット・アルバムのうち、2作は必ずノミネートされる!
・週間チャートでもあまり活躍しなかったアルバムが、2作ほどノミネートされる!
・グラミー賞とヒット・チャートの距離は、少し開いた状態がキープされている!
また、21世紀のグラミー賞の選考結果の歴史から、
・「ポップ・アルバム」、「R&B・アルバム」、「ラップ・アルバム」、「プログレッシブ・R&B・アルバム」が現在ノミネートされやすく、それぞれ3作、1作、2作、2作をノミネートに予想するのが無難...!
・歴史的に男性ソロ・アーティストのアルバムのノミネートが多く、時事的には女性ソロ・アーティストのそれも多いため、ノミネートを予想する際は形態の比率は4:4:2が最も堅い...!!
という結論が得られました。やたらこだわったので長くなりましたが、ここまでたどり着けて良かったです。うまく全部に当てはまるよう、予想もがんばります。途中飛ばして読んでくださった方も、ありがとうございました。今回は以上です。
次回更新まで間が空くかも...。ごめんなさ~い...!
11/14(火)追記:第66回グラミー賞(グラミー賞2024)のノミネートが発表され、年間最優秀アルバム賞のノミネートも明かされました。章ごとに、本記事との関連で答え合わせなどしていきたいと思います。
まず、第2章のチャートからの傾向分析に関連して、「週間チャートでもあまり活躍しなかったアルバムが、2作ほどノミネートされる」という解に関しては、来年(開催のグラミー賞)はその通りでした。候補の8作(※)中6作はヒットしていますが、2作(ジャネール・モネイ『ジ・エイジ・オブ・プレッシャー』、ジョン・バティステ『ワールド・ミュージック・レディオ』)はそれほどでもないのが事実です。「グラミー賞とヒット・チャートの距離は、少し開いた状態がキープされている」という考えに関しても、年間最優秀アルバム賞に関しては今回で大きく乖離したとも近づいたともいえないので、あながち間違ってないかなと思いました。
※主要部門のノミネート枠は、10から8に戻りました!!
次に、第3章の歴史からの傾向分析に関連して、途中でジャンル別分析について「ポップ・アルバム2、R&B・アルバム1、ラップ・アルバム2、プログレッシブ・R&B・アルバム2」という結論が出ていましたが、これは半分くらい間違っていました。来年のノミネート結果は、「ポップ・アルバム3、オルタナティヴ・ミュージック・アルバム2、プログレッシブ・R&B・アルバム2、主要のみ1」です。ポップとプログレッシブ・R&Bが多いというのは当たりましたが、ラップは今回はゼロ。これは、時代の変化を考慮せずこう結論づけた自分のミスかなと思います。そして形態分析については、平均ノミネート数を8枠に合わせると男性ソロ・女性ソロ・デュオ / グループそれぞれ「3.17・2.62・2.22」。仮にこれを「3:3:2」に整数化すると、今回のノミネートでは男性1人、女性6人、デュオ / グループ1組なので全然違います。結論として出していた「4:4:2」も、8枠だったとはいえ全然違うので、答え合わせとしてはこれもあまり整合してませんでした。
最後に、第4章の結論ですが、結局これらは役に立ったのかというと、これをもとに考えた予想は8分の5、当たっていたので役に立ちました。男女比のところは全然ダメでしたが、ジャンル分析のところとかチャートとの関連分析のところとかは当てはまっていたので、そこでカバーできたのかなと思います。いやー...、面倒だけど、いろんな側面から考えるのって、大事ですね...。なんとなくそう感じました。