2016~2018年にデビューしたラッパーを中心に、
彼らのこれまでのキャリアの「波」を可視化してみようと思ってエクセルで遊びました。
アルバム・チャートで何位とかいう折れ線グラフもいいですが、
シングル・チャートを使うことでもそれは表現できるよな、と思った次第です。
先に言っておくと、けっこう説明とか省いているところがあるので、まともに読みたい人向けではないかもしれません。...遊びなので。
人気アーティストが新アルバムをリリースした際、その収録曲がシングル・チャートになだれ込むことがあります。
これを私は適当に「大規模チャートアクション」と呼んでいるのですが、大規模チャートアクションは逆に、アーティストの人気も示します。
より多くの収録曲がランクインするほど、またより上位にそれが発生するほど、そのアーティストの人気は高いといえるでしょう。
これを使ってアーティストのキャリアの波(今はどんな状態か)が推測できると思い、グラフ化してみました。
対象は、2010年代後半にデビュー・アルバムをリリースした人で、かつ既に3枚以上アルバムを出している人です。
以下、グラフの見方です。バッド・バニーを例にとります。
グラフの縦軸はビルボードのチャートを表していて、0こそ入ってしまっていますが一応1~100位を示しているつもりです。横軸はアルバムの枚数で、バッド・バニーの場合左から順に1枚目、2枚目、3枚目、4枚目のアルバムをリリースした際の大規模チャートアクションを表しています。大規模チャートアクションに関しては、黒点で収録曲が当時何曲シングル・チャートにランクインしたか、またはどのポジションにランクインしたかを示していて、点は多ければ多いほど良く、また上に集まっていればいるほど良い、といった直感的解釈が可能です。なお、横軸のカッコ内の数字は黒点の数、すなわち何曲ランクインしてたかをカウントしたものです。
バッド・バニーは、2018年のデビュー・アルバムの頃はたった2曲でしたが、その後、それは11曲へと一気に上がって、直近の2022年の4thアルバムでは22曲もランクインしました。また、上位への密集度も4thアルバムで格段に強まっています。なお、グラフでは2nd→3rdの間でランクイン数が伸びていないどころか、上位への密集度もやや落ちているように見受けられますが、これは3rdアルバムのリリース時がチャートでクリスマス・フィーバーが起きていた時で、非クリスマス・ソングがシングル・チャートにランクインしづらかったことの影響を受けています。これがなければ、おそらくより多くの収録曲がより上位に食い込んでいたことでしょう。つまり、実質的には2nd→3rdの段階でも人気の右肩上がりが推測できます。
これらのことより、バッド・バニーの現段階を評価すると、ずばり「人気上昇中(↗)」です。5thアルバムが出たときに4thアルバムのときを上回る可能性は低いかもしれませんが、少なくとも今はそういう状態だといえるでしょう。...では、見方の説明はここまでで、私は説明だけして逃げます。悲しいことに、最近一番やりたかったチャート分析系の作業がこれで、グラフ作っててめちゃくちゃ楽しかったです...。次はもっとマシな作業に興味を持てますように...!
事例①:リル・ベイビー
※カッコ内を誤って各アルバムのリリース年にしてしまっていたので、ランクイン数のカウントを書き直しました。
評価:「人気上昇中(↗)」
事例②:ヤング・サグ
評価:「復活(→)」
セカンドでちょっと落ち込んだけど、今年リリースのサードで復活。だけど長期的には、維持(→)って感じ。
事例③:リル・ウージー・ヴァ―ト
評価:「ピーク維持(→)」
セカンドで到達した絶頂を、サードでもなんとか維持!密集域は落ちてはいるけど、そこまで劇的でもないので。
事例④:ポスト・マローン
※ここもカッコ内の表記を間違えました。
評価:「ピークアウト(↘)」
事例⑤:ロッド・ウェーヴ
評価:「ピーク維持(→)」
事例⑥:ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディ
評価:「急落(↘)」
事例⑦:ガンナ
評価:「ピーク維持(→)」
事例⑧:トリッピー・レッド
評価:「ピークアウト(↘)」
事例⑨:ヤングボーイネヴァーブロークアゲイン
評価:「急落(↘)」
本当に、何があったんだろう...。5thアルバムからモータウン・レコードに移籍したらしい。でも、モータウンは超有力レーベルだから、それが関係しているとも思えない。とにかく謎の急落。
結果
バッド・バニー含めた10組のケーススタディーにおいて、
↗・・・2件
→・・・4件
↘・・・4件
確認された。
どちらかというと、景気後退的な下向きの波に直面している人が多い。
20年代後半にデビューして、未だに人気を増やし続けられてるラッパーはさすがにもう少ないのかも。