コロナ再拡大の最中で実施されることになったGo toキャンペーン。
そもそも4月の時点で「夏になればコロナは消えるだろう」という超楽観的観測で決めた事が1番の問題。
1.7兆円という巨額の事業だけに「やっぱり止めよう」とか「延期しよう」という訳にもいかない所はオリンピックと似ています。
さらにあれだけ注目されながら中止という苦渋の決断をした甲子園や、学校での遠足・修学旅行は全停止なのに、、などと矛盾が山盛りです。
しかし「このままでは観光業界が持たない」という主張も解るので、賛否入り乱れて誰にもどうするのが良いか分からない状況。
そんな中で「東京都は除外」というのはどの立場の人にもそれなりに受け入れやすい落とし所になったようです。
でも、本当にそれで大丈夫なんでしょうか?
私なりに疑問に思う点がいくつかあるので挙げてみたいと思います。
・新規感染者人数は10日〜2週間前の検査結果が反映されているのではないのか?
これは新規感染者が増え始めたときから疑問でした。「検査数が増えているから感染者も増える」と説明されていますが、検査数増加と検査してから感染確認までのタイムラグが合っていないように感じます。
・東京都と首都圏は一体ではなかったのか?
緊急事態宣言解除の時に、神奈川・千葉・埼玉の感染者数はほとんどなかったにも関わらず「東京と一体だから」と3県は解除を先送りして東京都の解除と合わせました。
それなのに今回は東京だけ?
・神奈川、千葉、埼玉は東京以上に隠れ感染者が多いのではないか?
東京都は感染再拡大の中心として注目されているため検査数が多いので新規感染者も多いとされていますが、上記「東京と一体」の3県は東京都に匹敵する規模で検査をしているのか?
私の住む埼玉県は1日あたりの検査数を発表していないため知る由もありません。
もしも検査数が東京都の半分以下であったら、実は既に東京都並みの感染状況になっている可能性が大いにあると思います。
・大手旅行代理店を経由しないとあまり補助が受けられない
宿泊代の35%補助以外にマイカー旅行ではメリットを受けられないようです。
対してJTBなど大手代理店を通すと交通費やパック旅行代金などメリットが多くなります。
公共交通機関を使う方が補助が多い?コロナ感染リスクとの整合性は??
・3県の郊外は感染に対してけっこう無頓着
私の住む地域は埼玉県でも郊外の方です。地元の飲食店ではせいぜい消毒アルコールを置くくらいで、アクリル板や客の距離をとるなどの対策は皆無の店も多いです。マスクをしない人も多い。
東京から30km程度しか離れていないのに
「東京から遠いから関係ない」という空気を感じます。
これが感染に対する東京都近郊以外の実情だと思います。こういう人達がみなGo toキャンペーンで旅行に行ってしまうのではないでしょうか?
以上が私が思うGo toキャンペーンの疑問点・問題点です。
さらに踏み込んだところを以下に書きますが、人によっては観光業界を避難する内容と取られるかもしれません。
私はコロナで被害を受けている方を非難するつもりは全くありません。ただ、この先おそらく数年は以前の状態に戻らないだろう状況の中、生き方や考え方そのものを変えていかないとどうにもならないと思います。
その考えのもとで私なりの意見を書いていきます。繰り返しますがコロナで被害を受けている方に対して非難する意思は全くありません。
この先数年は状況が戻らないと思われる中、このGo toキャンペーンで最終的に救われる事業者がどれほどいるのでしょうか。
これだけ大規模な事業ですから一時的に救われる事業者はいると思います。でもコロナが完全に収まるまでこのキャンペーンを続けることは出来るのでしょうか?
出来たとしても、その原資は税金と赤字国債です。コロナ前に既にダントツで世界最悪だった日本の財務状況は間違いなく悪化します。そのツケはコロナ後の将来に回されます。
これはGo toキャンペーンだけでなく、持続化給付金も10万円給付金も雇用給付金も全ての政府の給付金が同じです。
国民が苦しい時に支えるのが政府の役割であるのは間違いないですが、国の支援だけで全国民・事業者を救い、養えるのであれば誰も仕事をする必要がありません。
何が言いたいかというと、国の支援だけに頼るのは限界があるんじゃないか、ということです。
もちろん「支援がなければどうにもならない」という業種は沢山あると思います。
例えば一時話題になったミニシアター系の映画館。賃料だけで毎月100〜200万かかる状況で自粛、収入が途絶え苦しい状況が話題になりました。
その時にミニシアター系の事業者は団結して、各映画館で上映予定だった映画を合同でインターネット配信するサイトを立ち上げました。
僅かずつでも収益を上げる仕組みを作り、その取り組みが少しずつ評価され、苦境を知る人が増えるにつれて寄付なども集まるようになったそうです。
また老舗の割烹や料亭などもテイクアウトや宅配などに挑戦して、この苦境を乗り越える努力をしています。
翻って観光業界はこういった新しい試みや挑戦をしているのでしょうか。
個々のホテルや旅館で新しい取り組みをしている所はあるのだと思います。けれど旅行業界として大きな取り組みをしているという話は聞いたことがありません、Go toキャンペーンを除いて。
「お客がこなければどうにもならない」というのはどの業種も同じです。しかしそんな事を言っていても無いものねだりでしかないからこそ、どの業種でも知恵を絞って商売を続ける道を探っています。
でも旅行業界は「お客がこなければ」にあぐらをかいて、努力を初めからせずにGo toキャンペーンという「天のお恵み」にすがっているように感じます。
自民党の重鎮、二階幹事長が旅行業界の頂点にいる事で、初めからGo toキャンペーンにおんぶに抱っこのつもりであったようにも見えます。
「じゃあどうすればいい」と言われそうですが、例えば個室を多く持っている特性を活かして地域住民の「小さな集まりの場」として活用できないでしょうか?
私の周りでよく「知人と合う場がない」という話があります。互いの家には行けない、でも飲食店やファミレスなどは不特定多数の人がいるので不安、という状況で、全国の旅館・ホテルが連携して地元の人の「会う場」を提供したら需要があるのではないでしょうか。
旅館・ホテルの従業員と対面する機会を極力減らし、部屋の除菌・殺菌は徹底とすれば一般の飲食店よりも安心して利用出来ると思います。
これは素人の一意見です。でもこういった「宿泊に頼らない方法」での商売を探さなければ、多くのホテル・旅館は将来的に潰れてしまうのではないでしょうか。
Go toキャンペーンがある程度でも成功すれば、噂されている「10月の倒産連鎖」は防げるかもしれません。
※経営の悪化した事業者が耐えられず倒産するのが10月頃に一気に来ると言われています。もしこれが起きるとコロナ対策で貸付を行っていた銀行が貸付を回収できず焦げ付き、一気に経済危機を迎えるという観測もあるようです。
でも今年を乗り切ったとしても、来年コロナが収束する確証は何もありません。
業態として旅行業が苦しいのは解りますが、何かしら自ら動いて切り抜ける努力をしなければこの危機は乗り越えられないと思います。
今のままでは経済も戻らず、感染拡大も防げず共倒れ、という最悪の事態を招く可能性を拡げてしまうのがGo toキャンペーンだと思います。
最悪を防ぐ事が政治の基本のはず。日本は既に強制力のない自粛措置でコロナ封じ込めを行うという一か八かの賭けを行いました。
この上またGo toキャンペーンという、さらに分の悪そうな賭けをするのは、、
そんな賭けをするくらいなら、この1.7兆円を医療体制の支援に向けた方が「安心感」という形で経済支援になるのではないでしょうか。
今だから言えることかもしれませんが、一時補正予算でGo toキャンペーンが打ち出された時、「お肉券」「お魚券」と同レベルで「はぁ?」だったと記憶しています。。
結果的にもう一度賭けに勝てたとしても、それでコロナが収束するわけではない。その時はまた違う賭けをするのでしょうか。