高校生の体育の授業で、大きな川に沿って1kmちょっとの距離を走った
ぼくはトップグループ3人の中の1人だった。
本ばかり読む小学生、ブラスバンド部だった中学生
漫画、アニメ、プラモデル そんなのばかり好きだったローティーン時代。
スポーツはからっきしできなかった。
小学生のときの体力測定、ソフトボール投げで
クラスのトップは50mも投げたのに、ぼくは20mにも満たなかった。
投げた距離を得点に換算するんだけど、20m以下は0点だった。
棒グラフのマスに色を塗って提出するんだけど、ひとマスも塗れず
先生に「ん?やってないのか?」と言われてとても悲しくなり、
隣のクラスの奴らにばかにされ、ついに泣いた。
クラスの仲間たちが激怒して隣のクラスのやつらと一触即発になった。
いまとなっては懐かしい思い出でニヤニヤしちゃうけど
その時、子供だった自分の心にはとても深刻な出来事だった。
少しだけ時が流れ、高校生になった時
ぼくは小学校の金管隊、中学校のブラスバンド、そしてヤマハで4年半学んだ
楽器を手放し、格闘技部に入った。
自分で言うのも何だけど、田舎の中学生としては
ちょっといい感じの奏者だったので、周囲の人々は驚いていた。
正直、格闘技で結果は出せなかった。
だけど、インターハイや国体で勝つような人々と全く同じ練習をして
それまで使っていなかった何かが動き始めた。
あの日、体育の授業で大きな川に沿って走った時、
ぼくはトップグループの3人の中の1人だった。
高2のとき野球部が甲子園にいったけど、そのとき2年生で背番号もらって
ベンチ入りしてた奴、そしてバスケ部の主将、そしてぼく。
2人は全力で走ってはいなかっただろう。
でもぼくだって、全力で走ってたわけじゃなかった。
もしゴール近くで、ぼくが全力疾走しだしたら2人はどうしただろう。
呆れた顔でマイペース走を続けただろうか、
それとも全力でぼくに勝ちにきたのだろうか。
試してみればよかったなとずっと想ってる。