「そうだよ、ここは波動でできている。私は誰かと?まあ、誰でもなく、誰でもある。つまり、私
は君でもある、そういうところかな。だから、ここでは私が私だとということも、君が君というこ
とも、ほんとは成立ないんだ。ここには一人称は成立しないんだよ。」
’僕はあなたで、あなたは僕で、それに他のものでもある..?ってこと?’
「その通りだ。意外とわかりが早いじゃないか。まあ、それじゃあ、話はめんどうになるから、君
と私をひとつのつながりとして、始めるか。言うなれば、私は君の素なんだよ。」
’僕の素?’
君は此処からさいころのように振り出されたんだ。
’僕がさいころだって?!失礼じゃないか。
「まあまあ、聞きなさい。それだって、自分でそうしたくって、飛び出していったんだから。
ほら、君の持ち前の冒険心ってやつさ。今、ここにいることだって、その冒険心のせいだろう?
そういう意味では、魂は変わらないのさ。ここは折り返し地点だ。今まで君がいた世界は同族が
いっぱいいたし、みんながこうあるべきとか、教えてもくれたりしただろうが、しかし、今度は道
は用意されていないよ。それに道連れも無しだ。君は独りで発見することで道を作るんだ。」
’それってどういう事なの?’
「この見えない道は君が知ることでその瞬間に道となる。つまり、薄暗がりという未知の領域が、
知る事で照らされて道として見えてくるんだ。未知なる状態を無明と言うじゃないか。ここ全体が
ぼんやりとした暗がりなのは、自分自身にまだ知らししめていないからだ。」
’僕が踏み付けたところに光がついたけど?’
「そう、そう。そのせいで私は呼び出されたというわけだ。まあ、少々乱暴なノックだったがね。
別にあんなにがむしゃらに踏み付けたりする必要はないんだよ。軽くノックすれば私は応えるん
だ。しかし、確かにこの回路は随分長く使われていなかったから、あのぐらいの力は必要だったか
も知れないな。そのうちコツはつかめるさ。」
発見か!とりあえず何を発見すべきなのかピッコロはかいもく見当がつかなかった。
そうだ!ノックしたら応えるっていってったけ..。
ピッコロはさっき踏み付けてところから少し離れたところを足でポンポンと叩いてみた。と、そこ
からふっと光がまたたいた。
さあ、今の内に何を問えばいいのか、思いつかなくちゃ!焦って心の中でこう呟いていた。
’何かを知りたいんだけれど、いったい何から始めていいのか解らないよ。’
そうすると出し抜けに声が応えた。
「私は、君が知りたい事は全て知ってるよ。だって私は君でもあるんだから。だけれど君と私を結
ぶ通路が詰まっているから、君は自分の問いそのものも発見しなければならないな。」
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