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バベルの塔

2017-04-23 22:44:49 | 美術[は]
「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル バベルの塔」展@東京都美術館

 バベルの塔が来日するのは24年ぶり。ブリューゲルのバベルの塔はウィーンの美術史美術館所蔵とロッテルダムのボイマンス美術館所蔵の2点あり、今回来日したロッテルダムの方はウィーンの絵のおよそ4分の1サイズで小バベルと呼ばれている。小ぶりながらも密度は濃く、1400人もの人物がちょこちょこと描かれていて、大バベルの時よりも建設も進んでいるようで、この絵では塔の高さは推定510mとなるらしい。スカイツリーより低いのだが、これから建設がぐんぐん進んで尖塔のようになればブルジュ・ハリファより高くなるだろう。ただ問題はブリューゲルがもう死んじゃったことで、建設工事は中断したままだ。とはいえサグラダファミリアだってガウディが死んじゃった後も建設が続けられているのだから大丈夫だといえば大丈夫だが大丈夫じゃないといえば大丈夫じゃないのだがまぁどうでもいいことでもある。




 ブリューゲルよりも早く妙な絵を描いていたヒエロニムス・ボス先輩の作品は油彩25点と素描10点しか確認されてないようだが、今回はそれほどヤバくない作品2点だけが来ている。その代わりと言っては何だが、「ボスのように描く」というコーナーにはボスを模倣した作者不詳の作品が並んでいる。




 ボスの再来と言われたブリューゲルの版画には結構ヤバイ奴が大勢いる。もちろんこの辺りがいちばんマニア心をくすぐるハイライトで、作風も繊細なので見る人の足取りも途端にゆっくりになる。単眼鏡は必須である。みんなヤバワールドを食い入るように見入っていて、ヤバい奴を探している。でもヤバい奴がいない作品もあるので、ヤバい奴がいないと途端に寂しくなるから困ったものだ。現実に居たら気が狂ってブリューゲロを吐くに違いないヤバい奴を血まなこで探し回る観客もきっとヤバい奴に違いないのだ。


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