ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

『はたらく細胞』

2024-12-14 18:24:01 | 映画[は]
『はたらく細胞』
監督:竹内英樹
出演:永野芽郁/佐藤健/芦田愛菜/阿部サダヲ/山本耕史/仲里依紗/松本若菜/染谷将太/板垣李光人/加藤諒/加藤清史郎/マイカピュ/深田恭子/片岡愛之助/新納慎也/小沢真珠/Fukase

 このアニメは以前に何度か見たことがある ←連続して見てない所がアレだが。人体内の細胞ひとつひとつを人間で表した究極の擬人化作品の実写化。誰の細胞かと言えば、まじめな高校生(芦田愛菜)と、不摂生&不健康な父親(阿部サダヲ)の体内で働く細胞たち。高校生の細胞は若々しく、体内はまるでハウステンボスかどっかのテーマパークみたいなステキな場所。しかし、おっさんは細胞もおっさんだらけでくたびれている。うらぶれた横丁の昭和な飲み屋街みたいな体内。その血管には不法投棄が横行し血栓だらけ。

 そんな体内に侵入してくる悪い奴らと戦う白血球やキラーT細胞、NK細胞はかっこいいし、わっさわっさ集まってくる血小板はとてつもなくかわいい。細胞たちに酸素を届ける赤血球(永野芽郁)と、敵を倒す白血球(佐藤健)が主人公となる ←細胞だけど・・・。『翔んで埼玉』の監督なので、飛んでモ8分な世界観がそのまま映像になっていて、壮大な内臓ワールドを楽しめる。おまけに『翔んで埼玉』と違って、体の仕組みまで学べるので、見ただけでどんどん亜玉が欲鳴るという一咳二腸な映画である。



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『八犬伝』

2024-10-26 19:02:40 | 映画[は]

『八犬伝』
監督:曽利文彦
出演:役所広司/内野聖陽/寺島しのぶ/黒木華/磯村勇斗/立川談春/土屋太鳳/河合優実/栗山千明/渡邊圭祐/鈴木仁/板垣李光人/水上恒司/松岡広大/佳久創/藤岡真威人/上杉柊平/小木茂光

 里見八犬伝は昔、NHKで人形劇をやっていたので割と親しみがある。「われこそはたまずさがおんりょう!」という定番セリフや、嫌な奴の代名詞みたいな「ふなむし」や「あぼしさもじろう」も耳に心地よく・・・なかった。そして「仁義礼智忠信孝悌」の八つの玉がキーポイントとなる。ドラゴンボールは7つの玉を探して歩くけれど、八犬伝は8つの玉が勝手に集まってくる感じ。

 ただしこの映画は単なる八犬伝だけではなく、作者である曲亭馬琴の人生も交互に描いている。最初は、八犬伝物語がいい所で急に場面展開して、馬琴爺さんが出てくるので面食らうが、双方とも続きが見たくなるようなストーリーなのですぐに慣れる。28年もの歳月をかけて八犬伝を完結させた馬琴の壮絶な人生に感動し、わかりやすい勧善懲悪な古典名作を楽しめる、一粒で二度美味しい『バキン・ザ・バキン』な映画だった。

 馬琴と、おともだち葛飾北斎の半分漫才みたいな暮らしぶりが心地よい。馬琴の奥さん「お百」を演じる寺島しのぶの、玉梓が怨霊と見紛うばかりの迫力も見応えがある。そして「この美人女優は誰だろう?」と気になって見ていたら男だった件。大河ドラマ「どうするどうするどうする」で見たようなシーン。また板垣李光人にだまされた。


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『箱男』

2024-08-25 18:26:43 | 映画[は]
『箱男 The Box Man』
原作:安部公房
監督:石井岳龍
出演:永瀬正敏/浅野忠信/白本彩奈/佐藤浩市/渋川清彦/中村優子/川瀬陽太

 1973年の安部公房作品を映画化。今年は安部公房生誕100年なのだそうで、おめでとうございます。27年前に映画化の話が出た時に出演予定だった永瀬正敏と佐藤浩市が、時を超えて今回作に出演しているというのも感慨深い。

 段ボール箱に入って街に潜み、覗き屋みたいな行為をひたすら真剣にやり続ける男。しかし箱男に気づいた通行人は気づかなかったことにして通り過ぎる。

 箱に入ることで匿名性を獲得した箱男は、自分の正当性を信じながら世間を覗き続ける。現代に置き換えると、匿名の立場からネットを覗き続けマウントを取る人たちみんなが、バーチャル箱男・箱女みたいな存在なのかもしれない。

 変な趣味を持つむさ苦しいおっさんたちの中で、脱ぎっぷりのよい看護婦・白本彩奈が出てくると薄暗かったスクリーンに後光が差す。それを見ているこっちまで箱男になった気分。



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『フォールガイ』

2024-08-20 19:43:39 | 映画[は]
『フォールガイ  THE FALL GUY』
監督:デヴィッド・リーチ
出演:ライアン・ゴズリング/エミリー・ブラント/ウィンストン・デューク/アーロン・テイラー=ジョンソン/ハンナ・ワディンガム/ステファニー・スー

 6月に見たジャッキー・チェンの『ライド・オン』に続いてまたスタントマンの映画だ。スタントマンの物語となればきっとやるせない境遇に違いない。スタント撮影中に大けがをしてしまったついてないスタントマンのコルト(ライアン・ゴズリング)。これを潮時とスタント仕事から遠ざかっていたが、運よく元カノ(エミリー・ブラント)が監督する映画のスタントマンに復帰した。

 運が付いてきたと思ったのだが、運悪く事件に巻き込まれる。そこには怒涛のヤバイ状況が待ち構えていてすっちゃかめっちゃか。スタントマンとしてのアクションスキルを生かして苦境に立ち向かわざる負えなくなるコルトの姿が面白おかしく頼もしく、予想外にハラハラさせるシーン目白押しで、最後まで目が離せない。「FALL GUY」というタイトルは、高いところから落っこちる男と、罠に落ちる男の両方を意味しているのだろうね。


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『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』

2024-07-20 19:19:08 | 映画[は]
『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』
監督:グレッグ・バーランティ
出演:スカーレット・ヨハンソン/チャニング・テイタム/ウディ・ハレルソン

 宇宙開発でソビエト連邦に後れを取っているアメリカ合衆国、何が何でも勝たねばならぬ、目指すは人類初の月面着陸、アメリカ人に月面を歩かせるぞ! と意気込んで挑むアポロ計画。「アポロ11号は月に行ったって言うのに♪」なんて歌まである有名な月面着陸も1969年だから、今の若者にとってはずいぶんな昔話だ。

 その着陸シーンがフェイクだとかいう都市伝説もテレビやネットでよく見かける。映像に不自然な点が見られるとか、あーだこーだそーだ言って騒ぐのも楽しいからしかたない。この映画はまさにその、フェイク映像を題材にした作品だ。

 アポロ打ち上げを目指して邁進するNASAのスタッフたち。そこにマーケティング担当として雇われたケリー(スカーレット・ヨハンソン)。独特のやり方で手腕を発揮するケリーに謎の雇い主から指令が出される。月面着陸は絶対に失敗できないので、もしもの時に備えて偽映像を作れという命令。そこから映画は変な方向に流れ始めて楽しみ倍増。はたして月面歩行はフェイクだったのか否か。今こそ謎が明かされる!


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『ボブ・マーリー ONE LOVE』

2024-05-23 19:12:57 | 映画[は]
『ボブ・マーリー ONE LOVE』
監督:レイナルド・マーカス・グリーン
出演:キングズリー・ベン=アディル/ラシャーナ・リンチ

 レゲエを聞かない人も、ボブ・マーリーみたいな髪形をしている人を街で見かけると「レゲエ!」と呼ぶくらい、レゲエは日本人にも浸透している。私はレゲエのマニアではないのでレゲエミュージシャンはボブ・マーリーしかわからないが、ボブ・マーリーだけは昔からWalkmanに入っている。それをたまぁ~に聴くと、異国感のある軽快なリズムになんか気分上々、「つまづいたっていいじゃまいかにんげんだもの」ってなる。

 そんなレゲエの神様ボブ・マーリーの36年の生涯を描いた映画。当時、政治闘争の真っ只中だったジャマイカで、銃撃されてもなお平和を願い、その人生を音楽に捧げた短くも尊い生き様が胸に響く。ボブ・マーリーのライブ映像なども見たことが無かったので、映画とはいえ、あんなに飛び跳ね回わりながら歌っていたことも知らなかった。
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フェルメール The Greatest Exhibition-アート・オン・スクリーン特別編-

2024-02-04 20:28:24 | 映画[は]
『フェルメール The Greatest Exhibition-アート・オン・スクリーン特別編-』

 2023年2月~6月にアムステルダム国立美術館で開催され65万人を動員した、現存するフェルメール作品37点のうち28点を展示する過去最大の回顧展の展示風景や作品解説などのアート・ドキュメンタリーシリーズ映画。

 フェルメール28点集合ってのはスゴイけど物理的にも金銭的にも精神的にも行けない人にこんな映画はうってつけ。28点陳列されたフェルメールは感動的だっただろう。映画でも展示室の様子が映っていた。作品ひとつひとつについて、いろいろな立場のエキスパートが解説している。スクリーンいっぱいに拡大された作品を見ながら説明されるのでわかりやすい。国立西洋美術館の常設展示室で何度も見た《聖プラクセディス》が別の美術館に飾ってある映像を見ると、なんともいえない不思議な気分を味わえた。

 いままででフェルメールがいちばん多かったイベントは2012年、フェルメール・センター銀座での「フェルメール光の王国展」で、なんと全37作品を見ることができた! といってもデジタルマスタリングプリントだから、アレだけれど、アレ37点にグルリと取り囲まれた情景は壮観だった。


《シン・真珠の耳飾りの少女》


《シン・聖プラクセディス》




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横浜ランドマークプラザの春節飾り

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『春の画 SHUNGA』

2023-11-26 20:15:59 | 映画[は]
『春の画 SHUNGA』
監督:平田潤子
出演:横尾忠則/会田誠/木村了子

 江戸の裏浮世絵「春画」を扱ったドキュメンタリー映画。春画といえば2015年に永青文庫で開催された「春画展 SHUNGA 大英博物館特別出品」を思い出す。あれから8年も経ってしまった。普通なら幕で覆った会場片隅でひっそり展示するような春画が、大っぴらに会場いっぱいに展示されていた。別にエロくもないのに「時代は変わったなぁ」と何か特別な雰囲気を感じたものだ。

 この映画は春画の彫師のテクニックやら春画の歴史やら、春画に接した人たちや保存に尽力する人たち、アーティストのトークなどをちりばめたガチガチのドキュメンタリー。真似ゑもんとかタコさんとかの春画がうねうね動く動画になっていたり演出も凝っている。話題が変わるたびに出てくる美しい風景や草花の映像はいったい何なのだ、とか思いながら見た。でもやっぱり地上波放送は無理だな。
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『ブレット・トレイン』

2022-09-03 20:12:26 | 映画[は]
『ブレット・トレイン』
原作:伊坂幸太郎
監督:デビッド・リーチ
出演:ブラッド・ピット/ジョーイ・キング/アーロン・テイラー=ジョンソン/ブライアン・タイリー・ヘンリー/アンドリュー・小路/真田広之

 運の悪い殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)の今回の任務は新幹線からブリーフケースを盗んで次の駅でトンズラすること。すごく簡単なミッションのはずだったのに、運が悪いばかりにとんでもないことになってしまう・・・という話。

 舞台となるのは日本、それもほとんど新幹線の中。殺し屋レディバグの前に登場する鬼のような殺し屋たち。当然、列車の中で大暴れ。ストーリーはほぼ無限列車編・・・んなわけではないが、う~ん、いや、そう言っても過言ではないくらい気の毒な新幹線。

 所々はさまれる回想シーンも含めてハイスピードで繰り広げられる暴力アクション、コメディタッチな笑い所もたくさんありすぎて、ワクワク冷や冷や笑笑の2時間があっという間の面白い映画になっている。日本の描写もアレ?な所が垣間見られる面白さ。ユニオシさんとかヤカモトさんとか出てくるんじゃないかと心配しながら楽しめる。



「今日のどぅーでもいいこと」
富士山、そこじゃねぇ~~~!!




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『初恋』

2020-03-01 22:25:57 | 映画[は]
『初恋 FIRST LOVE』
監督:三池崇史
出演:窪田正孝/大森南朋/染谷翔太/小西桜子/ベッキー/内野聖陽

 任侠映画はあまり見ないんだけど、ベッキー狂気乱舞の前評判に誘われて見に行った。コロナのこの時期、人が集まる場所に行くのは気が引けるけれど、地方の映画館なので、広い館内に20人足らずの観客では、逆に安全だったりして。でももちろんマスクをして見た。ゴホンと咳をしたら凶悪犯罪者扱いされそうな今日この頃、「ゴホンといえば龍角散」ではなく「ゴホンといえばデマ拡散」の季節である。

 ヤクザだらけのあぶなっかしい映像の中にいて、ヤクザが一歩ひくくらいコワイ。バラエティのMCで誰にでも遠慮なく突っ込むMCベッキーもコワイから、あんまり変わらないとも言える。なぜそんなにコワイのかと言うと、下っ端ヤクザの恋人を誰かに殺されたからだ。暴れまわるベッキーの狂気が半端ねぇ。窪田正孝や染谷翔太の活躍も面白いけれど、ベッキーから目が離せない映画。
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『ボヘミアン・ラプソディ』

2018-12-10 21:44:04 | 映画[は]
『ボヘミアン・ラプソディ BOHEMIAN RHAPSODY』

監督:ブライアン・シンガー
出演:ラミ・マレック、ルーシー・ボイントン、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョー・マッゼロ

 クイーンのヴォーカリスト:フレディ・マーキュリーの生涯を描いた物語。ドキュメントではないので本人は出て来ないが、なんとなく似たような雰囲気を漂わせるフレディ役のラミ・マレックを中心に、クイーン結成からライブ・エイドまでの波乱万丈を描く。タイトル曲『ボヘミアン・ラプソディ』を作って売り出すまでのごたごたが面白い。天から授かった美声と有り余る才能を遺憾無く発揮するフレディ・マーキュリー、世界を股に掛けるグレート・ミュージシャンに成長するクイーン、かっちょええ!

 とは言いながら、私は過去にクイーンのCDやレコードを買った覚えがない。でもなぜか映画の中で聞こえて来る曲の半分くらいは知っている曲だった。そんなクイーンのファンと言うのも憚られるような私が見てもこの映画は面白く感動に満ちていると言ってしまっても差し支えないだろう。サントラCDを買ってしまった。これが私にとってはじめてのクイーンの音源だ。←今ごろ?
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『ハン・ソロ/STAR WARS STORY』

2018-06-30 21:34:24 | 映画[は]
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』

監督:ロン・ハワード
出演:オールデン・エアエンライク/エミリア・クラーク/ウディ・ハレルソン

 スターウォーズこぼれ話、今回は若き日のハン・ソロのものがたり。危ない橋ばかり渡っているハン・ソロの話なので、危ない目にばかり会っている。それは大人になっても同じだけど。ハン・ソロはフォース使いではないので、腕ずくで、悪知恵で、修羅場を乗り越えて行く。ヤバい仕事から足を洗えるのはルークやレイアに会ってからだろう。でもそういう映画なのでフォースとかジェダイとかいう好物にはあまり出会えず鉱物ばかりである。「ソロ」という名前の由来が衝撃だった (だった だった)

 もちろん若き日のランド・カルリジアンも登場する。そしてランドの所有物だったミレニアム・ファルコンも登場、というかホントの主役はミレニアム・ファルコンではないかとミレニアム・ファルコンのファンならそう思ってしまっても差し支えない話でもある。うちにも薄汚れたミレニアム・ファルコンが3機ある。ちっこいけど。

 但し今回のミレニアム・ファルコンはお馴染みの先割れスプーンみたいなスタイルとは少し違っていて、先端は綺麗な三角風味になっていて、ブルーを基調としたカラーリングもエレガント、汚れも少なく美しいデザインになっている。それがいいかと言われれば、薄汚れた先割れスプーンのほうが個性的で見慣れているので、コレジャナイ・ファルコン的な気分もあって、一概にそうとも言えないのだが、持ち主があれこれ改造していく一過程ということならしかたない。というわけで若き日のミレニアム・ファルコンに会いたい人におススメ映画。


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『ブレードランナー2049』

2017-10-29 15:49:13 | 映画[は]
『ブレードランナー2049』

製作総指揮:リドリー・スコット
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ライアン・ゴズリング/ハリソン・フォード/アナ・デ・アルマス

 1982年に公開された1作目では2019年の出来事が描かれていたが、今回はその30年後の2049年が舞台となっている。2019年なんてあと1年ちょいで到達してしまう。2049年だってそんなに先の事でもない。現実ではブレードランナーの出番はなくせいぜいマラソンランナーだ。空飛ぶクルマも実用化にはまだまだだ。この35年でVFXが進歩して大抵のことはデジタルで表現できちゃう時代になった。でも1作目もその独特なハマリ感が強烈なインパクトを放つ映画だった。もともとSFが好きだったので、フィリップ・K・ディックの原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』も読んだし、あのハン・ソロのハリソン・フォードが主演だ!ということで私的には半端なく期待感が高まっていた気がする。

 街のデザインもオリエンタル風味が胡散臭そうで雑然とした雰囲気が好きだった。今回も似たようなデザインの街並みが広がっているが、デジタル風味も加わってさらに妖艶な佇まいになっている。その中を飛び回るブレードランナーの乗るスピナーも、前作はシド・ミードのデザインが個性的だったが、今回のスピナーがかっこいいかというとそれほどでもない気が。今時のスポーツカーデザインにスピナー的な要素を付け替えただけの雰囲気は、前作よりも未来感が逆行してしまったような気がする。

 前回のエンディングを踏まえたトリッキーなストーリー展開は興味深い。デッカードの名前が出て来るとワクワク感がさらに高まる。前回は逃亡したレプリカントを追うのがメインテーマだったので、人間なのかレプリカントなのかという探り合いみたいなのがよくあったけれど、今回はそういうシーンは強調されず、判定技術が進んだからなのか、既成事実として市民に浸透しているからなのか、はじめからバレバレになっていて、世間からは「人間もどき」などと後ろ指さされていたりして気の毒だ。

 それにしてもハリソン・フォード、この映画もそうだけれど、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』など、昭和の名作の続編に親として再登場するのが平成名物となっている。名作だからこそまた作ろうという話が出るわけだが、本人が人気を保っていなければまた出てねとはならないだろう。そういう意味でもすごいなぁ。
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『本能寺ホテル』

2017-01-15 19:38:18 | 映画[は]
『本能寺ホテル』

 監督:鈴木雅之
 出演:綾瀬はるか/堤真一/濱田岳/風間杜夫

 タイムスリップで戦国時代に行ってしまうのは普通によくあることだ。そしてそこで織田信長に出会うなんてことは当然と言ってもいいくらいあたりまえのことだ。それが勤務先が倒産してしまって自分がやりたいことが見つからないOLだとしても不思議ではない。映画によってはスゴイ最新兵器を携えてタイムスリップしてしまい、戦乱の世をてんてこ舞いさせるなんていうのも観客が期待してしまうお約束事だったりする。それくらい使い古されたネタではあるけれど、タイムトラベルモノはやっぱり面白い。

 今回の「本能寺ホテル」でタイムスリップする綾瀬はるかは武器と言うようなものは何も持たずに謀反間近の本能寺に現れる。武器と言えるものを強いてあげるとすれば「色気」だけである。おっと、もうひとつあった。信長の知らぬ未来、400年の歴史を知っていることこそが最大の武器と言っても過言ではない。場合によっては世の中を動かすことさえできるのだから。

 そうやって歴史を変えてしまう物語もバリエーションとして存在する。それはそれで面白い。でもそんな時に出て来る決まり文句が「そっそんなことをしたら歴史が変わってしまうぞ」、「我々は歴史を変えるようなことをするべきではないのだ」。この名言が映画の中での葛藤になったり、抑止力になったりして見せ場を作っている。でも我々は公式には誰もタイムスリップしたことがないので、過去をいじったら未来が変わるかどうかホントのところは知らない。歴史を変えてはいけないというのも、物語上での倫理観みたいなもので、実際に変えてはいけないという法律はない。転びそうになった人を支えて助けたことで歴史が変わるかもしれないし、道を聞かれて答えたことで歴史が変わるかもしれない。だからもしタイムスリップが日常茶飯事になったら違反者続出で、世界は秒単位で方向転換をし続けることになるかもしれない。
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『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

2016-12-29 23:40:05 | 映画[は]
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

 監督:三木孝浩
 出演:福士蒼汰/小松菜奈

 原作は未見、予告編で「この映画にはなんかありそうだな?」と思って見に行った。やっぱりあったわ。20歳の男女のラブストーリーなんだけど、どんなに努力しても突破できない大きな壁が立ちはだかる物語の切なさに気づけば涙するしかない。叡山電車と京都の街並みがしっくりとハマる。

 電車の中で偶然見かけた美女に一目惚れ、平素はナンパなんてするガラじゃない男が、追いかけてまで声をかける。そこから始まる物語というかそこで終わる物語というか。そもそも一目惚れするくらいの相手でなければこの話は始まらなかっただろうし、追いかけて声をかけなければお流れになってしまっただろうし。

 なんてことを言い出したら映画にならないけれど、美女の小松菜奈とイケメンの福士蒼汰のラブラブシネマを見ながら羨ましがっていたら、突然、小松菜奈がとんでもないことを言い出した。えっ?あ、そういう話なの? 時間軸に左右される話なのか。ずいぶん大胆な設定なので納得するまではややこしいけれど、これでもタイムパラドックスSFと言っていいのか? パラレルワールドSFと言った方がいいのか? 『君の名は。』とは全然違うのだけれど、なんとなくネタの拠り所が似通っているので好きな分野の映画だ。

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