「ミュシャ展 スラヴ叙事詩」@国立新美術館
スラブ叙事詩を見たいからと、チェコに行った知り合いもいるけど、チェコはかなりちょっとだいぶすごくえらく遠いなぁむりだろなぁと思っていた。でも今、チェコに行かなくてもスラブ叙事詩20枚揃って見られるまさかの機会が巡って来た。国立新美術館開館10周年。
1枚1枚が巨大で6m×8mなんてのもある。大きさはまちまちなので展示スペースを有効に使うために1から20まで順番に並んでない。展示室をまたいで行ったり来たり宝探し気分。「7番はどこかな?」「あっちの小さいやつだ」なんて会話が聞こえてくる。配置図を見るとなるほど、7番はあっちほうにある小さいやつだ。縦長で6m×4mのやつが小ぢんまりと・・・どこが小ぢんまりだ?!!でっけぇじゃねぇか!
公式サイトに展示風景の動画があるが、絵の展示作業というよりもまるで建築作業のようだ。ともかくそんな巨大な絵が次々続々と立ち並ぶ展示室は壮観。どっかの現代美術展でしか目にできないようなジャイアントゴージャス! テーマはスラブ民族の苦難と栄光の歴史なのだが、その辺に詳しくないので即座にピンとは来ないものもあるが、沢山の人々やら神やらが描かれた、やや淡めな色合いの巨大な画面からは、歴史の重みが伝わって来る。
ミュシャは平和主義者だったので、戦いの場面でも、血だらけ首チョンパな描写はせず、流血を見せずに倒れている人々や悲しみに暮れる人々を描くことでその場面の悲惨さを表現している。
スラブ叙事詩の展示は3室あるが、そのうちの最後の部屋だけ写真撮影OKとなっている。結構な人出で混混雑雑なのだが、絵がデカいだけに、後ろの方からでもよく見える。逆に前すぎると首が折れるまで曲げないと上の方が見えないので脊柱管狭窄になりそうだ。
チャラチャラした美女のポスターを描いていたミュシャが人生後半の16年を費やして、ライフワークとして描きあげたスラブ叙事詩、20枚まとめてチェコ国外で展示されるのは初めてらしいので、もう行くしかない、もう見るしかない。
スラブ叙事詩を見終わった後は、 チャラチャラした美女のポスターや装飾品、切手などの展示が続く。こちらは割と見慣れた作品が並ぶミュシャミュシャしたコーナーで、私の好きなヒヤシンス姫やゾディアックも当然のように並んでいる。それらを見ながら、なぜかひと仕事終わってくつろいだ気分になってしまっている自分がいる。
ミュシャはフランス語発音で、チェコ語ではムハと発音するらしい。それで今回はキャプションに "ムハ(ミュシャ)" なんていう表記がされている。でも長い間ミュシャで慣れ親しんでしまっているので、今さら "ムハッ!" と言われても、ウルトラマンじゃないんだから、おいそれとムハな気分になれるものでもない。
ショップのレジ待ち行列は15分程だった。まあこの程度なら仕方なかろうと思って並んで図録を買った。開幕後最初の土曜日で結構な人出だったので早く行った方がいいかも。2週間早く始まり同時開催中の草間彌生展の前を通りかかると、レジ待ち60分のプラカードが目に入った。 やよいちゃん恐るべし!