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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【2022年回顧1】ウクライナ戦争の教訓は軍備では戦争を防げず戦争が始まったら停戦は至難という事実。日本の最高の安全保障戦略は先制攻撃能力による抑止ではなく、憲法9条による平和外交での緊張緩和だ。

2022年12月29日 | ロシアによるウクライナ侵略

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 ロシアのラブロフ外相は、国営タス通信で2022年12月27日に公開されたインタビューの中で、

「アメリカとNATO=北大西洋条約機構の戦略的な目標は、ロシアを著しく弱体化させ、戦場でロシアを打ち負かすことだ」

「ウクライナ政府の非軍事化と非ナチ化や、ウクライナの4つの州とロシアの安全保障への脅威を排除するという、われわれの提案を敵国はよく分かっている。」

と述べました。

 また、同外相は、本年2月24日の侵略開始以降にロシアが併合した地域の主権を明け渡さねばならないと述べ、ウクライナに対して

「ロシアの目標を成就させた方が身のためだ。さもなければ、この問題はロシア軍によって決定されることになる」

と脅迫していますので、事実上、ウクライナが全面降伏するまでロシアは戦争を続行すると宣言したものと、国際社会では解釈されています。

 

 

 プーチン大統領は同じタス通信で12月25日に

「受け入れられる終わり方について、このプロセスに関係してきた全勢力と合意する用意があるが、我々ではなく、彼らが対話を拒んでいる」

と述べ、ロシアは和平を望んでいるがウクライナとNATOが拒否しているのだと主張していました。

 ところが、29日には、ラブロフ外相は

『ウクライナのゼレンスキー大統領による「和平の条件」を交渉の土台にはしない』

とも明言しています。

 元々プーチン大統領の発言はウクライナと西側諸国からは信用されず、相手にもされていなかったのですが、わずか2日後にはラブロフ外相がウクライナに降伏勧告をし、4日後にはウクライナ側の提案も全否定しているわけですから、プーチン大統領とロシアという国は全くどうしようもありません。

ロシアのラブロフ外相(写真)は、ウクライナのゼレンスキー大統領による「和平の条件」を交渉の土台にはしないと述べた。モスクワで12月23日代表撮影(2022年 ロイター)

 

 

 ロシアによるウクライナ侵略はもちろん国連憲章違反の国際法違反。

 その他、市民に対する無差別攻撃、殺戮、捕虜虐待と強制連行、原発攻撃、核による威嚇などなど、ロシアの国際法違反行為や戦争犯罪は枚挙にいとまがありません。

 このようなロシアの蛮行を悪用して、岸田政権は大軍拡と先制攻撃能力具備という戦後日本の方向性を大転換しようと策動しています。

 しかし、ウクライナが2014年のロシアによるクリミア半島を併合から軍拡を進めたことは、ロシアによる侵略に対する抑止力には全くなりませんでした。

 かえって、ウクライナが強引にNATOに加盟しようとしたことが、ロシアを刺激して侵略を強行させるきっかけとなったのであり、日本がここから学ぶべき教訓は、戦争が起きたら容易に終わらない、そして戦争を起こさせないために有効なのは軍拡による抑止力ではなく、理性的な平和外交だという厳然たる事実です。

 

 これに対して、日本の憲法9条に自衛隊を書き込めなどとおためごかしに言っているエセ立憲主義者の伊勢崎賢治氏などは

「日本で、事もあろうに護憲派が、ロシアは絶対悪だって盛り上がってしまったら、アメリカの言いなりに防衛費が増大するのは、当然でしょうが」

などと主張して、ロシアに対する非難が日本の軍拡に必然的に結びつくかのように主張していますが、全く非論理的です。

 なぜなら、ロシアの侵略など国際法違反行為を厳しく非難することと、日本が軍拡によらず憲法に沿った平和主義を貫くことは矛盾せず、容易に両立するからです。

 全く、新9条論者ほど悪質な分断主義者はいません。

【#憲法変えるな政権代えよう】 憲法9条に自衛隊を書き込むことの危険性。真正面から合憲な存在になった自衛隊の軍拡、海外派兵、集団的自衛権の行使はもはや歯止めが利かなくなくなる。

 

 

 それにしても、ロシアによる侵略が日本の市民を恐れさせ、そのナショナリズムに火をつけ、日本の平和主義が危うくなっている2022年を振り返ると、ますます、

「プーチンは何をしでかしてくれとんねん!」

と思わずにはいられません。

 とにかく、ウクライナにも数々の問題はあるでしょう。

 しかし、違法性の判断は100か0ではなく、その程度には濃淡の差があることを考えると、ウクライナも真っ白ではなくグレーだとしても、真っ黒なロシアと灰色のウクライナの行動の問題性・違法性には100対1くらいの歴然とした差があります。

 ロシアとウクライナはどっちもどっちという大雑把な議論に乗せられることなく、ロシアの国際法違反行為を決して許すことなく、しかも日本は憲法9条という世界唯一の財産を生かした独自の生き方をこれからも模索していくべきです。

 
 
 

当ブログのロシアによるウクライナ侵略カテゴリーより

ロシア軍によるウクライナ侵略から半年。市民の死者は5500人以上、子どもたちの死傷者1000人、兵士の死者両軍合わせて3万人?戦争は始まったら容易に止められない。軍隊があっても戦争は止められない。

プーチン大統領によるウクライナ4州の併合条約調印に対して、ゼレンスキー大統領がNATO加盟手続きを加速する申請書に署名。この非は一方的にロシアにあり、プーチン大統領がまず4州併合を撤回するべきだ。

劣勢に回ったロシアがまた蛮行。ロシア軍が実効支配する親ロシア派武装集団が今月、ウクライナ東・南部4州ロシア併合への住民投票。まさにクリミア併合と同じ国際法違反の侵略手法だ。

ロシアによるウクライナ侵略から5カ月。飢えるアフリカに向けウクライナの穀物を輸送するため、ロシアとウクライナが3カ月かけて港湾への攻撃をしないことを合意した翌朝、ロシアがオデーサ港をミサイル攻撃。

ロシア軍によるウクライナ侵略から4か月。ウクライナ市民の死傷者は4万人、兵士の死者は1万人。ロシア軍にも死者多数でも停戦への道筋は全く見えない。戦争が始まらないための外交努力が何よりも大切だ。

「NATOの東方拡大」はプーチン大統領によるウクライナ侵略の「動機」ではあり得ても、ウクライナ戦争の「原因」とは言えない。ウクライナ戦争の原因はロシア軍によるウクライナ侵略以外にあり得ない。

ウクライナ戦争「どっちもどっち」論には道理がないとする日本共産党の立場は至当。侵略しているロシアの行為の違法性こそ著しく重大。そこから議論を始めない橋下氏らがロシア擁護派とされるのは当然だ。

チョムスキー曰く「ロシアによるウクライナ侵攻は重大な戦争犯罪だ」「攻撃に至った経緯を突き止めようとすることにいかなる言い訳も入り込む余地はない」。侵略国ロシアとウクライナを相対化することは許されない。

国際司法裁判所がロシアに対し、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じる仮保全措置命令(法的拘束力あり)。「ロシアによる武力行使は国際法に照らして重大な問題を提起しており、深い懸念を抱く」

 
 
 

プーチンロシアによる侵略でウクライナも蹂躙されましたが、伊勢崎氏のようなエセ平和主義者はさておき、真面目な日本の護憲派も分断されましたねえ。

私から言わせれば親ロシア的なことをいまだに言う人は、従来の反米主義的な平和運動に染まりすぎて惰性で議論しているのであって、日本の平和憲法が目指す平和主義のみならず国際協調主義も全く誤解していると思えます。

また、うちのブログにたびたび登場してくださる白井教授は、即時停戦とウクライナへの軍事援助停止を主張されるのですが、即時停戦が可能ならそれに反対する人など地球上にいません。

しかし、いま当事者双方に停戦の機運など全くない中、即時停戦など完全に不可能です。

そうした客観的情勢では、ウクライナへの軍事援助だけを西側諸国が止めれば、ロシア軍が一気にウクライナ全土を制圧して圧政を敷くだけですから、それこそロシアの侵略が既成事実化し、「侵略し得」な結果になるのは火を見るより明らかです。

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  • ウクライナは降伏した方が身のためだ-ラブロフ外相
  • ラブロフ氏:戦争開始はウクライナの「非ナチ化と非軍事化」が目的
ロシアのラブロフ外相
ロシアのラブロフ外相 Source: AFP
 

ロシアのラブロフ外相は、ウクライナは降伏する必要があると発言。さもなくば戦争は継続すると述べた。G-20 Statement in Doubt as US, Russia Fail to Agree at Asean

ロシアのラブロフ外相
Source: AFP

  ラブロフ氏は国営タス通信のインタビューで、ウクライナはプーチン大統領による2月24日の侵攻開始以降にロシアが併合した地域の主権を明け渡さねばならないと指摘。ロシアが戦争を開始したのは、ウクライナの「非ナチ化と非軍事化」が目的だとする根拠のない主張を繰り返した。インタビューの内容は27日に掲載された。

  ラブロフ氏はクレムリンの目標を「敵はよく分かっている」とし、「ロシアの目標を成就させた方が身のためだ。さもなければ、この問題はロシア軍によって決定されることになる」と語った。

原題:Russia Says Ukraine Must Surrender Even as Putin’s Army Retreats(抜粋)

 

 

[29日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は、ウクライナのゼレンスキー大統領による「和平の条件」を交渉の土台にはしないと述べた。また、ウクライナは真の和平協議に臨む準備がまだできていないとの見方を示した。ロシア通信(RIA)が29日報じた。

ラブロフ氏は、西側の支援でウクライナ東部とクリミアからロシアを撤退させるというウクライナの考えは「幻想」だとも述べた。

 

 

[27日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は、ロシアが提案している和平案をウクライナが自らの利益のために受け入れなければ、ロシア軍が問題を解決すると述べた。タス通信が26日夜伝えた。

ウクライナ政府が支配する地域の非武装化と非ナチ化、新たに領土となった地域も含むロシアの安全保障に対する脅威の排除を提案しており「敵(ウクライナ)はよく理解している」と発言した。

その上で「問題は単純だ。(ウクライナは)自らの利益のためにこれを受け入れよ。さもなければこの問題はロシア軍が解決することになる」と述べた。

紛争がいつまで続くかについて「ボールは(ウクライナ)政府側のコートにあり、その背後に米国がいる」と語った。

 

 

ロシア外相 “ウクライナが降伏するまで侵攻続ける”

ウクライナへの軍事侵攻について、ロシアのラブロフ外相は国営メディアに対し「ウクライナが提案を受け入れない場合、ロシア軍が問題を解決する」と一方的に主張し、ゼレンスキー政権が事実上、降伏するまでウクライナの領土の掌握をねらい、軍事侵攻を続ける強硬な姿勢を示しました。

ロシアのラブロフ外相は、27日に公開された国営のタス通信のインタビューの中で、ウクライナへの軍事侵攻について「アメリカとNATO=北大西洋条約機構の戦略的な目標は、ロシアを著しく弱体化させ、戦場でロシアを打ち負かすことだ」と述べ、対立するアメリカなどに問題があるとする主張を展開しました。

そして「ウクライナ政府の非軍事化と非ナチ化や、ウクライナの4つの州とロシアの安全保障への脅威を排除するという、われわれの提案を敵国はよく分かっている。ウクライナがこれらの提案を受け入れない場合、ロシア軍が問題を解決する」と述べました。

ラブロフ外相の発言について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は27日「ウクライナ政府がロシアの要求に屈するまで、クレムリンは戦争による軍事行動で問題を解決するとしている。ロシアに抵抗するウクライナの能力を排除し、ゼレンスキー政権の転覆を要求している」と指摘しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、これまで和平に向けて、ロシア軍のウクライナからの撤退や、ウクライナの領土保全の回復など10のポイントを提言していますが、ラブロフ外相の主張は侵攻を続けるプーチン政権の強硬姿勢を改めて示したものです。

一方、ロシアと欧米などとの対立が深まる中、ロシア国防省は、今月21日から27日にかけて東シナ海でロシアと中国の合同軍事演習が行われたと発表しました。

演習では、敵と想定した潜水艦に対する訓練などが行われたとしたうえで「合計10回以上の訓練が共同で行われた」として、両軍の部隊の連携を強調しています。

ロシアと中国は、先月にも日本海や東シナ海などの上空で合同パトロールを行い、軍事分野での連携を深めていて、対立するアメリカなどへのけん制を繰り返しています。

ウクライナ市民 “奪われた日常 来年こそ取り戻したい”

 
年の瀬を迎えたウクライナの首都キーウでは、軍事侵攻によって奪われた日常を、来年こそは取り戻したいという市民の切実な声が聞かれました。

防空警報が出た際、避難場所としても使われる地下鉄の駅を利用していた42歳の男性は、東部ドネツク州から避難してきたということで「暖房や電気、それに水も足りない状態で苦しんでいる。私たちは必ず勝って、この状況を終わらせなければならない」と話していました。

また、キーウの大学に通う女子大学生は「戦争が始まってから、私の精神状態も悪化しました。戦争が終われば仕事が探しやすくなるので、早く終わってほしい」と話していました。

ことし10月、ミサイルが着弾したこともある中心部の公園では28日、散歩する市民や遊具で遊ぶ子どもたちの姿が見られました。

出勤途中の48歳の男性は「ことし1年は困難で悲劇的で、実にひどい1年でした。しかし、われわれの政府と国民、それに軍を信じ、来年は必ず状況がよくなると考えています」と話していました。
 
 
 

プーチン氏「彼らが対話拒んでいる」 ウクライナと支援国に責任転嫁

プーチン露大統領

 ロシアのプーチン大統領は25日放映された国営テレビの番組でウクライナ侵攻に関連し「受け入れられる終わり方について、このプロセスに関係してきた全勢力と合意する用意があるが、我々ではなく、彼らが対話を拒んでいる」と語った。侵攻の長期化についてウクライナや支援する国々に責任を押しつけた格好だ。

 ウクライナ侵攻でロシアの苦戦が続いているが、プーチン氏は「我々が正しい方向に向かって行動し、国益と、国民と人々の利益を守っていると信じている」と強調。ウクライナ東部で2014年から続く紛争に言及したうえで「我々には他に選択肢がなかった」と弁明した。

 一方、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は25日、この発言への反論をツイッターに投稿した。ロシアが和平交渉に言及しながらも、24日に南部ヘルソンの市街地を砲撃し、10人以上の死者を出したことなどを指摘。「ロシアは罰を受けずに(ウクライナの人々を)殺そうとしている。これを許していいのか」と疑問を投げかけた。

 ロシアは侵攻開始直後からウクライナとの和平協議を始めたが、その後にロシアの占領地域で民間人らを虐殺した疑惑が発覚したことなどから、協議が中断されている。ウクライナも11月に入り、戦闘終結に向けた10項目の提案を発表したが、ウクライナ領からのロシア軍の撤収などを盛り込んでいることから、ロシアが受け入れていない。【大前仁】

 

 

 

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1 コメント

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Unknown (ewkefc)
2022-12-30 04:27:20
>かえって、ウクライナが強引にNATOに加盟しようとしたことが、ロシアを刺激して侵略を強行させるきっかけとなったのであり、


ユーロマイダン革命の目的はEUUではなく、EUの一員として経済成長を目指すこと
だよ。


>日本がここから学ぶべき教訓は、戦争が起きたら容易に終わらない、そして戦争を起こさせないために有効なのは軍拡による抑止力ではなく、理性的な平和外交だという厳然たる事実です。


暴力を正義とすれば、相手の暴力も正義ということになってしまう。
正義の暴力と正義の暴力が衝突すれば、当然人々の命が犠牲になる。
だから、憲法第9条は正義という名の暴力を行使させないために、馬鹿政府から暴力装置を奪ったんだよ。

_________________________________________________________________________

第90回帝国議会 衆議院 本会議 第8号 昭和21年6月28日

○國務大臣(吉田茂君) ・・・ 又戰爭抛棄に關する憲法草案の條項に於きまして、國家正當防衞權に依る戰爭は正當なりとせらるるやうであるが、私は斯くの如きことを認むることが有害であると思ふのであります(拍手)近年の戰爭は多くは國家防衞權の名に於て行はれたることは顯著なる事實であります、故に正當防衞權を認むることが偶偶戰爭を誘發する所以であると思ふのであります、又交戰權抛棄に關する草案の條項の期する所は、國際平和團體の樹立にあるのであります、國際平和團體の樹立に依つて、凡ゆる侵略を目的とする戰爭を防止しようとするのであります、併しながら正當防衞に依る戰爭が若しありとするならば、其の前提に於て侵略を目的とする戰爭を目的とした國があることを前提としなければならぬのであります、故に正當防衞、國家の防衞權に依る戰爭を認むると云ふことは、偶々戰爭を誘發する有害な考へであるのみならず、若し平和團體が、國際團體が樹立された場合に於きましては、正當防衞權を認むると云ふことそれ自身が有害であると思ふのであります、御意見の如きは有害無益の議論と私は考へます(拍手)
_________________________________________________________________________
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