2009年12月号 カクマに再配置されたソマリア人の新たな生活

最近ダダーブキャンプから到着したソマリア人難民は、カクマキャンプでの新しい生活プランを立てる一方、新たな課題をかかえ、また新たな機会に巡り会っている。

ソマリア人の第２回再配置は2009年8月に始まり、ダダーブ難民キャンプからケニアのカクマ難民キャンプまで何千人もの難民を再配置する大作業が続いている。イフォキャンプからの最初の輸送隊は8月15日にカクマに到着した。男性158人と女性153人、合計３１１人のソマリア難民だ。

再配置まで、これらのソマリア人難民は、デハレ、イフォ、ハガーダーの3つのダダーブ・サブキャンプに住んでいた。政情不安と経済危機により故郷から逃げてきた人々である。

再配置が行われる間、バスは国際移住機関（IOM）によって提供された。KANEREは匿名情報から、再配置は2010年1月に再開されるかもしれないことも確認している。

再配置前に住んでいたダダーブキャンプでは、テロ行為が起きるのではないかと怖かったと言う人たちが大勢いた。ダダーブのサブキャンプはソマリア国境からおよそ90kmと近いため、テロ攻撃を受けやすいのだという。他にもダダーブキャンプの過密状態や病気の発生という深刻な問題があり、再配置の必要に迫られた。

〈ダダーブとカクマの状況比較〉

ソマリアからの新着の人たち数人が、ダダーブとカクマの両キャンプを比較して、安全、保護、住み心地について話をしてくれた。

F.M.はカクマ４のソマリア人コミュニティーで行われたKANEREとのインタビューで、「私はある夜、強盗に襲われ夫を失いかけたので、再配置されるのがとても嬉しかったです」と話した。

他の新着難民たちも、ダダーブでの体験をしきりに語りたがった。略奪され、集団虐殺を恐れ、喧嘩や強盗の被害に遭ったという。

カクマ４に新着の人たちを訪ねたとき、KANEREの記者は避難所の状況がここ数ヵ月で悪化したことに気づいた。生活環境がお粗末で、これではソマリア人は強風、焼けつく太陽、鉄砲水の危険にもろに晒されるのではないだろうか。

「シェルターの資材も出来合いの家も与えられないまま、私はもう2ヵ月もカクマに住んでいる」と、ソマリア人男性、H.Kは言った。

「シェルターについて言えば、ダダーブの方が良かった。ここでは資材を見つけることすらできません。資材が手に入ったらテントが建てられるように、配給の食糧を棒や竿と交換しているんです」と、3人の子供を持つ母親、N.Rは言った。

ソマリア人が挙げる大きな問題のひとつは、学校の教室が満杯で、子供たちを学校に通わせられないことだという。教室の不足により、LWF 教育担当部門は、スーダン人の本国帰還のために閉鎖されていたカクマ４の2つの小学校を再開させざるを得なくなった。

〈カクマキャンプの人口増加で、支援と商売が伸びる〉

再配置により、カクマキャンプの難民人口はおよそ53,000人にふくらんだ。再配置が進行する中で、人道支援団体は新着の人たちに、これまで以上の支援と保護を提供している。

これらの努力にもかかわらず、ソマリア人の新たな流入が続いているため、カクマ１、ゾーン５は超過密状態になっている。商売や地元の銀行業務、社会福祉、その他の必需品の利用や入手には限度があるためだ。この過密状態は、キャンプに住んでいる難民の間に、混乱やコレラの感染拡大、援助物資をめぐる争いなどを招いている。

再配置に関する最新データでは、13,124人のソマリア人がカクマキャンプに受け入れられたことを、KANEREは確認した。UNHCR 受け入れセンターや難民業務オフィスを通過したグループだ。

「規定に従い、我々はすべての新着ソマリア人を受け入れ、審査した、しかし、グループはただちにセンターを出て、カクマ４の既成のシェルターに向かったほうがよい」。受け入れセンターでKANEREのインタビューを受けたUNHCR職員の言葉だ。

現在の再配置は、男性252人と女性224人の合計476人 を最後に、2009年10月9日で終了した。2009年に流入したソマリア人難民の総数は、13,124人にのぼった。

KANEREは難民業務部門にインタビューを求め、話し合いのアポイントを取ったが、その職員はオフィスに不在だった。