「アルビノを生きる」人たち
2013.6.30 13:00 (1/2ページ)[石野伸子の世界<http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/topics/west_life-16389-t1.htm>]
アルビノという言葉をご存じだろうか。1万人から2万人に1人の割合で現れる遺伝性の疾患。
メラニン色素が足りないために肌が白く、髪や体毛は白や金色、白皮症とも呼ばれるといえば、ああそういえば見かけたことある、という人も多いだろうか。
たいていの人にとってそれ以上関心をもつことがない、なんとなく踏み込みがたいアルビノの人たちに心を寄せ、その生き方をたんねんに見つめた本が出版された。
『アルビノを生きる』(河出書房新社)
関西在住のフリージャーナリスト、川名紀美さん(66)が4年がかりで書いた労作だ。
川名さんは朝日新聞の論説委員として長く医療や福祉について取材してきた。退職目前の5年前、ある医療関係の集会で1人のアルビノの青年と出会った。当事者の会を立ち上げたばかりの石井更(のぶ)幸(ゆき)さん(当時34歳)で、周りの人と違う外見に生まれたばかりに考えることの多かった自分の人生を、淡々と語る姿に打たれた。
【浪花ぐらし】
「アルビノを生きる」人たち
2013.6.30 13:00 (2/2ページ)[ アルビノってなんだろう、と図書館やネットで調べ始めてがくぜんとした。なんと情報が少ないことか。当事者の会に足を運び、長く自分の病名すら知らなかったという人や、いわれない差別に苦しめられたという人、アルビノの赤ちゃんが生まれて大混乱した、と話す人々の現実が胸に迫った。この人たちのことを伝えたい。
退職後、ツテを頼り、多くの人たちに話を聞いた。本に登場する人だけでも38人。
周囲の反対を押し切って結婚したものの相手のひどい言葉や暴力にさらされ離婚、タフに生きるシングルマザー、子供を作らない人生を選択した男性、パラリンピック選手として世界で競うスイマー、厳しい合併症を抱えながら海外の患者会と交流する人。
すべて実名で語られる人生の奥行きが深い。
「ツライ体験話も多いのに話を聞いた後、不思議に気持ちが豊かになった」と筆者の川名さんはいう。人と違うことでいや応なく築かれてしまう壁。それを乗り越えようとする勇気、自分の人生を深く考える力。それらにパワーをもらえるからだろうか。
分厚い本の読後感もそれに近い。
(編集委員・石野伸子)
* MSN産経ニュースwestへ<http://sankei.jp.msn.com/west/west.htm?=westkiji>
* MSN産経ニュースへ<http://sankei.jp.msn.com/?=westkiji>
2013.6.30 13:00 (1/2ページ)[石野伸子の世界<http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/topics/west_life-16389-t1.htm>]
アルビノという言葉をご存じだろうか。1万人から2万人に1人の割合で現れる遺伝性の疾患。
メラニン色素が足りないために肌が白く、髪や体毛は白や金色、白皮症とも呼ばれるといえば、ああそういえば見かけたことある、という人も多いだろうか。
たいていの人にとってそれ以上関心をもつことがない、なんとなく踏み込みがたいアルビノの人たちに心を寄せ、その生き方をたんねんに見つめた本が出版された。
『アルビノを生きる』(河出書房新社)
関西在住のフリージャーナリスト、川名紀美さん(66)が4年がかりで書いた労作だ。
川名さんは朝日新聞の論説委員として長く医療や福祉について取材してきた。退職目前の5年前、ある医療関係の集会で1人のアルビノの青年と出会った。当事者の会を立ち上げたばかりの石井更(のぶ)幸(ゆき)さん(当時34歳)で、周りの人と違う外見に生まれたばかりに考えることの多かった自分の人生を、淡々と語る姿に打たれた。
【浪花ぐらし】
「アルビノを生きる」人たち
2013.6.30 13:00 (2/2ページ)[ アルビノってなんだろう、と図書館やネットで調べ始めてがくぜんとした。なんと情報が少ないことか。当事者の会に足を運び、長く自分の病名すら知らなかったという人や、いわれない差別に苦しめられたという人、アルビノの赤ちゃんが生まれて大混乱した、と話す人々の現実が胸に迫った。この人たちのことを伝えたい。
退職後、ツテを頼り、多くの人たちに話を聞いた。本に登場する人だけでも38人。
周囲の反対を押し切って結婚したものの相手のひどい言葉や暴力にさらされ離婚、タフに生きるシングルマザー、子供を作らない人生を選択した男性、パラリンピック選手として世界で競うスイマー、厳しい合併症を抱えながら海外の患者会と交流する人。
すべて実名で語られる人生の奥行きが深い。
「ツライ体験話も多いのに話を聞いた後、不思議に気持ちが豊かになった」と筆者の川名さんはいう。人と違うことでいや応なく築かれてしまう壁。それを乗り越えようとする勇気、自分の人生を深く考える力。それらにパワーをもらえるからだろうか。
分厚い本の読後感もそれに近い。
(編集委員・石野伸子)
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