プロジェクトのスケジュール短縮のテクニックに「クラッシング」と「ファスト・トラッキング」があります。
- クラッシング:クリティカルパス上のアクティビティに人員を追加して作業所要時間を短縮すること
- ファストトラッキング:クリティカルパス上に並ぶアクティビティを、直列から並列に並べて同時に走らせること
クラッシングもファストトラッキングも伝統的なフェーズゲートプロジェクトではよく使われるテクニックです。
スコープありき、成果物ありきのWFプロジェクトでは、遅れは時間または予算で調整します。リソース追加はたいてい予算追加になりますが、固定のスコープを守るひとつの方法です。
ファストトラッキングは活動を順番に仕上げてステップを逆流しないというWFのコンセプトに反するのですが、どうしようもない場合にはアクティビティをオーバーラップし、並列で走らせることでスケジュール短縮を図ります。
いずれの手法もアジャイルプロジェクトでは使いません。伝統的なWFならでの方法になります。
このようなシチュエーションは、不透明な状況でありながら予測型のアプローチを採用してしまうケース、そして超長期のプロジェクトで発生します。
WFは短期化の傾向にありますが、それでも2~3年のプロジェクトをみかけます。そのようなケースでは、計画駆動でスタートしたものの、1年経つと状況が様変わりしており、スコープを死守するためにクラッシングやファストトラッキングを使わなくてならないケースがあります。
大切なポイントは、スタート時ではなくプロジェクトの終了時に、マーケットや顧客の嗜好がどの程度予測できるかを考えることです。
世界のあらゆる場所であたらしいテクノロジーが生まれています。プロジェクトは長期化すると状況が予測不可能になるリスクを孕んでいます。
今後、予測可能性の低い製品・サービスはアジャイルが主流になるでしょうから、予測型アプローチを使うなら計画通りにしっかり進めていくケースが中心になります。
わたしは将来的にはクラッシングもファストトラッキングも減っていくのではないかと見ています。