プロジェクトマネージャーのマストツールとしてWBSがあります。WBSを作らずしてプロジェクトは管理できません。管理するにはなにかしらの基準が必要であり、WBSはそのものさしの役割を果たします。
WBSはプロジェクト開始時に作成します。PMだけでは作れませんから、プロジェクトに関わる主要なメンバーからインプットをもらいます。それぞれのワークストリーム単位で必要な活動を洗い出してもらい全体のプロジェクト計画をWBSとして作成します。
WBSの各活動には担当者をセットし、依存関係(前後関係)も洗い出しますから、どのタイミングで誰が何をしなくてはいけないかが明確になります。
WBSの一番のメリットはプロジェクト関係者全員でプロジェクトの全体計画をつくることで、プロジェクトの全体感を知り、チームのエンゲージメントを高められることです。
では、デメリットはなんでしょうか。
デメリットはWBSのメンテナンスがされなくなり、徐々に効果を失っていくことです。
WBSはプロジェクト全体の計画ですから、プロジェクトが進むにつれ計画の領域は減っていきます。そしてプロジェクトの進捗は進捗報告書でされます。WBSは報告資料としては使われません。そのため、プロジェクトが進むにつれ、WBSはだんだん見られなくなり、やがてPMしか手入れしなくなります。更にワークストリームの各担当者は具体的なプランを個別のWBSで追っていますから、PMが全体WBSで進捗を追おうとしても噛み合わなくなります。使われない計画は形骸化し、やがてだれも気にしなくなります。
WBSはプロジェクト開始時は非常に効果が高いですが、徐々にその輝きを失っていきます。それでも、私はプロジェクトの初期にプロジェクトのWBSを作ることはよいことだと考えています。プロジェクトの最終成果物をを関係者で合意し、そのための活動を洗い出し、どのように進めるのか戦略を練ることはプロジェクトの全体理解を深める上で不可欠なことだからです。
従来型開発はもちろん、ハイブリッド型開発でもWBSを作ってみることは有効です。関係者全員でプランニングすることで主体者意識が高まります。