アジャイルは準委任契約と言われます。
一方、伝統的なウォーターフォール開発は一括請負契約と言われます。
一括請負契約の条件は「仕事の完成」がわかることです。一連の機能、そしてそれを支える非機能要件が定義されているのなら、後は幾らかけていつ完成するかだけの話しです。
残念ながら、アジャイルでは具体的に必要な機能セットをプロジェクト初期に定義することができません。ですから、消去法では準委任しかありません。完成品のイメージが沸かない状況で、かかるコストも時間も含めてまるっと請け負えるわけがないのです。
プロ野球では投手はキャッチャーのミットめがけて投げます。ミットは固定です。それでも外れる時があるわけです。アジャイルでは、標的は常に動的です。いわゆる、ミットが動いている状態です。難易度はあがります。
ライフル射撃でも、止まっている標的は落ち着いて、狙い澄まして撃てば当たる確率は高いです。でも、動いている標的を1度で仕留めるのは至難の業です。
アジャイルは動いている標的を狙うようなものです。合わせて行くために、標的となる物体の動きの傾向を見える化したり、自分たちの打ち方の癖に気がつくよう支援することはできます。でも、動く標的の次の位置を言い当てることはできません。それがわかれば請負契約が成立するのですが。。
アジャイルが請負契約でないのは、アジャイルコーチングの提供会社やベンダー・SIerが責任放棄している訳ではなく、形のないものに最初からコミットできないだけなのです。あるとすれば、成果物がある程度具体化した段階で、請負契約に切り替えて、確度の高い成果物を作ることです。それでも、納品された時には、ずれと補正作業のリスクがあります。
アジャイルでは、発注側と受注側が協力しながら正解を探していく契約タイプ、すなわち準委任契約を採用することになります。