●普段はこのような硬い内容の本は読まないのだが、「講談社科学出版賞受賞」の帯に惹かれて入手した。
1年以上も積ん読状態にしていたのをやっと読み始めてみると、実に興味深いことが書かれていた。
●あまりにも多くのことが書かれていて紹介文を書くのが難しいのでAmazonから引用すると・・・
『福井県・水月湖に堆積する「年縞」。何万年も前の出来事を年輪のように1年刻みで記録した地層で、現在、年代測定の世界標準となっている。
その年縞が明らかにしたのが、現代の温暖化を遥かにしのぐ「激変する気候」だった。
人類は誕生から20万年、そのほとんどを現代とはまるで似ていない、気候激変の時代を生き延びてきたのだった。
過去の詳細な記録から気候変動のメカニズムに迫り、人類史のスケールで現代を見つめ直します』
●まあ、確かにそのとおりなんだけど、この説明では研究内容の凄さがよく分からない。
内容を箇条書きにすると・・・
・三方五湖の一つである水月湖の地層は1年分が1mmの層となっている。
・その中の花粉分布を調べると15万年間の植生の変化がわかる。
・一方、南極の氷に含まれる空気の分析から現在の地球は氷河期であってもおかしくないが、安定で温暖な気象が継続している。
・その分岐点は約5,000年前で農耕と牧畜が始まった頃と一致している。
・現在の安定で温暖な時代がいつ変わるかは予測できないと考えられている。
●上から2つが著者たちの研究グループの地道な業績だが、随分と端折った部分も多いので興味のある人は読んでほしい。
この本に★★★★★を進呈する。