


N9からN35に向かうラインナップを並べてみました。N9もスチールメッキとカラーメッキのものがあり、また、レンズ前面に強化凸レンズを取り付けた非常灯タイプも存在しました。赤丸ボタンは長く踏襲されていました。その後後継としてN35の登場となりました。この頃になると、バッテリーは紙巻きからスチール外装になり、液漏れが少なくなりました。また、バッテリーと豆球の買い置きが出来るように、専用のケースが登場しました。ボディカラーは、スチールメッキ、イエローレッド、ブルーがあり、ヴァリェーションが出てきました。ボタンカラーもクリーム、ライトブルー、レッドと変化、最後はブラックで径を広げたものとなりました。また、筒先を尖らせたタイプも登場し、コンパクト性の中に、照度を改善したものになりました。
仕事を終えた父、伯父、伯母、従兄弟(従姉妹)が集まり、賑やかになります。仏壇上部に、お迎え飾りがつくと、代わる代わる焼香、お迎え行ってきますの挨拶です。お迎え火は、曾祖母が提灯を持ち、先導、祖母がもう一つの赤丸ボタンのフラッシュライトを持ち、私が、クリーム角ボタンのフラッシュライトを持ち、総出で出発です。

お墓は、海岸沿いの小高い丘にあります。往路は、山回りで行きました。初めての長時間の照明は、緊張しました。みんなが墓参を無事終え、海岸回りで帰宅すると、幼心ながら、ホッとしました。海岸回りで帰るのは、ちゃんと意味があるのがわかりました。知人やお世話になった商店主さんに顔見せするためでした。
戻ると、ライトを点灯させながら、雑巾で胴体とレンズをしっかり拭きました。胴体はスチールメッキだから、潮風で錆びやすいですし、レンズには、砂ぼこりが付着しているからです。大切な道具だから、扱いを丁寧にしました。外使いした後は、必ず、お手入れしました。

「ご先祖さまを心込めてお迎えするんだよ。」
曾祖母は、よく話していました。お盆は、霊剣新たかな身の引き締まる機会。お迎えの儀式は、お飾り作りから始まります。
お盆入りの13日、昼食後、朝採りの茄子、キュウリで精霊馬を作ります。曾祖母、祖母、母、そして私、手分けして一対ずつ作るのです。私が、手元の照らし役です。曾祖母、祖母、母がつまようじを差し込み、馬の足にします。
胴体を右手で握り、筒先を手元に向け、スライドとボタンを操作して、まずは、フラッシュ点灯で頑張ります。指先が疲れたら、灯りを途切れさせずに常時点灯に切り替えました。うまく行き、ボタンをピクピク動かし、微笑みました。最後に、自分で手元を照らしながら、左手を使い作ると、お飾り完了です。仏壇上部に、曾祖母が飾るのを私が、照らして、順に焼香、お迎え行ってきますの挨拶です。