
トップギアで坂道を登り、頂上に着いて左折し、アパート前に据え付けます。金属道路での練習帰りは、お母さんに沿い歩きしてもらい、運転テクニックを教わり、その音色も忘れ難い思い出です。トップギアで平坦地と下り坂を走って来たから、ギアを変えたくないわけです。
坂の入口に向かいます。近づいたら、手のひらのアクセルの力を徐々に抜き、中指、薬指、小指でふんわり前ブレーキを握り、右足でふんわり後ろブレーキを踏みます。
シュルシュルシュル…キ〜キ〜キ〜キ〜
停止したら、T字路だから、右側の頂上を危険がないか確認します。エンストに備え、右の親指でセルボタンを凹ませておきます。ボタンは軽く押せるから、エンジンがかかっていても親指と人差指で挟み押しするのが癖になりました。ボタンを押した瞬間、接点がつくとカチッ、力尽きて接点が離れた瞬間カチッという感じがよくわかって来ました。エンジンが回っていればこの音ですが、エンジンが止まればモーターがキュルキュルと音を立て、エンジンがかかり切れば、モーターへの電流を切るわけです。バッテリーからモーターへの電流と発電機に変わったモーターからバッテリーへの電流を仕分けするサインだとお母さんは教えてくれました。面白いから、カチッカチッという微かな音をさせて楽しんでいました。
人差し指で方向指示器を上げ右折表示を出します。
クッチクッチ…
飛び出さないように、手、足のブレーキは発進直前まで握り踏みしておきます。安全確認後、ブレーキを手、足の順にふんわり緩めます。左手クラッチを握りながら、体を右に傾げ、右足をブレーキペダルから離し、地面につけます。同時に右手のひらのブレーキレバーをゆっくり緩めます。
ウォ〜
クラッチをゆっくり緩めます。ゆっくりアクセルを真ん中まで開けながら、右人差し指で方向指示器を真ん中に戻します。セルボタンを゙親指でずっと押して、人差し指で側面を支えておきます。
シュルシュルシュルシュルシュルシュル
走り始めは軽快ですが勾配の最後は喘ぎます。
シュルシュルロロロロドド
頂点の寸前が右分けする三叉路だから
必然的に徐行になります。アクセルを戻さず右を確かめて進みます。
トトトトトットッウォ〜〜
エンジンが低回転から平坦地に入ると高回転に戻るから、吹き上がりの音がします。この音色がまた、快感です。身体を左に傾け左足を地面につけます。クラッチは切らず、アクセルを戻さずそのまま左折し最後の登りです。
ウォ〜ドドトットッガクッ
一瞬のことですが、エンストすると、セルボタンを押していたから、すぐにモーターが回り始め、幸いにも燃料被りがなかったから、吹き上がりの音が戻りました。
カチッキュルキュルカチッウォ〜ッロロドドトットッ
無事アパート前の取付け道路まで上がり切りました。アクセルグリップをやんわり緩めながら、手ブレーキ、足ブレーキをふんわりかけて止まります。
キーキー
ガチャ(踵戻し)ガチャガチャガチャガチャ(爪先戻し)
トトトトト…
ロータリー式を確かめるため必ずニュートラルには二方向でギアを切ります。パイロットランプが点いていることを確かめ、運転終了になります。こうして、毎回、ステキなふれあいが終わり、お母さんにハンドルを渡し、お礼を述べ、お母さんは夕方の買い物に出て行きました。