しるべない旅

幼い頃の思い出と日々の雑感気まぐれに綴っております。

バイクふれあい記18

2023-09-18 18:34:02 | 日記


あくる日、お兄ちゃんのお家で宿題をしてから、金属道路へ出発です。金属道路は、自転車とベンリイちゃんにふれあい、慣れ親しんだ人生の並木道です。防風林のアカシアの落ち花弁が、花密を出し、子どもには、いいおやつでした。

お母さんに鴨居からキーを取ってもらい、スタンドを下げると左傾げになった車体を両腕でしっかり支え、左足をしっかり地面につけながら跨りました。陽が短くなって来たから、キーを左指先で差し込み、ヘッドライト、側灯、尾灯をきちんと点灯させました。ヘッドライト上のパイロットランプが点いているから、ギアが入っていないのも確かめました。筋付きの四角いヘッドライトから逞しい光が溢れると、嬉しくてお母さんに微笑みかけました。反射光で手元が見やすくなり安心しました。

右手のひらをアクセルグリップに乗せ、親指と人差し指でセルボタンを挟みました。左指先で探りながらガソリンコックを捻りました。寒さが加わって来たから、チョークを引きました。右親指をセルボタンの窪みにあて、人差し指を添えるようにして、ギューッと押しました。

カチッキュカチッウォ〜〜

アクセルグリップを回さなくてもエンジンが唸り始めました。ライトが瞬間チラつきました。やった〜と歓声を上げながら、お母さんに微笑みかけました。暫く甲高い音が続き、暖気させました。毎朝聞いていた音を自ら出せたのが凄く嬉しかったです。 セルボタンは右親指と人差し指でずっと挟み押ししたままにしていました。カチッと微かな音がしてから吹き上がりの音が続いたから、モーターの電流は切れ、発電機に切り替わっていました。シリンダーヘッドに左手のひらを翳し、ふんわり温まると、チョークを戻しました。

ウォ〜ロロドドトトトットッ…

回転が落ち、ストップしそうになると、いたずら心が芽生えました。

カチッキュルキュルキュルキュル…

グリップを締め切り、ボタンを押したままにしてセルの音を楽しみながら、徐々に点火音が出るところまでグリップを開け、ホールドさせました。

カチットトトットッ…

トルクが落ち着きました。

グリップを上げ下げしました。

トットッドドロロウォ〜ンロロドドトットットト

これを続け、セルボタンを挟み押ししながらストップしないようにしてさらにトルクを落ち着かせました。右手をアクセルから離し、回転が続いていたら、ギアを入れられる証でした。




バイクふれあい記17

2023-09-18 18:18:18 | 日記



「お母さん、ターンしてみるね。」

ウォーンガチャウォーンロルロルドッドットットッ キーッガチャガチャガチャガチャキーッ

「ほら、ライトの上のランプ点いたね。」

「うーん。爪先からでもニュートラルに戻せるね。」

ターンの際のエンジンの回転上がって下がってがわかりました。ロータリー式変速の良さがわかりました。

「モーターの音、エンジンの上下、ギア、ライトが明るくなったり、暗くなったり、面白〰️い。」

「さあ、続きはまた、明日だね。」

門限が近いから、街巡りを含めて1時間半ほどで終え、自宅に戻りました。



バイクふれあい記16

2023-09-18 17:59:45 | 日記



「アクセルグリップ開けるよ。」

キュドッドッキュドッドッカチットットッルロルロウォ〰️ン

「いい音。」

「カチッて音がしたら、回転上がって来たね。エイッ。まだ押してるよ。」

「もう、モーター切れて、発電しているね。」

ヘッドライトや尾灯、側面灯は、ちらつかなくなっていました。壊れない仕組みに感動しました。



バイクふれあい記15

2023-09-18 17:54:15 | 日記

「踵から戻してみるよ。」

グイッ (クラッチ握る) ガチャ トットットットッ キーッ (足ブレーキ踏む) トットットットッ キーッ (手ブレーキ握る) 

「止まったね。上手、上手。」

「ほら、お母さん、ライトの上のランプ点いたね。これで、ギア切れた。動き出さないから、おいたしてみるね。」

セルボタンをギューッと挟み押したまま、アクセルグリップを閉めました。

トットッ トッ トッ トッ トッ 

間隔の空く連発音が響き、胯間から突き上げて来ました。やがて自然にエンジンが止まりました。

ガクッ

切り替え器が入り、モーターが回り始めました。燃料を出していないから、モーター音が高くなり、
点火していないことがわかりました。

カチッキュルキュルキュルキュルキュル…



「面白〰️い。ボタン押しっぱなしだと、エンジン止まると、キュルキュル始まるね。」

「初めからやらなくていいから、便利でしょう。坂道なんかでエンジン止まると、かけやすいよね。」

「アクセルグリップとボタンがこんなに近いから、押しやすいよね。ぼくの指で届くね。」

ヘッドライトやサイドランプがモーター音に合わせて息をしていました。



バイクふれあい記14

2023-09-18 14:13:57 | 日記



子どもながら、専門用語は理解出来なかったですが、ロータリー式変速という便利な機構だったようです。走ったり、止まったりしながら、お母さんに指先や音の感覚をたくさん話していました。当時の文献を見ながら記憶を辿っています。

「ボタン、ずっとギューッしてるよ。軟らか〰️い。」

お母さんに目配せしながら、親指と人差し指でセルボタンを挟み押しし、アクセルグリップを細く開けながら、走りました。

トットットットットッ.....

「カッコいいでしょう。トロトロだけど、しっかり走ってるよ。」

「アクセル閉じてみるよ。」

ヒュコカチッキュルキュルキュルキュル....

「モーターまた、回っているね。でも、走っているね。」

「面白〰️い。ボタン押しているから、エンジン止まると、すぐキュルキュル始まったね。ギアが繋がっているから、止まらないね。」

「アクセルさっきくらい開けるよ。」

カチッヒュウオ〰️ンドッドッロロルルトットッ....

「いい音しているね。」

「うーん。エンジン止まると、キュルキュル。アクセルまた、開けると、すぐかかる。ボタン押してても、キュルキュルいわない。ギア繋がっているとガクンとしないね。」

「エンストしても、初めからやらなくていいから、便利でしょう。」

「うーん。ここ(アクセルグリップの付け根)からここ(ボタンの真ん中)までぼくの指で届くね。押しやすいよね。」

スロットルを縮めたり、広げたりしながら、モーターとエンジンの音を響かせていました。モーターの回り始めと、終わりに、カチッという開閉器の音が微かに聞こえていました。こうして、金属倉庫の正門までゆっくり走りました。