しるべない旅

幼い頃の思い出と日々の雑感気まぐれに綴っております。

バイクふれあい記26

2023-09-19 22:33:37 | 日記
車体仕様を改めて見ていました。ベンリイちゃんの車高は約40センチ。これは、車体の高いところから地面までと考えると地面からサドルまでの高さは、27インチの自転車に該当する感じ。小型二輪車の範疇と考えると、小2の男の子には、足がどうにか届いたのが納得いきます。タンデムタイプのシートは、運転方法を教えてもらうには、運転者感覚が備わり、便利でした。
サイドスタンドを立てると、車体が左に傾いていて、こっちから乗ってね、と微笑みかけているようでした。お母さんは、棟中央の路肩に、こうして止めてあるのが常でした。この写真のアングルに親しみを感じます。
実用車版はシンプルでも、乗り心地改善と2人乗りが出来る設計だったのがわかります。ガソリンタンク後方の窪みは、座ると膝をガソリンタンクを挟むように置けるから、カッコいいと思いました。
お母さんは、後ろに跨がると、指先の使い方を丁寧に教えてくれました。左の親指と人差し指でキーを挟ませ、確実にメインスイッチホールに差し込ませました。お母さんの指先には真っ赤なマニキュアが塗られていて、優しい手付きに和まされました。まず、左指先を左に回させました。
コチッ
お母さんは、右の手のひらをアクセルグリップ中央に乗せ、親指をセルボタン中央に乗せて見せました。ボタンが戻らないように、人差し指を脇に置いて挟み押しすると言いました。言われたまま、ボタンを親指で押し込み、人差し指で側面を押さえていました。カチッキュルキュル.. ..と音が始まると、いい音だと思い、人差し指を親指の上に乗せて、戻りを止めていました。しばらく音を鳴らし続け、圧を下げました。
ヒューンカチッガクッ.
様子を聞き耳立てながら伺い、ボタン側面を挟んでいました。静寂が辺りを包むともう一度音を鳴らし続けました。毎朝聞こえる音の所在を確かめ微笑みました。何度も押したり、離したりして、さらに微妙な音変を確かめました。ボタンを押したり、離したりすると、カチッカチッという音がするのに気付き、ボタン操作の長短をつけて遊びました。こうした行為にも、エンジンを暖める作用があると教わり、楽しいと思いました。


バイクふれあい記25

2023-09-19 20:57:08 | 日記

ギアチェンジと灯火類操作をマスターすると、すっかりご機嫌になりました。 

外気が冷えてきたから、アクセルを操作しないと弁が自然に縮まっていくのか、エンジンの鼓動が間欠し自然消滅しました。

トットトトットト…キュコ

こんな感じでキーを切らなくても停止しました。幼い頃、くろがね号オート三輪に乗せてもらった際も、2気筒だったから、こんな感じでアイドリングが止まったのを思い出しました。

メインキーを入れたままにして休憩しました。セルボタンをグイッと挟み押ししました。

キュルキュルキュルキュル....

「さっきより軽〜い。」

「そうだね。エンジン温まってるからね。」


セルモーターの音はエンジンの温度により微妙に変化していました。空回りしている音が快感でしばらく続けました。ボタンをギューッと押し込む瞬間、カチッと音がして、ヘッドライトがチラッとし、キュで暗、ルで明を繰り返しました。パッとボタンの力を緩めると、カチッと音がして、ライトが明るくなり、ヒューンいう蛇行音がしばらく続きました。やがてガクッと音がして、回転が止まったのがわかりました。

キュトットッルキュトットッル....

アクセルを少しずつ開けるとこの音が続きました。キュはピストンの上昇音、トットッは点火燃焼音、ルはピストンの下降音。エンジンが暖まり出すと、トットッがドッドッに高まりました。キュでキックを半分踏み下ろすとピストンの動きがわかりました。ライトを点けながらエンジンの周期を学んでいると、大人の感覚が嬉しくなりました。

バイクの楽しみは、股間を伝う振動です。セルモーター、キック、エンジンの鼓動、吸気や排気管から出る音と匂い、刻々と手足の動きで変化して、興味は尽きませんでした。エンストした際、吸気や排気が強い匂いだと、セルモーターを空回ししたり、キックを優しく踏んだりして、生ガスを逃がしてあげました。お母さんは、バーンという音や、ケッチンが怖いから、優しく優しくって教えてくれました。とにかく、音感と嗅覚が大切でした。

キュトトルキュトトルキュトトル....

生ガスを逃がしていると、この音が続きました。アクセルを絞っても残りの燃料が点火燃焼しているんですね。

キュドッドッドッドッドッドッカチッヒューンガクッドッドッ....

この音がしたら、モーターが発電機に変わるから、アクセルを上げるとエンジンが優しく唸りました。

ウオーンドッドットットッ

アクセルを上下させ、吹かして遊びました。セルボタンを押しっぱなしにしてもキュルキュルがしなくなりました。ハンドルを左に傾け、お母さんに指先を見せながら、押したり、離したりすると、カチッカチッと音がして、ライトが一瞬チラッとしますが、モーターは回らないし、発電を続けて、ライトが一定の光量を保っていました。エンジンが優しく唸ると、セルボタンは、指先の遊び道具になりました。


バイクふれあい記24

2023-09-19 17:11:32 | 日記



あくる日、基本的な動作を身体に染み付かせると、ギアチェンジを組み合わせて行いながら、行ったり来たりして、スピード感覚を学んでいきました。

「お母さん、爪先や踵でギアを変えたりしてみるから、見ていて。」

「いいよ。」

ウオーンギユッガチャウオーントットッドッドッドッドッルルロロロロ....

回転が落ち着くロロロロという音がすると、左手のひらをゆっくり緩めました。ヨロヨロ走りが、だんだん車体が安定しました。アクセルグリップをゆっくり上げて行きました。左手の親指でハイビームに切り替えました。砂埃がライトに吸い付くように見えました。ハイビームにすると、遠くまでハッキリ照らせました。対向車の自転車やバイクもよく見えました。右手のひらは、アクセルをゆっくり上げて、スピードに乗って来ると自然とハンドルバーと身体が平行になっていました。親指と人差し指は、やんわりとボタンを挟み押したり、離したりして遊んでいました。優しいエンジンの鼓動にカチッカチッという音が混じっていました。アクセルをパッと緩めると、走ったままでも、エンジンサウンドが止み、キュルキュルという音が鳴りました。再び、アクセルを上げると、ウオーントットッドッドッロロロロとエンジンサウンドが唸り、安心しました。ドロロという音が大好きになっていました。中学道路と交わるところで、往路は減速です。踵からニュートラルに戻したり、爪先からニュートラルに戻したり、ギアを切ると自然とアクセルスロットルが上がり、ウオーンと唸ったから、上げ下げして、フットブレーキをゆっくり踏み、右の中指、薬指、小指でハンドブレーキをゆっくり握り、止めました。三菱金属の倉庫正門で方向転換です。


バイクふれあい記23

2023-09-19 15:56:02 | 日記



時間を大切にしたいから、2速から3速、4速と同じように往来して、練習しました。砂地や砂利道で練習していたから、転倒しても怪我が少なく、安全でした。砂が身体についたり、靴や衣服に入ったりするから、帰宅すると、母によく叱られました。でも、学んだことを母に話すと、バイクって楽しいんだとわかってくれました。

砂丘地帯の農地には、大根がたくさん栽培されていました。11月初頭になると、気温が下がり出し、収穫期を迎えます。道端に規格外の収穫物が放ってありました。私は、もったいないと思い、よく拾って来ました。砂だらけで帰った罪滅ぼしと思い、持ち帰ると、母に尚更叱られましたが、結局、綺麗に洗い味噌汁の具材にしてもらえました。

さて、ベンリイちゃんのチャームポイント、まだ話しは尽きません。角目のヘッドライトは、表面に縞柄のギザギザがあり、これが遠くまで照らせる理由だと思いました。スイッチの表示は、英語の頭文字がふってあり、お母さんにどういう意味なのか、綴りを教えてもらいました。ライトを点灯させながら、光を見つめ、ロービーム、ハイビームを切り替え納得していました。暗闇の中でお母さんと対話しながら、操作を覚えました。アクセルグリップを握っていると、大きなセルボタンが指先から飛び出て見え、自然に凹ましたくなりました。凹ますにも力がいらないし、柔らかい感じでした。凹ました後も半分くらい側面が残るから、親指と人差し指で戻りを押さえて、アクセルを楽に上げ下げ出来ました。


バイクふれあい記22

2023-09-19 13:04:47 | 日記


停止後は、アクセルグリップを絞り、セルボタンを挟み押ししながら、キュルキュル…とかわいらしい音を立て休憩していました。セルの音といい、エンジンのウィスパーサウンドといい、すっかりハマっていました。ハマグミを吹き抜ける夜風が、晩秋の近さを感じさせました。
アパート前の道はアスファルトだったけれども、ここは砂利道だから、ターンが難関。タイヤは取られていくでしょう。踵からニュートラルに戻して停止となると、制動距離が短くなり、往路よりゆっくりスピードダウンがきつくなりそう。小さな頭で思いを巡らせながら、音を楽しんでいました。
さぁ、戻るぞと気合いを入れました。メインキーはそのままだったから、通電していました。セルをキュルキュル鳴らしたまま、アクセルグリップを少しずつ上げました。 
キュトトキュトト…
弱々しいエンジン音が戻り、燈火が明るさを増しました。アクセルを上下させ、回転数を安定させました。
ウォンドドトトウォンドドトトカチャ
さぁ、戻りのターンです。
左足を地面につけて軸足にしました。
ウォ〜〜トトドドドドトト
うまくターンしました。出来た!と心で歓声を上げました。そして、クラッチを握りアクセルをゆっくり上げスピードに乗りながらも、往路より控えめにアクセルを保ちました。やがて、お母さんの姿がヘッドライトの直径内に入ってきたから、やんわり手ブレーキを握り、クラッチを握り、踵でギアを切りました。
ウォ〜キ〜キ〜
お母さんの立ち姿の横に停車出来ました。褒められたから、本当に感動しました。
トトトトキュコ
グリップを閉めてエンジンを止めると、セルを鳴らして、お母さんに微笑みかけました。
カチッキュルキュルキュルキュルカチッカチッキュルキュルキュルカチッカチッ…
親指をつけたり離したりするとカチッカチッと音がして、微笑んでいました。