テレビは、人の表情をそのまま映す。被写体の方は、そこを気をつけないと心の内側を読まれてしまう。見る側としてはそこが面白い。いつだったか鳩山由紀夫さんが首相だったころ立ち話のような場面だったように記憶している。話の脈絡は忘れたが、「日本はいつでも核兵器が作れる」と、しゃらっとおっしゃった。その表情から「日本の技術者はその開発段階をとうにクリアしている。僕は理系だからそれくらいのこと知っているよ」と、私には読めた。国のトップが、こんな危ないこと言っていいのかな、と心配したが、翌日の新聞には書かれていなかった。
これを思い出したのは先日池澤夏樹さんの小説「アトミック・ボックス」を読んだからだ。アメリカから返還の決まった小笠原諸島へ再び核兵器を持ち込むことへの可能性について野党委員長が質問した際、当時の佐藤首相は「日本は“核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず”という非核三原則を主張する」ということを示した。我が国に核を持たない、持ち込まない、もちろん作らないという非核3原則は沖縄返還の際にも確認された。福島の原発事故以来、原料の核物質の扱いは厚い秘密のベールに包まれて、分からないことが多すぎる。タイムリーな小説で、読んでいる間、血圧が高まった。あのドキドキは心臓によくない。あくまでも小説の中での現象と受け止めたいのだが・・・。テレビマンはもう動いているかもしれないが、『運命の人』や『半沢直樹』のようなドラマになりうると感じた。
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