【其教記祖名記板文日巡畏多。綴穴摩損。茲紙面書写、又不誤様秘聞書加紙、言正伝為相似区分、後世戒為。】
神文の教えや、ユマニ代々の先祖の名前を記してある板文を傍らに置いて、毎日直接触って熟読するのは畏れ多い。また、板を綴じている穴も摩耗してきた。
そこで新たに紙面に書き写し、また今後誤って伝わらないように、秘聞を紙面に書き加え委細心得とタイトルを付けた。さらに神言葉の音声を正しく伝えるために似ている発音を区分して、後の世に正しく伝わるようにした。
※大先祖コヤネが頂いたタカミムツ大神(タチカラの珠)の教え。木の板に書かれた九百八十文字を紙面に移し替え、藤原内実は神文(かみぶみ)と表題をつけた。
※藤原内実は板に書かれていた神文を紙に書き写し、タイトルを「神文(かみふみ)」とつけた。口頭で伝えられて来た値成の秘聞やその後の主要な出来事を紙面に書き出した。更に、神文九百八十文字の正しい発声のテキストとして八十字の漢字・特殊文字を付け加えた。最後に神文を代々語り継いできた弓前値成までの先祖の名を書き写し、更に値成から四十代の内実まで伝えて来た代々の名も書き写した。
【茲今和諭。十八日月例祭於、板文衣包神前供、御祖教値成迄相伝祖名宣奉。今和継今和其分限不正伝神罰家滅。】
後の世のユマニに注意しておく。十八日の月例の祭りにおいては、板文を衣に包んで神前に供え、大先祖コヤネの教えと神文と値成まで伝わっている代々の神々のなを神前で唱えなさい。ユマニたるもの、次なるユマニの為にそのすべきこをを正しく伝えることができなければ神罰が下って我がユマニ一族は滅びてしまうだろう。
【今和長旅際神文写、社左若常木葉供、麻緒包之帯則、垂力諸々御名身包、魔物恐近不能。帰則無事謝、晦神文灰流失。】
ユマニが長旅することがあるならば、神文を写して、神社の左にある常盤の若木のはを添えて依り代として、更に麻布と紐で包み懐中すれば、タチカラの珠の様々なお名前はユマニの身体を包み、魔物は恐れて近寄ることができない。
長旅から帰って来たならその無事を感謝し月末に燃やして灰にして流しなさい。
【世々今和日々神文巡、正音声御祖意自真伝。夫努。】
代々のユマニ達、日々神文を熟読し、正しい発音で唱えれば先祖の思いは自然と分かってくる。さあ、励みなさい。
【親緒巌移晴゜和穂゜火゜子放゜保充 雷゜育微少座沼゜活覆 渡威狩母因垂舞虚 背積鋭根成躍醸 美浮囲延大崇奇哈゛因゛真増 異食震゜堅凝屠愛重与 天会爽陜岐貴刻結芽現実静 辺日霊゜飯基萌瀬澄 津乃奈唵集゛】
※いろは順に並んでいる。
※次のぺージには上下の区別なく、神文本文と同じ大きさの漢字が一ページ三行に、二ページにわたって書き込まれ、少し間をあけて「弓前値成」の四字がぎりぎりいっぱいでぺージを埋め終わっていた。
※次のぺージ頭書は「以上神代より世々神の言葉を言い伝えし代々の尊名なれば、神文ともにすべて諳んずべきものなり」と書かれであった。続いて二ページにわたり、最初は「弓前値成」、右肩に「初代」と記され、以下十名ずつ四行にわたって名前が記載されてあったが、一行目の最後は、今尾の某、今人の某、二行目の冒頭は藤原の某、以下は名前のみ。四行目は九名、全部で三十九名の名前が記載され、余白には「以上は三十九代までの受継者の尊名、遺漏なく板文より書き換え候也天授○年○月○日今藤原内実」。(天授は南朝の年号(1375~1381)
※次のぺージは、冒頭「内実」と自署し、右肩に小さく「四十代」と記入し、以下一行十名、各々名前を自署したもののごとく、書体はすべて変わっていた。代々のユマニが自署したものだろう。二行目も同様であるが八名のみで余白を残していた。以下空白のぺージは数ページあったようである。
※第67代ユマニの池田秀穂は「弥生の言葉と思想が伝承された家」で次のように語っている。
私はいま、まず神文を公開し、さらに「ユマニは他言すべからず」の秘聞まで公開してしまった。ユマニの守るべき掟はすべて破ってしまった。当然神罰あるだろう。わが家滅ぶべし。すでに代々伝えて来た品々は先の大戦で地上から消えてしまった。近いうちに私も地上から消えてしまう。すべて覚悟の上。これも御祖コヤネの大御心と理解している。
※池田秀穂の覚悟を受け取りたいと思う。
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