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2021年ベビーショック到来 日本の少子化「18年早送り」の戦慄

2021-05-17 13:00:00 | 日記

下記の記事は日経ビジネスオンラインからの借用(コピー)です

コロナ禍に伴う恋愛停止が日本経済にもたらす最大の災いは「少子化の急加速」だ。専門家からは「コロナ禍で日本の少子化は18年早送りされた」との試算も出始めた。少子化どころか、子供が周囲に見当たらない「無子化社会」の到来が迫りつつある。
 「コロナ禍によって少子化は、従来の予測より18年早送りされた」。人口減少社会の日本で今後起きることを明示した『未来の年表』(講談社)の著者で、人口減少対策総合研究所の河合雅司理事長はこう警鐘を鳴らす。
 その主張の根拠は結婚と妊娠の急減だ。厚生労働省によると、2020年の婚姻件数は約53万8000件と前年から12.7%減少した。自治体に届け出る妊娠届も20年5月に前年同月比17.6%減を記録。以来、件数が公開されている10月まで連続1.0~10.9%の前年割れとなり、5~10月を通しで見ると前年同期比8.2%減となった。その後もほぼ同様の状況が続いたと思われる。
自治体に届け出る妊娠届は前年割れが続いている(写真:PIXTA)
 「披露宴すら開きにくいコロナ禍で結婚を延期したり、医療態勢のひっ迫が伝えられる中での出産を避けようと妊娠を躊躇(ちゅうちょ)したりしている夫婦が増えたことなどが影響している」と河合氏。この結果、21年の出生数は75万人程度に減る可能性があると予測する。20年は過去最低の84万人台と河合氏は試算するが、さらに大きく減る計算だ。
 一般的に少子化スケジュールの試算に使われる国立社会保障・人口問題研究所の中位推計では、出生数が75万人台まで減るのは39年のはずだった。21年にそうなれば、確かに少子化は18年早送りされた格好。河合氏はこの状況を「ベビーショック」と表現する。
期待しにくい出産数のリバウンド
 これについては、「コロナ禍さえ終われば事態は正常化し、むしろ反動が来る」との見方もあるだろう。歴史を振り返っても、出生数は急減後にV字回復するケースはある。例えば丙午(ひのえうま)の1966年には前年の182万人から136万人まで減ったが、67年には193万人に急回復した。
人口減少対策総合研究所の河合氏は少子化が18年も早送りされる状況を「ベビーショック」と表現する(写真:Yue_ / Getty Images)
 だが専門家の間では、今回に限ってはそんなリバウンド説に懐疑的な声も少なくない。その理由の1つは晩婚化・晩産化の進展だ。「コロナ禍が何年も続き、妊娠を先送りしているうちに子供を諦める世帯が一定数出てくる」と河合氏は予想する。これは、約50年前の丙午の時にはなかった要素だ。
 さらに何といっても既に見た通り、コロナ禍で大規模な「恋愛停止」が起きている可能性がある。婚姻や出産の前提ともいえる恋愛活動が滞れば、婚姻や出産が滞るのは当然。コロナ禍による少子化の18年早送りは、巻き戻すどころかさらに加速してもおかしくない。
無子化社会「恋愛停止国家」の未来
東京五輪を延期に追い込み、飲食業や観光業に壊滅的打撃を与えたコロナ禍。だが、感染症まん延による災…
 最悪のシナリオは次のようなものだ。まず河合氏の指摘通り、21年に出生数が75万人まで減り、コロナ禍が終わる兆しが見えてもリバウンドは見られない。それでも24~25年ぐらいまでは婚姻数も出産数も小康状態を保つ。国立社会保障・人口問題研究所によれば、日本における「出会ってから結婚するまでの平均期間」は4.3年(15年調査)。コロナ禍以前の20年春までに出会い、4年の時を経てゴールインするカップルがこの時期まではまだいるからだ。
 が、問題はそこから。本当に20年春以降、「恋愛停止」が始まっているのなら、24~25年以降、“後に続くカップル”が理屈の上では徐々に途絶え始める。そうなれば婚姻数も出産数も大幅に減少しかねない。
 ここで「コロナ禍が終われば、人々の恋愛活動も再開される」との考えもあるかもしれない。が、中央大の山田昌弘教授は「コロナ禍での停止期間が長引くことによって、もう恋愛しなくてもいいと思う人が増える可能性もある」と指摘する。山田教授は19年、マッチングアプリ「Pairs」を運営するエウレカ(東京・港)と、独身の男女各2500人を対象に共同調査を実施。うち、交際相手がいない20~30代では約45%が「交際したくない」と答えたが、その理由は「面倒・疲れる」が最多だった。そんな恋愛離れの傾向が加速するとの見方だ。
既存の少子化対策の見直し必須
 そうやって少子化が急加速すればどうなるか。「少子化社会」どころか、もはや子供が周囲に見当たらない「無子化社会」が近い将来、到来しかねない。東京五輪・パラリンピックを延期に追い込み、飲食業や観光業に壊滅的打撃を与えたコロナ禍。だが感染症まん延による本当の災厄は、「少子化の急加速」かもしれない、というわけだ。
「少子化社会」どころか、もはや子供が周囲に見当たらない「無子化社会」が近い将来、到来しかねない(写真:アフロ)
 その影響は多大だ。少子化の影響は、労働力の減少から社会保障の不安定化まで多岐にわたるが、国も企業も原則「39年に出生数75万人」という従来の予測をベースに対策を立てている。10~20年の猶予期間を前提に設定された計画を「少子化の加速に合わせて倍速にせよ」というのは無理な話で、抜本的な見直しが避けられない。
 子供の減少に影響を受けない分野への多角化しかり、市場縮小を見据えた組織再構築しかり。先進企業の中には独自の少子化対策を導入する動きもあるが、それすら今後の効果は未知数だ。例えばソフトバンクは正社員を対象に第5子以降の出産で、500万円を支給する制度を導入しているが、こうした制度も婚姻数自体が減る状況では威力が半減しかねない。
 企業経営にもマイナスの影響を与える無子化社会の予兆は既に日本の様々な場所で確認することができる。「無子化エリア」の増殖だ。
藤中 潤 他1名
日経ビジネス記者



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