下記の記事は日経ウーマンオンラインからの借用(コピー)です。
⼦どもが通う保育園の職員に新型コロナの陽性反応が確認されたというAさんに話を聞きました。
職員の新型コロナ陽性確認、これからどうなる?
Aさんは、共働きをしながら3歳の子どもを育てているママです。ある日の午前中、保育園から一斉送信メールが届きました。
「本日、当園に勤務する職員の1人がPCR検査で新型コロナウイルス陽性と判明しました」
Aさんにとって、身近な人物から陽性反応が出たのは初めてのことでした。しかし、連日全国の感染者数の多さが報道されていたため「とうとう来たか」と比較的冷静に受け止められたそう。
続いて、第2報のメールがその日の夕方に届きました。今後の保育園の対応についてです。その時点で分かったのは以下の3つのみでした。
●保健所の調査を受け、濃厚接触者の有無や今後の対応を検討、園内施設の消毒をする。
●明日・明後日は臨時休園。
●登園再開の時期は決まり次第連絡する。
陽性となった職員が誰かについては、個人情報への配慮から一切非公表とされました。Aさんは「うちの子の担任の先生だったらどうしよう」と気をもみましたが、お迎えの際に担任の先生と会うことができホッとしたそう。
先生たちは「ご迷惑をおかけしてすみません」と頭を下げていました。「誰が感染したのか」「いつ再開するのか」などと詰め寄るような保護者は、その場では見られず、普段と変わりない和やかな雰囲気でした。Aさんの子と同じクラスのママ友も「陽性反応が出たんですね、保育園が休みで明日の仕事どうしようかな」と心配していたものの、表面上は特に取り乱した様子はなかったそうです。
子どもは濃厚接触者なのか
翌日は休園で自宅保育となりましたが、Aさんは保育園の事情を勤め先に相談したところリモートワークに切り替えることができました。「夫は以前からリモートでも仕事をしており、夫婦そろって自宅で子どもを見ることができました」とAさん。
しかしAさんには気になることがありました。「うちの子が濃厚接触者なのかどうかは、その時点では分かりませんでした。外出を控える指示はなかったため、自分の判断で子どもを自宅待機させていましたが、濃厚接触者の有無についての保健所の調査結果が出るまで外出を控えたほうがいいのかどうか、指示がほしいと思いました」
休園となった日の昼、保育園からのメールで今後の対応が知らされました。
●保育園は翌週から再開。
●保健所の監督の下、濃厚接触者とみられる職員や園児はPCR検査受診の上、自宅で一定期間の健康観察とする。対象の園児の家庭には個別で連絡。
●休園期間中の保育料は免除。
最終登園日から一定期間は、濃厚接触が懸念される複数人の職員が自宅待機することに。登園が再開されてもしばらくは、職員の数が少ない状態になります。そのため、この期間は希望者のみを対象に、預かり時間を短くした短縮保育になりました。その期間は給食の実施がないため、お弁当や朝のおやつ、水筒を持参することになりました。
給食なしの、時間を短縮した保育が実施されることに。画像はイメージ
PCR検査の対象となる園児には個別に連絡がいったそうです。Aさんには個別連絡がなく、子どもは、PCR検査の対象ではありませんでした。短縮保育を希望する旨を伝えるため保育園に電話をすると、園長先生が対応してくれました。「相当疲れた声でお話しされていて、現場の大変さが伝わってきました」(Aさん)
さらに別の職員も陽性に
休園期間中、子どもの面倒を見ながら仕事をすることは難しかったと言います。「じっとしていられない年齢なので、夫と交代で遊び相手をしました。日中できなかった業務は、子どもが寝ている早朝と深夜にするしかありませんでした」
そして短縮保育がスタートする前日、PCR検査の結果の概要がメールで配信されました。
●園児の陽性者、濃厚接触者はなし。
●別の職員が新たに陽性と分かり、濃厚接触者とされる数人が自宅待機。
この結果を受け、短縮保育がさらに延長され、通常保育の再開もその分延びることになりました。
園児たちから陽性反応が出なかったことに安堵したものの、他の職員に感染していたという事実にAさんは不安を覚えたといいます。
「保育園では、新型コロナが流行する前から手洗いや送迎時の手指のアルコール消毒を推奨していました。今年3月以降は保護者の送迎は玄関前までとなり、朝は非接触体温計での検温、マスクの着用、アルコール消毒など感染対策を徹底していました。それでも感染が防げない状況なのだと実感しました」
通常保育の再開はさらに延びることに。画像はイメージ
お弁当持参の短縮保育がスタート
突然の休園となった期間を経て、短縮保育の登園が再開しました。送迎時、子どもを出迎える職員の態度に暗い様子はなかったといいます。
「『おはよー!』と明るい笑顔で子どもを迎えてくれました。非常時だからこそ、いつも通り振る舞うことで子どもを安心させようと配慮してくれたのだと思います。短縮保育期間中は登園を控えたお友達も多く、広いホールで少人数の合同保育でしたが、子どもは順応していたようです。『お兄ちゃんたちに遊んでもらった!』と楽しそうに話していました」
しかしAさんは今までお弁当を作って持たせたことがなかったので、初めてのことに戸惑ったそう。登園再開前に慌てて弁当箱や保冷バッグ、弁当に入れるおかずを買いに走りました。「でも子どもが毎日『おいしかった!全部食べたよ』と言ってくれて、不安な日々の中でも励みになりました」
Aさん宅を含め、保護者の中には、仕事の都合で短縮保育の送迎時間に対応することが難しく、祖父母にお願いせざるを得なかった人も。「私も夫も仕事の都合でどうしてもお迎え時間に間に合わない日があり、その日は夫の母にお迎えを頼まなければなりませんでした」
子どもの預け場所や仕事をどうするか、対策を考えておく
短縮保育期間は特にトラブルなく過ぎ、無事に通常保育再開の日がやってきました。
「保育園の状況や、仕事の対応など日常が変わってしまっていたので、ようやく日常に戻れる、という開放感がありました。先生たちも本当にうれしそうな笑顔で出迎えてくれました。休んでいた方も無事に復帰したようです」
しかし「今後も心から安心することはできない」とAさんは言います。通常保育が再開された後も、保育園の感染対策は陽性者が確認される以前と特に変わっていないそうです。「これ以上、新たにできるような感染予防対策がないからかもしれません」
今後も身近な場所で感染が確認される可能性はある、とAさんは考えています。「全国で感染者数が増えている以上、いつ身近な人やわが子、自分自身が感染するかは分かりません。非常時に子どもを誰が見るのか、仕事はどうするのか。そのことを念頭に置いて、パートナーや会社と話し合っておくことが必要だと実感しました」と、Aさんは話します。
取材・文/日経DUAL編集部
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