下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です
変異した新型コロナウイルスの感染力の強さに、なす術はないのか。
南アフリカ型やブラジル型の変異ウイルスに対し、従来型の抗体やワクチンが効きにくいとの研究結果が次々に発表され、衝撃が広がっている。
菅政権の中途半端な水際対策で、英国型は市中感染が拡大。南ア型やブラジル型についても覚悟した方がいいかもしれない。
米ロックフェラー大などがファイザーとモデルナ製のワクチンを接種した20人から採血し、変異ウイルスへの効果を検証。その結果、抗体の効果は南ア型やブラジル型に対し、従来型の3分の1だったという。英国型の効果は半分だった。
一方、南アの国家感染症研究所と協力する研究チームは、感染後に回復した人の血液を使用する「回復期血漿療法」による抗体が南ア型には効かないと報告。従来型と比べた感染力は、英国型が1.7倍、南ア型は1.5倍強いとされている。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は言う。
「政府は2月下旬にもワクチン接種を開始するとしていますが、感染力の強い変異ウイルスにワクチンや抗体が効かないとなれば、ただでさえリスクと隣り合わせの接種をためらう動きは、ますます広がるのではないか。水際対策に失敗した英国型の市中感染は止めようがありません。南ア型とブラジル型については、神のみぞ知る。命がけで食い止めないと急速に拡散し、大混乱に陥りかねません」
■12月の外国人入国は7万人
政府の水際対策はデタラメ続き。東京五輪開催に政権延命をかける菅首相は、海外との往来緩和に前のめり。昨年10月から例外を広げる形で出入国制限を緩めてきた。出入国在留管理庁が自民党外交部会に提出した資料によると、昨年4~12月の外国人入国者数(速報値)は約23万5000人。5月は4000人台まで減少したが、11月が約6万6000人、12月は約7万人に急増した。
英国が変異ウイルス確認を発表したのが先月14日(現地時間)。英国からの入国を拒否したのは同24日。さらに4日後の同28日に対象を全世界に広げたものの、中韓など11カ国・地域とのビジネス往来を止めたのは今月14日だ。この間、空港検疫で12月25日に英国型、同28日に南ア型、今月10日にブラジル型の流入を確認。今月18日には静岡県内で英国型の市中感染が判明し、22日は都内でも確認された。
緊急事態宣言の解除は、もはや夢物語だ。
花粉症がコロナ感染拡大リスクに 昨年2倍予想で新たな脅威
春先は花粉症患者にはつらい季節だが、今年は以前に増して危険が伴う。スギ花粉は昨シーズンを上回る飛散量が予測され、耳鼻科医から「くしゃみなどによって周囲にコロナをまき散らす可能性」が指摘されている。
日本気象協会は今年春の花粉飛散傾向を前シーズン比で、〈九州から関東にかけて多く、四国や東海、北陸、関東の所々で非常に多くなる〉と予想。前シーズンに花粉症の症状が軽かった人も、注意するよう警告している。
一方、全国の花粉飛散の統計を出しているNPO花粉情報協会も<東北南部から関東、東海では昨年の2~4倍になる>という。早いところでは2月初旬から始まる花粉症。東京都民のスギ花粉症推定有病率48・8%からも分かる通り、通勤時の交通機関などは、くしゃみによる飛沫の脅威にさらされることになる。
日本耳鼻咽喉科学会専門医で、瀬尾クリニック院長の瀬尾達氏は言う。
「昨年のスギ花粉の飛散状況は、過去10年に比べて非常に少なかった。コロナ予防のマスクによって花粉症患者が減ったとの報道もありましたが、そもそもスギ花粉のピークである2~3月はマスク不足もありましたし、病院にかかるほどの患者さんが少なかったのは、単純に飛散量が少なかったことが原因とみています」
■隣の人のくしゃみでクラスターに
瀬尾氏が危惧するのは新型コロナウイルスとの関連だ。
「新型コロナは、ウイルス感染症であるインフルエンザとの同時併発は起こらないとされますが、花粉症はアレルギー性であり別物なので、併発します。花粉症の主な症状はくしゃみ、鼻づまり、水ばなで、いずれもコロナの飛沫感染の経路となります。花粉症を併発したコロナの無症状患者が外出先でくしゃみをすれば、周囲への感染リスクを高めるといえます」(瀬尾氏)
ウレタンマスクはおしゃれだが役に立たない
花粉症の予防対策は、当然ながらマスク選びも大事だ。今月、23区で唯一成人式を開催した杉並区の会場では、出席者に「不織布マスク」を配っている。スーパーコンピューター「富岳」の実証実験で最も飛沫が飛ばないことが分かっているからだ。
瀬尾氏も「花粉症とコロナを防ぐには、家庭用なら『不織布マスク』一択」と強調する。
「不織布マスクのフィルターサイズは5マイクロメートルほどで、30マイクロメートルほどの花粉をブロックできます。一方、コロナなどのウイルス粒子(0・1マイクロメートル)はそれより小さいのですが、飛沫の大きさは5~10マイクロメートルですので、理論上でも不織布マスクの効果が認められます」(瀬尾氏)
現在「富岳」のシミュレーションによると、不織布マスクと布マスクは共に「吐き出し飛沫量」の約8割を抑えた。だが、「吸い込み飛沫量」となると、不織布マスクが7割をブロックしたのに対し、布マスクは5割以上もスルー。電車内で隣の人がくしゃみをしていたら、布マスクでは心もとないことが分かる。ウレタンマスク、フェースシールドやマウスシールドにいたっては気休め程度と考えていい。
■かゆくて目をこすれば自身も危険
「花粉症患者にもリスクはある。はなをかむために頻繁にマスクを取り外したり、症状として目のかゆみもあります。公共物などに触れた手で、つい顔を触れることもあるでしょう。さらに、花粉症患者が新型コロナウイルスを併発した場合、軽症なら花粉症による鼻水なのか判別は難しい。そのため、アレルギーがある方は、今のうちにかかりつけの病院で初期治療を行ってほしいものです」(瀬尾氏)
は多くのメーカーから、おしゃれな布マスクやウレタンマスクが登場しているが、効果のほどは疑問だという。
コロナ感染の典型的な症状としては、くしゃみや鼻水、発熱やだるさ、気管支の炎症などが挙げられるが、花粉症も鼻水に始まり、場合によっては熱っぽい、体がだるいといった症状が出る人もいる。コロナとの区別がつきにくいため、発見が遅れる可能性も指摘される。
一方、雨の日は花粉の飛散量が少なく、一時的に花粉症の症状が治まる。雨天で鼻水が止まらないようなケースは、コロナ感染を積極的に疑った方がいいだろう。
■“コロナ慣れ”で日々の消毒がおざなりに
また、大江戸線の職員間で発生したクラスターでは、宿直施設の共有の手回し式蛇口が感染経路とされた。国立病院機構大分医療センターのクラスターは、飛沫が付いた「タブレット端末」を共有したことが原因とみられている。“コロナ慣れ”したことにより、日々の消毒がおざなりになっていることも考えられる。
コロナに感染した花粉症患者がくしゃみを押さえた手で共有物に触れれば、このようなクラスターはより増える。
浜松医療センター感染症内科部長の矢野邦夫氏が言う。
「手指の高頻度接触面であれば、どこであっても感染源になり得ます。気になるのは次亜塩素酸水による消毒の誤解です。次亜塩素酸水は本来、物品の消毒用ですが、アルコールのように少量では効き目がなく、有効塩素濃度80ppm以上のものを、机などの表面が“ひたひた”になるまでかけて拭き取らなければ効果はありません」
コロナウイルスは空気中に少なくとも3時間は残存するという研究もあるし、お店の人がきちんとテーブルを拭いても、テーブルには素手では触れないのが無難だ。
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