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緑黄色野菜に含まれるカロテノイドは死亡リスク低下に関係

2021-10-24 08:30:00 | 日記

下記の記事は日経グッディオンラインからの借用(コピー)です。

 ニンジン、トマト、ほうれん草、カボチャなどの緑黄色野菜や果物に豊富に含まれるカロテノイドを積極的に摂取すると、がんや心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)による死亡のリスクが低下する可能性があることが、日本人を長期間追跡した研究で示されました。
カロテノイドはニンジン、トマト、ほうれん草、カボチャなどの緑黄色野菜に豊富に含まれています。(写真=123RF)
血中カロテノイド濃度を年1回測定し、死亡リスクとの関係を検討
 野菜と果物の摂取は、死亡リスクの低減に役立つことが示唆されています。そうした保護的な作用は、野菜や果物に含まれるカロテノイドに起因する可能性があると考えられていました。カロテノイドは、強い抗酸化作用を持っているからです。
 これまでにも、カロテノイドの摂取と健康の関係に関する研究は数多く行われてきました。それらの研究は、参加者の血液中に含まれるカロテノイド(血清カロテノイド値)を測定し、その後の特定の病気の発症や、死亡との関係を検討したもので、カロテノイドはがんや心血管疾患などの予防に役立つという結果が既に示されています。
 死亡とカロテノイド摂取の関係を調べた研究も複数行われていますが、それらのほとんどは、追跡を開始する時点で1回だけ測定した血清カロテノイド値とその後の病気の発症、または死亡との関係を調べていました。
 しかし、食習慣は経時的に変化します。例えば、加齢により食の好みが変わったり、食品の供給状況が変化したり、健康に良い食生活に関する知識を得たりすると、特定の食品の摂取量が増えたり減ったりする可能性があります。
 そこで藤田医科大学の藤井亮輔氏らは、日本人の成人の血清カロテノイド値を年1回測定し、そこに反映される摂取量の変化も考慮して、総死亡、がん死亡、心血管疾患死亡のリスクとの関係を検討しました。
40歳以上の日本人3000人余りの22年分のデータを収集
 対象となったのは、北海道南部の八雲町の住民です。1990年から1999年までの期間に住民健診を受けた40歳以上の人々を登録し、毎年の健診の際に採取した血液に含まれる血清カロテノイド値を2011年まで測定しました。死亡の有無に関する追跡は2017年12月まで行いました。追跡期間の中央値は22.3年になりました。
 分析対象としての条件を満たしたのは3116人(平均年齢54.7歳、60.4%が女性)でした。追跡期間中に762人(24.5%)が死亡しており、このうち253人ががんによる死亡、210人は心血管疾患による死亡でした。
 カロテノイドとして測定したのは以下の各項目で、すべてを合わせたものを総カロテノイドとしました:ゼアキサンチンとルテイン、カンタキサンチン、β-クリプトキサンチン、リコペン(リコピン)、α-カロテン、β-カロテン、総カロテン(α-カロテン、β-カロテン、リコペン)、総キサントフィル(ゼアキサンチンとルテイン、カンタキサンチン、β-クリプトキサンチン)、プロビタミンA(β-クリプトキサンチン、α-カロテン、β-カロテン)。
 測定値と死亡リスクに影響を及ぼす可能性のある要因として、全般的な健康状態、生活習慣、受診記録、食習慣、喫煙歴、飲酒習慣や、脳卒中、狭心症、糖尿病、がんの診断の有無などに関する情報を収集しました。
総カロテノイド値が25%上昇するごとに、総死亡は15%低下
 性別と年齢、喫煙歴、飲酒習慣、血圧、BMI(体格指数)などを考慮して、個々のカロテノイド値と総死亡の関係を分析した結果、上述したカロテノイドのうち、カンタキサンチンを除くすべてと、総カロテン、総キサントフィル、プロビタミンA、そして総カロテノイドの濃度が上昇すると、総死亡リスクが有意に低くなることが明らかになりました。がん死亡、心血管疾患死亡のリスクも同様でした。総カロテノイド値が25%上昇するごとに、総死亡リスクは15%低下し、がん死亡リスクは18%低下し、心血管死亡リスクは14%低下していました。
 研究開始時点の測定値のみを用いて分析しても、総カロテノイド値が25%上昇あたりの死亡リスクの低下は、いずれも統計学的に有意になりました。しかし、総死亡リスクは8%、がん死亡リスクは13%、心血管疾患死亡のリスクは7%低下となり、リスク低下幅は小さい傾向が見られました。
 複数回測定された血清カロテノイド値が高いことは、おおよそ25年間の追跡期間中の総死亡と、がん死亡、心血管死亡のリスクが低いことに関係していました。著者らによると、幸いなことに、血清カロテノイド値を25%上昇させる緑黄色野菜や果物の摂取は、比較的容易にできそうです(下記参照)。
 この研究において、血清カロテノイドの25%上昇あたりのリスクを評価した理由を、著者らは、β-カロテンを例として、以下のように説明しています。
*   *   *
 対象となった人々が研究への参加を決めた時点の血清β-カロテンの中央値は447.75 µg/Lでした。ここから25%上昇したとすると、血清β-カロテン値は、111.94 µg/L 増えて、559.69 µg/Lになります。
 皮をむいたニンジンが100gある場合、β-カロテンの含有量は7200 µgです。刻んだ生ニンジンを食べた場合に、β-カロテンが血液中に移行する割合を示す生体利用率は、41.4%と報告されていることから、皮をむいた生ニンジン100gを食べたとすると、血中に移行するβ-カロテンは2981 µgになります。成人の循環血液量は一般に5Lであることから、摂取後に血液検査を行えば、ニンジン由来のβ-カロテンは、596.16 µg/Lという数値になるはずです。
 これは、対象となった人々における血清カロテノイドの25%上昇分に相当する111.94 µg/Lと比べると、5倍以上になります。したがって、カロテノイドの摂取を25%増やすことはさほど難しくないと考えられます。
 論文は、2021年6月11日付のJAMA Network Open誌電子版に掲載されています(*1)。
*1 Fujii R, et al. JAMA Netw Open. 2021;4(6):e2113369.
大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る



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