下記は日経グッディからの借用(コピー)です
大腸がんの死亡率は高いが、早期発見すれば9割以上は治る
日本人の2人に1人は何らかのがんにかかると言われています。がんの発症には食生活の欧米化や運動不足、飲酒や喫煙など、さまざまな生活習慣が影響します。人口の高齢化に加え、検査技術が大きく進歩し、かつては見つからなかったがんを発見できるようになったことも、がん増加の背景にあると言われています。
そんながんの中で、このところ目立って増えてきたのが大腸がんです。最新の統計では、大腸がんの罹患率(人口10万人当たり:2017年)は、男女合わせて1位(男性3位、女性2位)。死亡率(人口10万人当たり:2018年)も男女合わせて2位に上がってきました(男性3位、女性1位)。大腸がんで亡くなる人は、年間5万人を超えます。
大腸がんにかかる人も、亡くなる人も多いと聞くと、「大腸がんは、かかったら死を免れない怖いがんなのだ」と思う人もいるかもしれません。ところが、がん・感染症センター都立駒込病院外科部長の高橋慶一さんによると、実はそうとは言いがたいそうです。
高橋さんは、大腸がんの治療に長年携わってきた医師。その経験から、「他のがんと比べると、大腸がんはおとなしいがんだといえます」と話します。
罹患率も死亡率もかなり高いがんなのに、おとなしいとは一体どういうことなのでしょうか。まず、がんと診断された人が5年後に生存している割合、「5年生存率」を見てみましょう。全てのがんの5年生存率の平均は66.4%ですが、大腸がんに限ると72.6%と、平均を上回っています。5年生存率が10%を切るほど低い膵臓がんなどと比べれば、ただちに命を脅かすがんではないわけです。
大腸がんの5年生存率は平均を上回る
全国のがん診療連携拠点病院における、診断後5年経過時の相対生存率を示すグラフ(2010~2011年)。大腸がんは、膵臓・肝臓・肺などのがんに比べれば、比較的おとなしいといえる。(がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計 生存率報告書より)
大腸がんにかかる人の数自体が増えているため、人口10万人当たりの死亡率もある程度は高くならざるを得ません。それでも、罹患率3位の肺がんと比べて死亡率が低く抑えられているのは、治療効果が高いことが一因だと推察されます(肺がんの死亡率は1位)。
「他のがんに比べると、大腸がんは治療効果が非常に高いという特徴があります。手術で治しきれる可能性が高く、万一進行しても、抗がん剤による化学療法が比較的よく効くがんです」(高橋さん)
他のがんでは、転移後の治療が難しいことが少なくありません。一方、大腸がんは転移しても、手術で切除すれば生存率を延長できる可能性が高いといいます。
「例えば胃がんでは、『腹膜播種(ふくまくはしゅ)』という転移がよく起こります。腹膜播種とは、胃や肝臓などを覆う腹膜にがん細胞がばらまかれるように転移するもので、手術で取り除くのは困難です。しかし、大腸がんで腹膜播種を起こす頻度は高くありません。多いのは肝臓や肺などで、転移した部分を切除すれば生存率を高めやすいのです」(高橋さん)
しかし、いかに大腸がんの治療効果が高いといっても、それは早期に発見・治療してこその話です。大腸がんは早期に発見して治療すれば5年生存率が95%を超えるものの、進行すればガクンと急降下し、20%を切ってしまいます(図2)。「大腸がんは治療効果が高い」という恩恵にあずかるためには、いかに早く病気の存在に気づくかが大切になってきます。
比較的おとなしい大腸がんも、進行してからの生存率は低い
病期別に⾒た⼤腸がんの5年⽣存率(相対⽣存率)。大腸がんは根治術の5年後に再発しなければ治ったと考えるのが一般的で、早期に発見・治療すれば9割以上は治ると言える。だが、進⾏すると⽣存率は急減してしまう。(がん診療連携拠点病院等院内がん登録⽣存率集計 ⽣存率報告書より)
便潜血検査を受け続ければ、大腸がん死亡が6割減るとの報告も
現在、最も一般的な大腸がんの検診は、職場の健康診断でもおなじみの、便を採取して提出する「便潜血検査」です。このほか、人間ドックであれば、大腸内視鏡検査やCTによる検査など、便潜血検査以外の方法を選択することも可能です。
「検診を受けていれば、症状がない早期のうちに大腸がんが見つかる可能性が高くなります。便潜血検査を受け続ければ、大腸がんによる死亡が約6割も減るという報告もあります(*1)」(高橋さん)
こうした検診の機会を逃さずに利用することが、大腸がんで命を落とさないために非常に重要と言えるでしょう。
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